宇宙人
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デイヴィッド・ブリン知性化シリーズ (1980 -) は、銀河系の知的生命体は別の知的生命体によって「知性化」されてきた歴史があり、地球人類だけが独自に進化を遂げたという設定である。ジェリー・パーネルラリー・ニーヴンの『降伏の儀式』(1985) は異星人による地球侵略を真っ向から扱った作品。スティーヴン・バクスターの《ジーリー》シリーズ (1991 - 02) では、地球は何度か異星人に征服されており、生きている巨大宇宙船なども登場する。
フェルミのパラドックス詳細は「フェルミのパラドックス」を参照

はたしてこの宇宙に知的生命は存在するか――という疑問をめぐっては、物理学者エンリコ・フェルミによる「フェルミのパラドックス」がよく知られている。つまり、ドレイクの方程式のパラメータをある程度科学的に合理的なもので仮定すると、地球人と接触可能な地球外知的生命体がいると期待できるのに、実際には地球人はそのような地球外知的生命体と接触していないという矛盾があるということである。仮に宇宙人がいるとしたら、宇宙の137億年の歴史の中で人類より数万年あるいは数億年進んだ科学技術をもっている種族もいて、それらは地球を見つけて来訪するだけの時間と機会が充分にあった筈である。しかし、地球上には外宇宙から来た知的生命体の確実な証拠は一切見つかっていない。

この矛盾に対しては、様々な解釈・意見が挙げられている。そのひとつはドレイクの方程式のパラメーターの推定値である。信頼性の高い推定は大変困難であり、大量絶滅などの最近の地球生物の進化史の研究によると、これまで用いられてきた推定値は現実と比べると高すぎた可能性がある。地球生物の高度な進化、とりわけ人類の出現は、地球史上の稀有の幸運の積み重なりであって、生物は発生しても知的生物までに進化することはほぼ不可能といえるほど困難である。その意味で、われわれ人類を含め、地球上の生物進化は極めてまれな例と考えられる。宇宙における生命体は比較的多くあるがそれらは原始的なバクテリアのレベルであり、人類と接触できる高い文明を持つにいたった種族は文明的な接触が可能な距離にはいないという考えである。
分類

SFや超常現象を取り扱う雑誌などではいくつかのパターンが観察できる。
ヒューマノイド(人間型)
地球の人類と類似した形質を持つもの。一言に人間型といっても、地球人とほとんど同じ姿・体格のものから、宇宙人のステレオタイプであるグレイなどのような体格などが大きく異なるもの、ファンタジー作品の亜人獣人のようなものなど、さまざまなバリエーションがある。映画『スター・ウォーズシリーズ』などによく現れるパターンで、スタジオでの撮影が容易である。収斂進化の考えや、フィクション作品の作中で地球人と同様の扱い方が出来るというのもあり、フィクションでもこの種族が多い。
アニマリアン(動物型)
地球の高等動物に近い姿をしているが、人間の姿をしていないというもの。広義では「火星人など、タコのような宇宙人」もこれに含まれる。尾や角、分厚い毛皮など人間以外の動物の特徴を持つ人型という獣人型の場合はヒューマノイドに含む場合が多い。現実的な生物学的な区別の方法と認識としては、地球の哺乳類と共通性を持っていることが挙げられる。昆虫型に近いタイプの宇宙人は基本はアニマリアンタイプの宇宙人と混同される場合が多いが、近年はパンスペルミア説の観点から昆虫自体が地球外の他の惑星に起源を持つと主張するSF作家や陰謀論者が現れ、論争を巻き起こしている[13][14]
ロボット・エキゾチック(金属類)
『スタートレック』のボーグなど身体の大部分を機械装置に置き換えて機械が主体構成物になった生命体(サイボーグの一種)のほか、高度に発達して自我や自己増殖手段を得た機械・コンピュータを宇宙人と捉える場合もある。また、『トランスフォーマー』に登場する同名称のロボットなどのような、「一見人工物のようだが、金属や無機物を主な構成物質とした生命体」という概念もあり、ケイ素体(シリコン)で構成された架空の宇宙人の中にはエキゾチック(異型)と呼ばれる地球での高等生物の姿をしていない宇宙人も多くのSF作家などによって想像されている。地球における「生命」の概念や定義に当てはまらず、有機物とは違い明確な物質で構成された身体を持つものが、SF映画などには登場しており、前者は『スタートレック』の流動体生物・創設者などが、後者はケイ素生物など無機物で構成された生物の中で知性はあるが外見は固形物(鉱物)そのもの、といったものがこれに該当する。日本のフィクションでの呼称は、「機械生命体」や「金属生命体」、「無機生命体」などといったものがある。
微生物・細菌類(ウイルス)
現在、世界各国の宇宙関連の研究機関は地球外に微生物は存在するかどうか否かの研究及び探査に着手しており、各国政府も各研究機関のプロジェクトに予算を組むなど現実世界でも注目されるテーマである。SF小説では『アンドロメダ病原体』が出版され、そこには宇宙微生物が登場しており、大まかな内容は宇宙空間に存在する細菌類が地球に持ち込まれ、地球の在来生物や生態系に深刻な影響を及ぼすストーリーとなっており、後にユニバーサル・ピクチャーズからSF映画『アンドロメダ…』としてもリリースされている。
アパリッショナル(幽霊)
意識精神など霊的な存在のみ、または電気などのエネルギー信号のみで構成された、実体の存在しない生命。『スタートレック』の高次元生命体や『スターゲイト SG-1』の古代種族・エンシェントなどのように、高度な文明種族が生物種としてではなく精神における「進化」を遂げて肉体を捨て霊的な存在へ変化した場合というのもある。
マゾーン(植物)
SF映画『遊星よりの物体X』では植物系統の地球外生命体地球を侵略するというストーリーで仕上がっており、また現実世界においては、過去に植物学者の稲垣栄洋氏がイネ科のトウモロコシは地球外由来だとする冗談を交えてトウモロコシの性質を解説し話題になった。アメリカのSF小説作家でエドガー・ライス・バローズ原作の『火星シリーズ』では3本脚の植物人間が登場している。
宇宙人の形態

