子会社
[Wikipedia|▼Menu]
会社法において、親子会社について特に適用される主な規定には以下のものがある。

子会社の計算で行う利益供与の禁止(120条1項)、利益供与罪(970条)

子会社の親会社株式の取得禁止(135条1項)

子会社による親会社の株主総会での議決権行使の禁止(308条)

監査役の子会社取締役等との兼任禁止(335条2項)

親会社の監査役等の子会社調査権(381条3項など)

監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる(381条3項)。


親会社の株主等による子会社に対する会計帳簿等閲覧請求権(433条3項)

会計監査人設置会社の連結計算書類の作成(444条)

子会社化のメリットとデメリット

子会社は親会社がもともと担当していた事業・業務を移管して生まれるケースが大半だが、この場合の多くでは、実務を子会社に移管することで、親会社となった会社が新規事業への着手や投資等にリソースを割けるようになるというメリットがある。

また、企業グループ全体で収める租税の額についてもメリットを享受できる場合がある。すなわち、法人税率や法人住民税率は、それぞれの会社ごとの利益(法人税法上、正確には「所得」)の額により変わってくる場合があるが、これを子会社化によってうまく活用することで節税のような効果を得られる場合がある。すなわち、たとえば親会社が子会社に、または子会社が親会社になど、グループ会社間で取引を行って金銭を支払うとする。支払った側で損失を、支払われた側で利益を計上することができ、理論上はそれぞれの会社ごとの利益をある程度自由に決められることになるためである。

子会社化によるコンプライアンスのリスク分散などの利点も考えられる。

一方、当然ながら1社より2社とするほうが事務手続きは煩雑化し、単純に2倍の経理事務作業量が必要となることになる。また会計事務所への顧問料や、法人住民税のいわゆる均等割の額についても単純に2倍となる。
労働法と子会社

ある会社Aの子会社Bの従業員は原則として会社Aとは労使の関係にはない。しかし2007年6月25日、宮城県労働委員会は、親会社に対し、親会社の経営方針により解散した子会社の従業員で組織する労働組合との団体交渉に応じるよう命じた[2]。親会社が子会社を全面的に支配し、子会社が親会社の意思決定に反することができない構造であり、実質的な影響力などを行使していた場合には、直接の雇用関係のない親会社に使用者性と雇用責任が認められるという判断であった。
欧米の会社制度
イギリス

イギリスでは子会社の事業や資産の譲渡について親会社株主の承認を要するかどうかという議論は見られないが、これはロンドン証券取引所に上場する企業はFSAの上場規則の規律に服する必要があるためである[1]。ただし、FSAの上場規則では子会社(subsidiary)という用語は用いられておらず子企業(subsidiary undertaking)という用語が用いられている[1]
アメリカ

アメリカでは子会社の資産の処分について、模範事業会社法と同じく州会社法で親会社株主の承認を要求している州(アイオワ州、デラウェア州、ニュージャージー州、ミシガン州、メーン州など)と、州会社法で親会社株主の承認を要求していない州(カリフォルニア州、ニューヨーク州、フロリダ州など)がある[1]

ただし、ニュージャージー事業会社法のように親会社株主の承認を要求している州でも定款の定めを置くことで親会社株主総会での承認を不要とすることを認める場合もある[1]。また、模範事業会社法とは異なり州会社法で親会社株主の承認を要求しない州でも、関連する制定法の法解釈により資産譲渡について親会社株主総会が必要とされる場合もある[1]

なお、アメリカでは子会社の一定の重要事項について、親会社の株主総会が承認するのではなく、親会社の株主が直接に子会社の株主総会で議決権を行使するパス・スルーの制度が検討されているが企業結合に関する体系的な規整がアメリカ国内にはなく具体化されていない[1]
脚注[脚注の使い方]
出典^ a b c d e f g 企業結合法制に関する調査研究報告書 (PDF) 法務省
^ 住友電装・協立ハイパーツ事件(宮城県労委 平19.6.12命令)-労働判例・通巻 940・発行年月日2007年10月1日

関連項目

関係会社請負

親会社

親子上場

関連会社

連結子会社


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:15 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef