学校教育法は、昭和憲法公布直後の1946年(昭和21年)12月28日に召集され明治憲法下における最後の議会となった第92回帝国議会
において、教育基本法など他の教育制度改革法案とともに協賛を得て制定された。法令番号は昭和22年法律第26号、1947年(昭和22年)3月31日に公布、翌4月1日から施行された。学校教育法で、指定された学校の種類(学校種)は大東亜戦争(太平洋戦争・第二次世界大戦)後における教育改革の姿勢と方向付けを如実に示している。ただし、学校教育法に言及されていない教育の場も少なくない。学校教育法は、小学校6年、中学校3年、高等学校3年、大学4年?6年(大学院、短期大学)、幼稚園、高等専門学校5年、中等教育学校、義務教育学校、特別支援学校(以上一条校)のほか、専修学校や各種学校などについても定めている。教科用図書検定についての規定も盛り込まれている。
学校教育法制定の経緯)。近代日本の学校制度整備の起点となった「学制」では一つの法令で全ての基本的な学校種を全て定めていたが、その後一貫した学校体系が中々整備されない傾向にあった。結果として教育目的や入学対象者、修業年限等が異なる学校種が複数並列して設けられることになり、これを複線型学校体系[注釈 1]と呼んだが、このことが各種学校令として反映されているとみることもできる。戦前の国民は、最上位の教育機関であった大学に進学するには原則として旧制高等学校などの限られた種別の学校を卒業しなければならなかった。「日本の学校制度の変遷#第二次世界大戦末期の学制」および「日本教育史#昭和?第二次世界大戦」も参照
大東亜戦争終結後、日本国憲法、教育基本法の制定を踏まえて、学校教育の制度の根幹を定める法律として制定され、学校制度は6-3-3-4制を基本とする単線型学校体系に改められた。学校教育法の精神は公の制度である学校を1つの法律で規定し、教育の機会均等を図ることにある。学校教育法の施行に伴い、大東亜戦争終結以前の各種の学校令は一斉に廃止された。詳細は「日本の学校制度の変遷#学校教育法制定当初の学制」および「学制改革#学制改革とは」を参照
なお、その後1961年に高等専門学校が、1998年に中等教育学校が、2015年に義務教育学校が設置されるなど一部複線化の動きがある。 学校教育法はこれまで30回以上にわたって改正されている。 始めの第1章に総則、第2章に義務教育、後半の第12章に雑則、第13章に罰則をおくほかは各学校に関する内容を定めている。なお、各種学校に関する定めは第12章雑則にある。 学校教育法は公の性質をもつものとされている一条校について定められ、ほかにも専修学校と各種学校について定めがある。「日本における学校#各種の学校等の目的」も参照
沿革
2007年には、前年の教育基本法改正を受けて、大きな改正があった。小学校と中学校などについて、義務教育を行う学校との位置づけが明示され、盲学校・聾学校・養護学校は特別支援学校に一本化された。長らく特殊学級は「75条学級」と呼ばれてきたが、75条ではなくなった。( ⇒対照表)
構成
上諭(公布文)
第1章 総則(1 - 15条)
第2章 義務教育(16 - 21条)
第3章 幼稚園(22 - 28条)
第4章 小学校(29 - 44条)
第5章 中学校(45 - 49条)
第5章の2 義務教育学校(49条の2 - 49条の8)
第6章 高等学校(50 - 62条)
第7章 中等教育学校(63 - 71条)
第8章 特別支援教育(72 - 82条)
第9章 大学(83 - 114条)
第10章 高等専門学校(115 - 123条)
第11章 専修学校(124 - 133条)
第12章 雑則(134条 - 142条)
第13章 罰則(143条 - 146条)
附則
学校教育法に定めがある各学校
一条校
幼稚園
義務教育およびその後の教育の基礎をつちかうものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。1947年4月1日の学校教育法の施行によって正式に学校として位置づけられるようになった。
小学校
心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことを目的とする。満6歳になったほとんどの子供が入学し、修業年限は6年である。市町村(または地方公共団体の組合)には、小学校を設置する義務が、保護者には、子が小学校の課程を修了するまで就学させる義務があり、いわゆる9年間の義務教育うちのはじめの6年間が該当する。
中学校
小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。小学校を卒業した者(小学校の課程を修了した者)が入学し、修業年限は3年である。市町村(または地方公共団体の組合)には中学校を設置する義務が、保護者には子が満15歳になる学年が終わるまで就学させる義務があり、いわゆる9年間の義務教育のうち、小学校の6ヶ年のあとの3年間が該当する。
義務教育学校
心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。2015年(平成27年)の改正に伴い、小中一貫教育を行う学校として登場した。6年間の前期課程と3年間の後期課程に区分され、前期課程は小学校、後期課程は中学校並びに中等教育学校前期課程が該当する。修業年限は9年である。
高等学校
中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育および専門教育を施すことを目的とする。「全日制の課程」「定時制の課程」「通信制の課程」の下に、学科が置かれる。別科や専攻科を置くことができる。中学校を卒業した者、中等教育学校の前期課程を修了した者などが入学でき、修業年限は、「全日制の課程」は3年、「定時制の課程」、「通信制の課程」については3年以上である。
中等教育学校
小学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、義務教育として行われる普通教育並びに高度な普通教育及び専門教育を一貫して施すことを目的とする。1998年(平成10年)の改正に伴い、中高一貫教育を行う学校として登場した。3年間の前期課程と3年間の後期課程に区分され、前期課程はいわゆる9年間の義務教育うちの3年間が該当する。後期課程は、高等学校と同様に「全日制の課程」、「定時制の課程」、「通信制の課程」の下に学科が置かれ、また別科や専攻科を置くことができる。小学校を卒業した者が入学でき、修業年限は原則として6年である。
特別支援学校
視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者または病弱者(身体虚弱者を含む)に対して、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。幼稚部、小学部、中学部、高等部がある。高等部は、高等学校と同様に「全日制の課程」、「定時制の課程」、「通信制の課程」の下に学科が置かれる。また、特別支援学校には別科や専攻科を置くことができる。特別支援学校においては、在籍する幼児・児童・生徒に教育を行うほか、幼稚園、小学校、中学校、高等学校または中等教育学校の要請に応じて、知的障害者、肢体不自由者、身体虚弱者、弱視者、難聴者、その他障害のある幼児、児童または生徒の教育に関し必要な助言または援助を行うよう努めるものとされている。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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