妖精
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魔女モルガン・ル・フェイのフェイ(フェ)は、フェアリーのことである。ガウェイン卿と緑の騎士に登場する緑の騎士の不死の力は、植物の勢いや再生力に結びつけられ、パックなど緑衣をまとう多くの妖精と同じく、森林信仰に起源があるとされる。

ウィリアム・シェイクスピアの作品『真夏の夜の夢』では妖精がテーマとして扱われている。作中では、いたずら好きな妖精のパックプーカ)が、妖精の王オーベロンに命令され、オーベロンの妻タイターニアに目を開けて最初に見た人と恋に落ちるという魔法をかけた。さらにパックは彼女が最初に見るであろう人間をロバの頭をもつ姿に変えている。

ウィリアム・S・ギルバートも妖精が好きで、彼らをテーマにしたいくつかの戯曲を書いている。ギルバートとアーサー・サリヴァンによるオペレッタの傑作の一つ『イオランテ(英語版)』では、フェアリーと貴族たちの間のもめごとやフェアリーと人間の結婚や異種交配についてユーモラスに描かれている。

ヴィクトリア朝時代の画家リチャード・ダッドは邪悪で悪意をもつものとして妖精を描いたが、当時の人々はコティングリーで撮られた妖精の写真に強く影響を受けた。

人間にとって恐るべき妖精を好んで描いた小説家にアーサー・マッケンがいる。『黒い封印の話(Novel of Black Seal)』、『白魔(The White People)』、『小人について(The Little People)』では明示的に小人族の恐怖が扱われている。また『赤い手(The Red Hand)』や『黒い封印の話』と一部の舞台を同じくする『パンの大神(The Great God Pan)』にも人類ではない人間についての仄めかしがある。

妖精は、キリスト教社会においては排除あるいは忘れ去られた崇拝や畏怖の対象であることが多く、そのため同様に扱われた魔法使い、魔女の物語には頻繁に登場する。J・K・ローリングハリー・ポッターシリーズはその典型的な例である。ゴブリン、トロール、ドビーなどのホブゴブリン(屋敷しもべ妖精)、ボガート、ドラゴン、レプラホーングリンディロウ(水妖)、カッパなど、数多くの妖精が伝承にそって、あるいはローリングの解釈や創作を加えられて登場する。
絵に描かれた妖精

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『Lily Fairy』,ルイス・リカルド・ファレーロ画, 1888年

妖精の絵は古くからあったが、アイルランドの伝説・神話に基づく絵と、ウィリアム・シェイクスピアの『真夏の夜の夢』に出てくる妖精王オーベロンと女王ティターニアの絵などが代表的なものであった。19世紀には多くの妖精画を描く画家が輩出した。

妖精の研究家としても知られる作家アーサー・コナン・ドイルの伯父リチャード・ドイル、ガートルード・トムソン(英語版)、アーサー・ラッカムなどが、妖精画で著名である。それらの妖精画は、神秘さと美しさ、不気味さとグロテスクさが伴っていた。多くの妖精は背中に半透明な羽根が生えた姿で描かれていた。ゴブリンやドワーフなどは、その不気味さが強調されてもいた。絵本作家として有名なケイト・グリーナウェイも妖精画を描いた。『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では庭小人という庭の害虫(英原書では Gnome ノーム)として登場する。

妖精画の伝統のなかにあって、20世紀初頭のシシリー・メアリー・バーカーの「花の妖精」は、独特な位置を占めている。バーカーの花の妖精には、神秘性や伝説的な不気味さなどはなく、ロマンティックで愛らしい子供や少年・少女の姿になっている。20世紀にはバーカー以外にも、また多数の妖精画家が出現した。リーン・ポールトフリート、アラン・リー、ジョン・ギルバートなどが知られる。
脚注[脚注の使い方]^ a b c 井村 (1998) [要ページ番号]
^ a b Katharine Briggs, A Dictionary of Fairies, Allen Lane 1976 (Route Ledge 2003)
^ a b M. bragg, J. Wood, et al., (2006年5月11日). “Fairies”. BBC radio 4, In Our Time Archive: Culture. BBC. 2015年11月15日閲覧。
^ ブレードニヒ 1989, p. 272-276.
^ ブリッグズ,井村訳 (1996) [要ページ番号]
^ ブリッグズ,平野ほか訳 (1992) [要ページ番号]
^ デュボア,鈴木訳 (2000) [要ページ番号]
^ デュボア,つじ訳 (2000) [要ページ番号]
^ デュボア,つじ訳 (2001) [要ページ番号]
^ デュボア,つじ訳 (2002) [要ページ番号]
^ フィリップ・ヴァルテール『ユーラシアの女性神話-ユーラシア神話試論U』(渡邉浩司・渡邉裕美子訳)中央大学出版部 2021年、ISBN 978-4-8057-5183-1、133-163頁(第3部 異界にある女神の住処)、著者自身による要約は6頁。

参考文献

井村君江『妖精学入門』講談社講談社現代新書 1419〉、1998年9月。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-06-149419-0。 

デュボア, ピエール『妖精図鑑 森と大地の精』サバティエ, ロラン絵、鈴木めぐみ訳、文渓堂、2000年4月。ISBN 978-4-89423-241-9。 


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