字通
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郭沫若の『両周金文辞大系考釈』(1935年)があるが、その後の出土も多く、また郭の釈も簡略なものであるのでこれを補った[40]
説文新義

『説文新義』(せつもんしんぎ、1969年 - 1974年、全16巻)は、『説文解字』についての講義案を刊行したもので、『甲骨金文学論叢』を土台にしている。甲骨文・金文を知らずに組み立てられた『説文』の学説を甲骨文・金文の字形に基づく体系を構築することによって大きく書き換えた[46]

第1巻から第14巻…『説文解字』と同じ排列で文字ごとに詳細な考説を加えている。

第15巻…通論篇
第1章 説文学の成立第2章 説文学史 その1第3章 説文学史 その2第4章 説文学史 その3第5章 文字学の課題

別巻

説文解字文献要目

文字学参考年表

索引

字訓

『字訓』(じくん)は、漢字を日本のことばの表記法として受容した時代の国語的状況を、古語辞典の形式でまとめようとしたもの。昭和62年(1987年)に刊行された。白川は、「日本人は漢字を音訓両用に使いこなし、それは同時に国字となった。国字と漢字を習合し、融会したところに国語が成り、その思惟の世界も、表現の世界も、その中に生まれた。『万葉集』、『日本書紀』、『古事記』の中にも、その表現のうちに苦闘する当時の精神のありかたが見える。そこに国語の出発点がある。その姿を見極めようと思って、私は『字訓』を書いた。(趣意)」と述べている[40][71]
字通

『字通』(じつう)は、漢字の成り立ち、意味、用例を追求した漢和辞典平成8年(1996年)に刊行された。白川は、「今の日本では東洋の理念は全く見失われている。その東洋を回復するためには、まず東洋の古典に親しまなければならない。文字を通じて、その文字の表現する所を通じて、東洋に回帰する道を求めなければならない。そのために字書を通じて、その表現にふれる機会を多くもつ必要がある。そのような思いで私は『字通』を書いた。(趣意)」と述べている[40]
字書を作る

『字書を作る』は、字書三部作の製作に至る機縁と各字書の巻頭文、そして、『説文新義』第15巻「通論篇」の第5章「文字学の課題」を1冊にまとめたもの。平成14年(2002年)に刊行された[40]
文字学の課題

古代文字資料が出現してからのちの文字学の歩みを記したものである[40]

目次[81]
古代文字資料と文字学

新しい文字学の体系

説文学からの脱却

古代文字学の方法と目的

『甲骨金文学論叢』の方法について

字統の編集について

目次[82]
本書の要旨、字源の研究について、字書の形式

六書について、本書における六書の扱いかた、会意と形声、字源と語源

声母と古紐、韻母と古韻、わが国の漢字音

文字学の資料、わが国の古代文字学、文字学の方法

字形の問題、字形の意味、文字の系列

本書の収録字、音と訓、解説について

字訓の編集について

目次[83]
本書の趣旨
字訓と国語の問題、字義と語義、同訓異字、本書の方法

語源と字源
語の対応、字源と語源、系列語における対応

語源の研究
語源の意識、初期の語源学、益軒・白石・徂徠の語源研究、延約通略の説

特殊仮名以後
特殊仮名の発見、母音調和の法則、特殊仮名と語源説・系統論

最初の筆録者
古刀剣銘、中と之、孝徳・斉明紀の挽歌、儀礼の伝承と史

字訓の成立
字訓と訓読法、古代朝鮮における誓記体と吏読体、新羅の郷歌、日本漢文

万葉の表記
「記」「紀」の音訓表記、本の随に改めず、『人麻呂歌集』歌の表記法、
表記と表現

語源説と系統論
国語と系統論、朝鮮語との比較、比較言語論の前提、蒙古語との比較、
南方語系統論

字書と字訓研究
訓点と訓釈語、字書の編纂、点本の研究、『書紀』古訓の研究、
語源と字源対比の試み

系列語について
語の系列、字の系列、漢字の声と義、紐と韻、傍紐と通韻と系列語、
同源字説、語源学の究極にあるもの

音と義
『雅語音声考』、語基・語根の研究、「あき」について、「秋」について、
『音幻論』、「イ」の意味するもの、この書の意図について

字通の編集について

目次[84]
本書の趣旨

従来の字書の編集法について
『漢和大字典』、『辞源』、『辞海』、『大漢和辞典』、
『中文大辞典』、『漢語大詞典』、漢字の字形学的解説と字義の展開

字訓について
わが国の字書、『篆隷万象名義』、『新撰字鏡』、『和名抄』、
類聚名義抄

声系と語系
声系について、訓詁学と語系、音韻学と語系、同源字説、
王力氏の『同源字典』、語源とオノマトペ

語彙と例文について

付録について

関連略年譜

1943年9月、
立命館大学法文学部漢文学科卒業。10月、同大学予科教授となる[69]

1954年3月、同大学文学部教授となる[69]

1955年3月、「甲骨金文学論叢」初集を発行(さい)を発表)。以後10集に及ぶ[12][69]

1962年8月、『金文通釈』を刊行開始。1984年完結[69]

1969年7月、『説文新義』を刊行開始。1974年完結[69]

1970年4月、『漢字』を刊行。(岩波新書、初の一般向けの著書)

1976年3月、立命館大学を定年退職。4月、同大学文学部特別任用教授となる[69]

1978年12月、雑誌『遊』に「遊字論」の連載を開始[69]

1981年4月、立命館大学名誉教授となる[69]

1984年8月、『字統』を刊行。11月、『字統』により毎日出版文化賞特別賞を受賞[69]

1987年5月、『字訓』を刊行[69]

1991年12月、『字統』『字訓』等の文字研究により菊池寛賞を受賞[69]

1994年、『字統 普及版』を刊行。(1999年に新装版)

1995年、『字訓 普及版』を刊行。(1999年に新装版)

1996年10月、『字通』を刊行。

1998年秋、文化功労者として表彰される[12]

1999年11月、勲二等瑞宝章を受章[69]

2002年、『字書を作る』を刊行。福井県県民賞を受賞[12]

2003年12月、『常用字解』を刊行。

2004年11月、文化勲章を受章[69]

2004年12月、『新訂 字統』を刊行。

2005年10月、『新訂 字訓』を刊行。

2006年1月、『人名字解』を刊行。

2006年10月、著者死去。

2007年6月、『新訂 字統 普及版』を刊行。

2007年11月、『新訂 字訓 普及版』を刊行。

2012年10月、『常用字解 第二版』を刊行。

2014年3月、『字通 普及版』を刊行。

2014年6月、『同訓異字』を刊行。(初版『字通』付録を単行本化)

脚注^ a b c d 入門講座(白川静の世界T) PP..136-151
^ 白川(文字遊心) P.455


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