ほかにも日本陸軍の佐々木到一が軍事顧問にもなっている。ほか、南方熊楠とも友人で、ロンドン亡命中に知り合って以降親交を深めた[31]。
また孫の自伝『建国方略』の文書中では、犬養毅・平山周・大石正巳・尾崎行雄・副島種臣・頭山満・平岡浩太郎・秋山定輔・中野徳次郎・鈴木久三郎・安川敬一郎・犬塚信太郎・久原房之助・山田良政・宮崎寅蔵(滔天)・菊池良一・萱野長知・副島義一・寺尾亨の名前を列挙し、深く感謝の意を表している[32]。
評価孫文の肖像画の旧台湾ドル紙幣
孫文の評価は一定していないのが実情である。1970年代以前は被抑圧民族の立場から帝国主義に抵抗した中国革命のシンボルとして高く評価された。特に1924年(大正13年)の「大アジア主義講演」が日本の対アジア政策に警鐘を鳴らすものとして絶賛的に扱われていた。しかし、革命への熱気が冷めた1980年代以降は、孫文の独裁主義的な志向性、人民の政治能力を劣等視するような愚民観、漢族中心的(孫文自身、漢民族の一つ・客家人である)な民族主義といった点が問題視されるようになり、現在の中華人民共和国や民主化以前の台湾(中華民国)の権威主義的・非民主的な体制の起源として批判的に言及されることも多くなった[誰によって?]。
孫文の評価を難しくしているのは、民族主義者でありながらまだ所有すらしていない国家財産を抵当にして外国からの借款に頼ろうとしたり国籍を変えたり、革命家でありながらしばしば軍閥政治家と手を結んだり、最後にはソ連のコミンテルンの支援を得るなど、目先の目標のために短絡的で主義主張に反する手法にでることが多いためである。
彼の思想である「三民主義」も、マルクス・レーニン主義、自由民主主義、儒教に由来する多様な理念が同時に動員されており、思想と言えるような体系性や一貫性をもつものとは見なしづらい。もっとも、こうした場当たり的とも言える一貫性のなさは、孫文が臨機応変な対応ができる政治活動家であったという理由によって肯定的に評価されてきた。
孫文には中国の革命運動における具体的な実績はそれほどなく、中国国内よりも外国での活動のほうが長い。彼の名声は何らかの具体的な成果によるものと言うより、中国革命のシンボルとしての要素によるものと言える。
孫文の活動した時代を扱った中国史研究書でも、ほとんど言及がないものも少なくないが、これは史料の中に孫文の名前が登場しないという単純な理由による。
人物
春秋時代の孫子および三国時代の呉の孫権の末裔と伝わる[注釈 4]。
生前は、その主張を単なる冗談・大言壮語ととらえ、孫大砲(大砲とはほら吹きに対する揶揄的な表現)と呼ぶ者もいた
親族
盧慕貞(1867-1952) - 前妻。子に孫科、孫?、孫婉。1885年結婚、1915年離婚
宋慶齢(1893-1981) - 後妻。1915年に東京で結婚。
宋美齢 - 妻である宋慶齢の妹、?介石の妻
孫科 - 字は哲生、孫文の先妻の息子
孫治平・孫治強 - 孫文の孫、孫科の長男と次男
孫国雄・孫偉仁 - 孫文の曾孫と玄孫
陳粹芬(1873?1960) - 中国人妾。香港に生まれ、1892年に孫文と出会って革命的同志として活動を共にしたが、1911年帰郷。孫一族の墓に妾として名がある。
浅田春(1882?1902) - 日本人妾。1897年に横浜で接待係として出会い、1901年に病を理由に帰郷。
大月薫(1887-1970) - 日本人妻。1902年より同棲、1904年結婚、1906年離婚。
宮川富美子 - 孫文と大月薫との子
宮川東一 - 孫文の孫
宮川祥子 - 孫文の曾孫[33]
孫文が登場する作品
小説
三好徹『革命浪人 滔天と孫文』中央公論社, 1979.11. のち文庫
陳舜臣『江は流れず-小説日清戦争』中央公論社、1981年(文庫、1984年)
浅田次郎『蒼穹の昴』講談社、1996年(文庫、2004年)
伴野朗『砂の密約 孫文外伝-革命いまだ成らず』実業之日本社, 1997.9 のち集英社文庫.
陳舜臣『山河在り』講談社、1999年(文庫、2002年)
陳舜臣『青山一髪』(上下巻)中央公論新社、2003年(改題『孫文』文庫、2006年)
平路 池上貞子訳『天の涯までも 小説・孫文と宋慶齢』風濤社, 2003.6.
浅田次郎『中原の虹』講談社、2006-07年(文庫、2010年)
映画
孫文が主人公の映画
孫文(1986年、中国、監督:丁蔭楠、孫文役:劉文治)
孫文(1986年、台湾・香港、監督:丁善璽、孫文役:ラム・ワイサン)
孫文 -100年先を見た男-(2006年、中国、監督:デレク・チウ、孫文役:ウィンストン・チャオ)
孫文が登場する映画
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱(1993年、香港、監督:ツイ・ハーク、孫文役:ジャン・ティエリン)
宋家の三姉妹(1997年、香港、監督:メイベル・チャン、孫文役:ウィンストン・チャオ)
孫文の義士団(2009年、香港・中国、監督:テディ・チャン、孫文役:チャン・ハンユー)
1911(2011年、中国・香港、総監督:ジャッキー・チェン、監督:チャン・リー、孫文役:ウィンストン・チャオ)
赤い星の生まれ(中国語版)(2011年、中国・香港、総監督:韓三平、孫文役:馬少?(中国語版))
ドラマ
孫文が主人公のドラマ
走向共和(2003年、中国、監督:チャン・リー、孫文役:馬少?(中国語版))
孫文が登場するドラマ
アジアの曙(TBS、1964年-1965年、演:加藤嘉)
青天を衝け(NHK大河ドラマ、2021年、演:東浩)
漫画
一輝まんだら(手塚治虫)
王道の狗(安彦良和)
MASTERキートン(浦沢直樹)
拳児(松田隆智)
同人誌
鉄拳無敵孫中山
ドキュメンタリー
ハイビジョン特集「孫文を支えた日本人?辛亥革命と梅屋庄吉」(NHK、2010年5月22日)
関連記念施設
記念館
孫文記念館(移情閣) - 日本兵庫県神戸市垂水区にある孫文ゆかりの建物
旧香港上海銀行長崎支店 - 日本長崎県長崎市松が枝町にある孫文と梅屋庄吉との関係や日華連絡船などの歴史記念館