学士
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学士授与の対象者は徐々に広がり、日本法律学校(現日本大学)は1898年(明治31年)から卒業生に対して日本法律学士の称号を授与するようになり[12]明治法律学校(現明治大学)は1900年(明治33年)2月から卒業生に対して明法学士の称号を授与するようになった。また、東京高等商業学校(現一橋大学)は1901年(明治34年)から専攻部修了者に対して商業学士の称号を授与するようになった。

1920年(大正9年)公布の大学令によって、帝国大学以外の大学が認められるようになり、学士の称号を与えられる対象者が更に広がった。

1923年(大正12年)に創設された小西寫眞専門学校(現東京工芸大学)は設置申請後に文部省からその高度な教育内容に鑑み、写真学士の称号を与えるとの通知があり、本科卒業者に写真学士の称号を授与していた[13][14]1930年(昭和5年)には、同年3月31日以前において東京高等師範学校の専攻科又は広島高等師範学校の徳育専攻科を卒業した者は文学士と称することが認められた[15]
戦後

戦後、大学進学者が増加するに伴い、学士の称号を得る者も増加していった。また、戦後、沖縄が本土復帰を果たした際に、沖縄の学校教育法の規定による学士の称号は、学校教育法の規定による学士の称号とみなされることとなった[16]
称号から学位へ

1991年(平成3年)7月1日に施行された学校教育法の改正及び学位規則の改正により、学士は再び学位として定められることとなった。従前の学士の称号は法学士経済学士などのように「学士」の前に専攻名を冠したものであったのに対して、現行の学位制度では学士(法学)学士(経済学)のように統一的に「学士」とした上で専攻分野を括弧書きで付記することとされた。なお、前述のとおり旧制度時代の称号の学士も学位とみなされるが、当該制度改正に際して表記まで新制度方式に書き換える措置はとられなかったため、旧制度時代取得の学士はそのまま経済学士のように表記することとなっている。さらに、学位授与機構(現・独立行政法人大学改革支援・学位授与機構)による学士の学位授与の制度が設けられるに至った。
今日の学士の学位
学士号の意義

学士号は、明治 - 戦前期においては、大学卒業人口が少なかった面もあり、その権威性は今日と比較にならないほど高かった。大学卒業者は相当なエリートとしてとらえられていたのである。学士号保有者について新聞などで記す場合、氏名の後に学士号を付記される習慣があった。また、「学士様」と尊称されることもあり、「学士様ならお嫁に上げよか」と言われ、1926年には『娘やるなら学士様へ』という映画も作られた。

しかし、大学の数は年代を経るごとに増加していき、大学卒業者も次第に一般化していく。学士様と呼ばれ、新聞報道では氏名の後に学士号を付記した習慣も、やがて無くなっていった。昭和3年(1927年)にかけては昭和金融恐慌が起こり、大学卒業者の就職難が深刻化し、昭和4年(1929年)には『大学は出たけれど』という映画作品まで作られるようになった。大正初期以降の社会においては増加する高学歴者を受け入れる場所が、官界以外殆どなく、学士は常に過剰で就職も困難であった。そのあおりで財閥に学士が就職することが起こった。

戦後は、大学卒業者が企業の幹部候補として珍重された。しかし、国民生活が豊かになるにつれて、大学の数、卒業者数ともに増加していった。大学(学部)・短期大学進学率については、昭和35年(1960年)は10%だったものが、平成18年(2006年)では45.5%である。1991年に、学校教育法並びに学位規則が改正され、学士号を学位とするなどの変更があった。

学士の学位は資格取得の要件とされたり、学士入学の機会や、大学院進学の要件とされている。次のステップアップを図る上での基礎資格的性格を帯びているのである。また、今日の生涯学習の時代にあっては、学士の学位をひとつの目標としてとらえる人も多い。学習意欲のよりどころとして、学士取得を目標に掲げる人が増えつつあるのが現状である。さらに、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が発足し、4年制大学学部卒業者以外にも学士の学位取得の門戸が広がっている。既に所有している学士に加えて別の学士を取るべく同機構の審査を受ける者もいる。能力と意欲のある人に学士の学位を取得する機会を広げることは、有効な選択肢として期待される。

ちなみに、すでに学士の学位を有する者が、大学に学士入学して卒業したり、科目等履修生として必要な単位を取得して独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に申請することにより学士を取得することで、通算して2つ以上の学士の学位を持つことをダブルディグリーという。

なお、学士の学位は今日、第1種教育職員免許状を取得する際の基礎資格でもあり、また、文部科学省の定める専修学校設置基準では、学士の学位を取得すると専修学校高等課程教員資格、実務経験2年以上で専修学校専門課程教員資格が自動的に発生するなど、その指導的な地位が保障されている。
複数学士号 (複数学位と共同学位)

高学歴化が進み、また様々な大学間の提携や学際的な研究領域の発達に伴い、いわゆる複数学士号という、所属大学が提携する他大学の単位を修得するなど一定要件を満たすことで、在籍する大学及び提携大学の学士も取得できる制度も次第に浸透しつつある。


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