2001年、『ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』を執筆した皆川ゆかは、 「版権を持つサンライズは今日「映像での表現を優先する」という立場を表明しています。ガンダムはもともとフィルムで始まったもので、サンライズはアニメ制作会社なので、ごく当たり前の見方です。「ガンダムワールド」の魅力は重量感のある設定ですが、これがフィルムの面白さを制限する場合、制作会社としては本末転倒です。とし、「重要なのは、現時点で表明されたサンライズの立場がフィルム以外を否定するものではないという点です。 盆栽に例えると、木の枝や葉を切って形を整えるのではなく、フィルムという茎に沿ったシルエットこそ「ガンダムワールド」なのです。サンライズのスタンスはそう解釈できるでしょう。 さまざまなメディア展開をするガンダムですが、その根本はフィルムにあるということです。」とも語っている[12]。
株式会社双葉社から発行されているグレートメカニック
の「MSメーカーの起源を求めて ガンダムセンチュリーが残したもの」という題で、2004年当時のサンライズ企画開発室室長・井上幸一は「サンライズ公式設定、いわゆるガンダムワールドにおける真のオフィシャルは厳密に言うならば、映像化されたものと映像化作品の中に登場するものに限って認められると考えてもいいということです。」ということを語ったが[13]、「だからといって映像化されていないからといって、原作者である富野由悠季が執筆した小説をオフィシャル扱いでないとするのもおかしな話で、ガンダムの創造者、ある意味"神"である富野さんが作ったガンダムならばメディアを問わず、皆が正史と捉えますよね? そもそもファーストガンダムだって劇場版、TV版、小説版で違っているわけで、本当のところを言うと困ってしまう訳です。」とも語っている[13]。同書で井上は「サンライズ公式の他にもガンダムにおけるオフィシャルはいくつも存在している。」とし、皆川ゆかが編纂に携わった百科事典『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』は「いくつもあるガンダムにおけるオフィシャルを1冊にまとめた結果で、だからオフィシャルの複数形という造語をタイトルに据えた訳です。」とも語っている[13]。
同書では他にも「設定遊びの始まり「ガンダムセンチュリー」」という題で、ガンダムセンチュリーをあくまでも本編を重視し、その隙間をついてつじつまを合わせるように更なる構築していくスタイルをガンダムセンチュリーは遵守したと評し、これがもし本編と全く折り合いがつかない設定だったら、それがどんなに面白いものでも発表から20年以上も経ってこうしてサンライズ公式設定とされることはなかったと書かれている[14]。
井上は「TVシリーズの狭間を埋める形で制作された宇宙世紀を舞台としたのOVA作品も、結局『ガンダムセンチュリー』と似たようなことをやっているんですよね。『0083』も『ファースト』と『Zガンダム』になるべく干渉しないように配慮しながら、新しい設定を作っている。松戸のガンダムミュージアムで流しているガンダムの開発記録映像にしても、ガンダムの内部構造をこう考えたらもっと楽しめるのでは?という設定のお遊びの一つなんです。」とも語っている[14]。
2022年時点で、小形尚弘エグゼクティブプロデューサーは、ファンが映像化されたものを正史として見ていることを理解しつつ、作り手側としては正史・パラレルという意識はないとしている[15]。 サンライズが認可する公式設定とは上記の説明の通り、映像化した作品、映像化作品の中に登場するもの、富野由悠季が手がけた小説作品であるが、2018年からサンライズが展開しているプロジェクト『UC NexT 0100』では、映像作品に限らず、このプロジェクトから展開される漫画作品や小説作品、ゲーム作品などもサンライズ公式設定に含まれる[16]。 2018年に『ガンダム』シリーズの舵取りを担っているサンライズの小形尚弘ゼネラルマネージャー[17]はグレートメカニック
UC NexT 0100
2018年のシネマトゥデイのインタビューにおいて小形は「UC NexT 0100が小説『ガイア・ギア』までやるのかそれは自分も含め誰にもわかっていない」と語っている[18]。