我々地球上生命の形態は、地球の環境(1Gの重力、1気圧の大気、水が液体で存在する気温など)に適応して進化を遂げた結果である。この事から、地球とまったく異なる異星の環境で進化を遂げた異星人は、我々の想像を絶する異質な形態をしているとも考えられる。それどころか、我々の知る「生命」に当てはまらない存在である可能性すらあり、この観点から見るなら、今までに火星などで行われた生命探査も不十分かつ現在の技術・知識と常識内のものであるとも言える。他の生命体が水や酸素を必要とすることを前提にした探査すらある。

映画『2001年宇宙の旅』において、原作者アーサー・C・クラークと監督スタンリー・キューブリックは当初、モノリスの主人である宇宙人を映画に登場させる事を考えており、上記の理由から地球のいかなる生物ともかけ離れた形態にしようと試みた。映画『コクーン』では、分子や原子構造を持たないエネルギー体としての宇宙人を登場させており、まるで電波の様に物質を通り抜ける宇宙人像であった。地球上の生命の化学成分を分析すると、炭素を中心にしたものであった。これら地球の生命体(炭素系生命体)に対して、ケイ素生物が想像された。ケイ素すなわちシリコンを生命体としての基盤にもつものである(ただし、炭素系化合物に比べて作りうる化学変化率が極めて低い事から、実際にケイ素生物が発生する確率は低い)。また、重力を専門に扱う物理学者ロバート・L・フォワードが著したSF小説「竜の卵」においては、中性子星に住む宇宙人を描いた。これは、地球環境からは極端に遠い環境であり、摂氏8000度を超える環境で生きる生命体であり、生命体としての構造も中性子で構成される物で、極限に違う環境で存在する宇宙人像を想像した物である。

一方で知的生命体を含む高等生物は地球と似た環境で発生する可能性が高いとする観点や、似た能力を持つ生物は同じような姿になるとする収斂進化の観点から、ヒトとよく似た姿の宇宙人も想像されている。これらは地球とよく似た環境で派生した宇宙人同士では、同じ温度・空気成分・気圧等で生活できる設定である。この理論を元に活発に議論が行われているのが、パンスペルミア説である。地球の物質的な環境が共通する惑星があるとすれば、それが現在の地球上の生物の起源の発見にもつながり、加えて地球外生命体の発見と証明にも挑戦するという研究である。2017年のNASAによる、「エンケラドスの噴水に水素が含まれていた」[15]という重大な発表がなされ、一部の学者と研究機関で行われている「地球外生命体の存在の可能性」に関する研究の本題は改めて生物の存在意義や宇宙探査の方向性を問うような時代に入ったといえる。

また一部の陰謀論者は、タイタンの生命やトラピスト1惑星系、ケンタウルス座プロキシマbのような地球に酷似していると言われる惑星の研究論文の内容を持ち出し、UFOで地球に来ているとされる地球外の高度な知的生命体の出身星として、これらの惑星を取り上げることがある。そして第2の地球として喧伝されてしまう場合が多いこれらの惑星が、その中心星は太陽の10分の1ほどの大きさの赤色矮星であり、軌道は潮汐力によって固定され(潮汐ロック)、つねに中心星を向いている側にはがあるとも主張される。またそれらを理由に近距離軌道でのハビタブルゾーンの存在を主張する者が見られるが、コロナ質量放出や一定の放射線に晒される過酷な環境であり、生命の存在の可能性を証明するには更なる研究と調査が必要であるとの意見が大多数である。

このようにSF上での「宇宙人」という表現から、公的機関などが使用する「地球外生命体」という表現までが幅広くあり、未知の存在に対して認識が個人から組織レベルまで一致していないことから、現在では様々な地球外の高度知的生命体とされる姿を、宇宙人の存在を主張する者やSF作家などが想像し提唱している。


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