女性専用車両
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反対の理由は、地下鉄性的暴行予防はキャンペーンやPRなどの手段が必要で、女性専用車両で解決できる問題ではないことや「一般車両に乗車する女性は性犯罪の対象としても良い」という歪曲された認識が生まれることもあり得ることであった。これを受けて、鉄道公社は当初計画を見直し、改めて一般にもアンケートを行った上で結論を出すこととした[13]

釜山交通公社では1号線に2016年6月22日より午前7時?9時と午後6時?8時の時間帯に「女性配慮車」として女性専用車両を試験導入した(2016年9月19日まで)。意見を取りまとめた上で、今後本格導入するかしないかを決めるとしていた[14][15]。その後、導入当初に比べて女性配慮車が定着しつつある上に、利用者へのアンケートの結果、賛成意見が反対意見を上回り、本格導入することとなった[16]2号線3号線4号線への導入は、2号線と4号線については混雑率が高くなく、比較的混雑する3号線については4両編成であるために導入すると他の車両の利用に不便をもたらすことから、白紙化された[17]
タイ

タイバンコクの路線バスではラッシュ時に限り女性専用バスが運行されている。また、タイ国鉄は2002年からバンコク - チェンマイ間の寝台急行列車に女性専用車両を投入した[18]
台湾TRAで導入された女性専用車両。台北駅での標識。

台湾鉄路管理局(TRA)では、2006年6月より台北市付近の電聯車(電車)に終日女性専用車両を設置した。しかし、男性差別であるなどの反対意見から約3ヶ月で廃止となった[19][20]
チェコ

チェコ鉄道では2012年2月初旬に複数の運行ダイヤで女性専用車両を導入している。同年2月23日に東欧チェコの父親らの団体である「ファーザーズ・ユニオン」はフェイスブック上で「男性を特定の車両から隔離することは、人道に対する罪であり、一部の集団に対するアパルトヘイト(隔離政策)および差別の疑いがある」と主張し、チェコ鉄道を刑事告訴したことを発表した。一方、チェコ鉄道側では性別隔離だとの考えは全くなく、むしろ差別とは全く逆であるとしている[21]
日本詳細は「日本の女性専用車両」を参照
フィリピン

フィリピンマニラ・ライトレール・トランジット・システムでは、先頭車両を女性専用車両として運行している[22][23]。フィリピンでは、イスラム教徒は総人口1億800万人のおよそ5パーセントを占めているものの[24]、マニラ・ライトレール・トランジット・システムが運行しているマニラ首都圏では0.6%程度にとどまっている[25]。そのため運営会社は、女性専用車両導入の理由として、他のイスラム諸国のような宗教上の理由ではなく、女性乗客のセクシャル・ハラスメントからの保護を挙げている[23]。なお、トムソン・ロイター財団が2014年に行った女性専用車両に関する15都市の比較調査によると、マニラの女性の94%が女性専用車両に満足しており、この満足度は15都市の中で最も高かった[26]

MRTでは性別によって乗車する車両を分離しており女性専用車両と男性専用車両があることが報道されている[27]
ブラジルリオ・デ・ジャネイロの女性専用車両
プラットフォームの乗車位置と車体にピンク色の案内が施されている
リオ・デ・ジャネイロ

リオデジャネイロ地下鉄およびSuperVia(近郊・通勤電車)に、女性専用車両が設けられている。電車1編成のうち、1両もしくは2両がこれに指定されており、車体外側の乗降扉横に女性のモチーフが描かれたピンク色のステッカーを貼ったり、駅のプラットホームの乗車位置にピンク色の案内をつけることによってその旨を表している。
サン・パウロ

サンパウロでは、2005年に地下鉄に試験導入がなされた。同地では、男性乗客や乗務員による痴漢行為が問題となったことから1990年代に女性専用車両を導入したものの、ラッシュ時に同車へ男性が乗車したことや同国の憲法に抵触することが指摘されたため、定着に至ることはなかった[28]
ロシア

長距離列車に酔客対策として「女性専用コンパートメント」がある。

首都モスクワには、前述のインドやイギリス・ロンドンと同様の、車体がピンクに塗られた女性専用タクシー・「ローズタクシー」が2006年8月より導入されている[29]。インドやイギリス・ロンドンと同様に運転手は女性が務めているが、女性に同伴している男性(父親・夫・恋人・息子など)なら一緒に乗車できる点がそれらと異なる。このサービスは、日本やイギリスの交通機関の女性専用サービスを参考にしたという。
アメリカ

痴漢行為への対策として、1909年に「サフラジェットカー」という女性専用車両が現在のパストレインの路線において試験的に導入されたものの、3ヶ月で終了した。現在でも痴漢対策は要望されているが、法学者は女性専用車両が憲法違反として訴えられる可能性を指摘している[30]


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