本作は宇宙を舞台にしたSF映画の体裁をとり、東宝や大映の怪獣映画と差別化が図られた。科学考証には光瀬龍が招かれ、前半部では月面基地や宇宙空間でのメカ描写などが丹念に描写された。一方で月面基地に檜風呂が登場したり、恋愛ドラマも盛り込まれるなど、「松竹大船調」の演出によって、他社とは異質な作品作りが行われ、「メロの本家でも怪獣製作」などと報じられた。ストーリーは、謎の円盤の正体が結局明かされないまま終わるなど、やや構成の難が指摘されている。
怪獣のデザインが決定すると、前年12月17日に東急ホテルで製作発表会が開かれ、島田プロデューサー、二本松監督、池田特撮監督、光瀬龍の4人が出席し、「宇宙怪獣」の模型を囲んで大々的に宣伝が行われた。
脚本準備稿は当初『宇宙大怪獣』と仮題され、マンモス植物も登場する予定だった。次に『SF宇宙大怪獣』と仮題され、アストロボートの設定が盛り込まれて「SF」が全面に押し出され、この後の最終決定稿で『SF宇宙大怪獣ギララ』と表記された。封切り公開9日前の3月16日に、『宇宙大怪獣・ギララ』と題する完成試写台本が刷られ、本作題名となっている。 ヒロインの原田糸子は西野バレエ団出身で、デビュー2作目で主演女優となった。公開に合わせ、ギララとともに和崎柳澤、原田ら出演者4名が関東周辺の孤児施設を周り、慰問活動を行っている。 本作の特撮を担当したのは、元・松竹の特撮技師川上景司、前年に東宝を離れた渡辺明、小田切幸雄らによって結成された特撮請負会社「日本特撮映画株式会社」である[1][注釈 1]。同社は同年に『ガッパ』も手掛けた[1]。 ギララの特撮スタッフには、島倉二千六、菅沼峻、滝川重郎ら当時東宝特技課に在籍中でありながらアルバイトでこっそり参加した者たちもいた。島倉によると、彼らがロケハン先で円谷組メインスタッフとばったり顔を合わせてしまってこれがばれ、契約違反で解雇されてそのまま島倉ら数人が「日本特撮映画株式会社」(1969年解散)に合流してギララに加わることとなっている[6]。 JASRAC録認第10386号、出認第413161号。 映画公開に合わせ、キングレコードレーベルで、ケイブンシャからソノシートが発売された。ソノシート版では「月と星のバラード」が正主題歌扱いになっており、「ギララのロック」の歌中台詞は柳沢ではなく和崎俊也だった。俳優陣を使ったドラマが挿入される内容に、映画スチールとイラストで絵物語が構成されている。定価280円。 同じキングレコードからはシングルEPレコードも発売された。ジャケットはギララとアストロボートの写真に、倍賞千恵子やボニージャックスの顔写真が並べられたデザインとなっている。 諸元ギララ 謎の発光体がアストロボートに噴霧した胞子状の発光物質が、地球のFAFCに持ち帰られ、怪獣に変化した。当初は小型であったが、地球上の電気や電子エネルギーを吸収して巨大化する。
キャスト
佐野:和崎俊也
道子:原田糸子
宮本:柳沢真一
塩田:園井啓介
月ステーション通信員A:藤岡弘
加藤博士:岡田英次
リーザ:ペギー・ニール(日本語吹き替え:武藤礼子)
バーマン博士:フランツ・グルーベル(日本語吹き替え:大木民夫)
スタイン:マイク・ダニーン(日本語吹き替え:大宮悌二)
対策本部長:北竜二
FAFC技官:穂積隆信
FAFCのオペレーター:渡辺紀行
木村:浜田寅彦
大屋満
仲子大介
須藤照夫
月ステーション通信員B:小田草之助
FAFCのオペレーター:加島潤
警視庁長官:中田耕二
変電所係員:川村禾門
小森英明
山中淳
川島照満
沖秀一
園田健二
加登秀樹
比嘉照子
深山悦子
スタッフ
製作:島田昭彦
脚本:二本松嘉瑞、元持栄美、石田守良
特撮監督:池田博
監修:光瀬龍
監督:二本松嘉瑞
撮影:平瀬静雄
特殊撮影:大越千虎
美術監督:重田重盛
音楽:いずみたく
録音: 中村寛
調音:松本隆司
照明:津吹正、高橋利文
編集:杉原よし
監督助手:白木慶二
製作主任:内藤誠
進行:萩原辰雄
特撮監修:川上景司
協力:日本特撮映画株式会社(渡辺明、小田切幸雄)
スチール: 梶本一三、金田正
製作宣伝:藤谷政雄
宣伝プロ:藤川忠勝
提供:渡辺製菓
主題歌
「ギララのロック」
作詞:永六輔 / 作曲:いずみたく / 歌:ボニージャックス / セリフ:柳沢真一、原田糸子
「月と星のバラード」
作詞:永六輔 / 作曲:いずみたく / 歌:倍賞千恵子
登場キャラクター
ギララ
身長60m
体重15,000t[7]
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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