子音結合
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例えば、ヌーハルク語( ベッラ・クーラ語とも)の /x?p?χ??t??p???sk??t?s?/ ( he had in his possession a bunchberry plant )という言葉がそうである。これらの子音のうち、どれが音節核として機能しているかを見極めるのは非常に困難である。

東アジア地域の言語(中国語ベトナム語など)において、子音クラスタが短縮される傾向が見られる。上古音には /r/ または /l/ (あるいはその両方)も介子音として存在していたが、中古音や現代北京語ではそり舌音に取って代わられた。例えば、「江」は北京語では「jiang」、広東語では「kong」と読まれるが、上古音では「klong」か「krung」だった可能性が高い。さらに、近年の再建分析によると、上古音における頭子音クラスタの歯擦音(「tk」「sn」など)は後世に口蓋化したとされる。

上古音については、尾子音(または末尾子音、英: coda )や尾子音の直後に起きる子音連結の分析もされている。中古音や現代南部方言において「-p」「-t」「-k」で終わる去声音節と入声音節[注釈 5]の間に同根語が含まれている場合がある。去声音節の尾子音の直後に歯擦音が付け足された「-ps」「-ts」「-ks」という子音クラスタが発生し、それが「-ts」または「-s」に短縮され、やがて消えてしまった結果、その前後の母音が現代のいくつかの方言で二重母音化したという分析である。

ベトナム語にもさまざまな頭子音クラスタが存在したが、17世紀頃までに徐々に融合して単一子音となり、硬口蓋鼻音として発達したものもある。
借用語

借用語における子音クラスタは、それを借用する側の言語の通常の音素配列制限に従うとは限らない。

ウビフ語語根「psta」はアディゲ語からの借用語で、ウビフ語における「頭子音は2子音まで」という規則に反している。

英語の「sphere」( /?sf??r/ )や「sphinx」( /?sf??ks/ )はギリシア語からの借用語で、英語における「単語の頭では複数の摩擦音が連続しない」という規則に反している(最適性理論も参照)。
英語

英語の場合、頭子音クラスタの上限は3子音である。頭子音クラスタが3子音から成る場合、例えば「split」( /?spl?t/ )、「strudel」( /??tru?d?l/ )などのように、第1子音は必ず /s/ か /?/ 、第2子音は必ず閉鎖音( /p/ か /t/ か /k/ )、第3子音は必ず流音( /l/ か /r/ )である[注釈 6]

一方、尾子音クラスタは最高5子音まであり、例えば「angsts」( /?a?ksts/ )が挙げられるが、5子音クラスタは稀である。4子音クラスタは「twelfths」( /?tw?lfθs/ )、「sixths」( /?s?ksθs/ )、「bursts」( /?b?rsts/ )、「glimpsed」( /??l?mpst/ )など、比較的多い。

複合語では長めの子音クラスタが可能で、例えば、「handspring」( /?handspri?/ )には5子音から成る子音クラスタが含まれる。

英語において注意すべき点は、子音クラスタと二重音字の違いである。前者は複数の音素から成るのに対し、後者は2文字で1つの音素を表す。例えば、「ship」では「sh」の2文字で /?/ という単音を表している。「length」のように、「ng」と「th」の4文字で2つの二重音字 /?θ/ を成しているケースもある。また、「lights」には発音されない「gh」(黙字)の後に「ts」( /ts/ )という子音クラスタが続く。複合語の類似例としては、「sightscreen」( /?sa?tskri?n/ )や「catchphrase」( /?kat?fre?z/ )が挙げられる。
関連項目

二重母音

脚注
注釈^ 子音連結という項目名は、 ⇒文部科学省学術用語集に準拠。 ⇒早稲田大学理工学術院 英語教育センター 上野研究室 - 第11回 7/2 音節の構造と機能などでは子音結合とされている。
^ 厳密には「きゃ」「きゅ」「きょ」に含まれる /k/ そのものも口蓋化されて [k?ja] [k?j?] [k?jo] となる[2]
^ モロッコのアラビア語における子音クラスタについては解釈が分かれている。例えば、Jeffrey Heath著の『Ablaut and Ambiguity: Phonology of a Moroccan Arabic Dialect』に掲載されている「ktbu」という単語は、Richard Harrellによる文法書では「ketbu」(シュワー入り)となっており、Harrell はそれ以外にもシュワーが随所に認められるとしている。
^ ワシントン州タコマ東部のセイリッシュ(英語版)で使用されている言語グループの1つ。
^ 去声と入声は異なる音素として認識される。
^ 仮に「ew」( /ju?/ )を二重母音ではなく子音+母音の組み合わせだと考えると、「skew」( /?skju?/ )という3子音クラスタも可能となる。

出典^ J.C. Wells, ⇒Syllabification and allophony
^大島義和. “ ⇒日本語を考える - 音声・音韻(1) - カ行の子音”. 名古屋大学大学院国際開発研究科. 2013年10月1日閲覧。
^ トマペラール (2017年3月15日). “<講演>消えてゆく小さな島のことば”. 国立国語研究所. 2024年3月5日閲覧。

外部リンク

Consonant Clusters (Blends)


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