奨学金
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当時の新聞では、長期滞納者を「札付き」と表現している[13]。2009年(平成21年)からは、3ヶ月以上の滞納者は全国銀行個人信用情報センターに「多重債務化への移行防止は、教育的観点から極めて有意義[14]」として、信用情報として登録されることとなった[15]

2015年(平成27年)3月には、学生支援機構の奨学金に対する批判に対する日本学生支援機構理事長による見解が、日経ビジネスの取材を介して公開され[16]、さらに、2016年(平成28年)1月には、より詳細なインタビューが東洋経済新報社のウェブサイトで公開された[17]

大学別貸与型奨学金延滞率・偏差値と返済力の反比例かつては奨学金は、「成績優秀な苦学生」のためのものだったが、成績優秀ではない学生にも貸与されるようになった。そのため、大学ごとの教育姿勢、事前の奨学金説明会、卒業生へのフォローが「返済力」に反映されている[18]。2017年に日本学生支援機構が発表した「大学別の貸与型奨学金延滞率平均」は1.3%であるものの、大学別延滞率の最高は13.9%の大学であり、延滞率5%超の大学が20校ある[注釈 1][19]

逆に卒業者の貸与型奨学金の「返済力」が強い医療系大学(医科大学歯科大学薬科大学看護大学)を中心に2017年時点で延滞率0の大学も41校ある[18]

190の私大の貸与奨学金利用率を調査すると、4%から62%まで大学ごとに大きく差がある。そして、偏差値と貸与型奨学金利用率に反比例の傾向があること、低ランク大ほど返済力が低く、滞納率が高いことが統計結果から判明している。教育社会学者舞田敏彦は、低偏差値大学卒業生ほど卒業後に給与の良い就職先を得にくいことから滞納率が高く、高成績ではない低所得層の子女が貸与型奨学金で無理に大学進学したために余計に辛い人生となる構造と指摘している[20]
技能者育成資金制度

文部科学省が所管しない職業能力開発総合大学校及び公共職業能力開発施設に在籍する学生や訓練生は日本学生支援機構の奨学金貸与の対象とならない。これに代わるものとして、独立行政法人雇用・能力開発機構が設けていた技能者育成資金制度があったが、2010年度末で終了となった。
2009年4月以前の入校者対象

日本学生支援機構の奨学金制度と同様に、第一種(無利子)、第二種(有利子、年3%)の区分がある。第二種の対象者は都道府県立では職業能力開発校日本版デュアルシステム職業能力開発短期大学校専門課程、雇用・能力開発機構立では都道府県センター(職業能力開発促進センターを含む)の日本版デュアルシステム、職業能力開発総合大学校(研究課程及び応用研究課程を除く)、職業能力開発大学校の専門課程及び応用課程職業能力開発短期大学校の専門課程に在籍する学生及び訓練生である。

第一種の対象者は都道府県立では職業能力開発校(日本版デュアルシステムを除く)、職業能力開発短期大学校、雇用・能力開発機構立では、都道府県センター(職業能力開発促進センターを含む)(日本版デュアルシステムを除く)、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校に在籍する学生及び訓練生である。

融資条件には経済的理由と成績基準があるが、第一種では特に優れた学生及び訓練生が対象となり、第二種では成績基準が緩くなっている。融資月額は、条件に応じて18,200円?85,000円(第一種)、40,000円?47,600円(第二種)である。

技能者育成資金の返還期間は最長16年以内である。以前は特定の職業(専修学校、職業能力開発総合大学校の教職員など)に指定された期間以上勤務すれば、返還が猶予及び免除される制度があったが、現在は廃止されている。
2009年4月以降の入校者対象

2009年4月の入校生からは、第一種、第二種の区分を廃止し、すべて有利子(年3%、ただし在校中は無利息)の貸付制度になった。対象者は、都道府県立では職業能力開発校、職業能力開発短期大学校、雇用・能力開発機構立では、都道府県センター(職業能力開発促進センターを含む)、職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校に在籍する学生及び訓練生である。融資月額は、条件に応じて18,200円?85,000円である。
技能者育成資金制度の拡充

技能者育成資金制度による職業訓練期間中の生活保障給付(2009年1月から施行)については、職業訓練期間中の生活保障給付を参照のこと。
技能者育成資金融資制度

技能者育成資金制度の終了に伴い、2011年より厚生労働省により創設された。労働金庫から有利子、無担保で一定限度額まで融資を受けることができる。2011年度の融資対象者と要件は、2011年4月時点において、職業能力開発総合大学校又は公共職業能力開発施設に在学し、満18歳以上で施設長の推薦があり、父母の直近1年間の所得が基準額以下であること等である。融資上限額は、普通課程の訓練生は1年あたり260,000円(自宅生)、310,000円(自宅外)、専門課程、応用課程、長期課程の訓練生、学生は500,000円(自宅)、590,000円(自宅外)、研究課程の学生は1,020,000円である。融資利率は年利3%、返済は10年間を限度とする。
あしなが育英会詳細は「あしなが育英会」を参照

病気事故災害自殺などにより親を亡くした子供に対し、高校、大学、専門学校に通うための奨学金を貸与・給付する。
国外留学者のための奨学金

日本国外への留学には多額の費用が必要となることが多く、奨学金を利用する学生も多い。「海外留学奨学金パンフレット」で概要がわかる。給付と貸与とある[21]
公費による奨学金

1964年より大学生を対象とするサンケイスカラシップ産経新聞社フジテレビジョンなどが主唱)があったが、1989年に事業は終了された。また、かつてのコンクール・ド・フランセ(朝日新聞社主催)は、2015年現在は財団法人日仏会館主催(後援:朝日新聞社他)の「日仏会館フランス語コンクール」となり、対象は学生に限らないが、応募資格に制限がある。2014年よりトビタテ!留学JAPANがスタートした。

これらの他に、ライオンズクラブロータリークラブAFS(高校生対象)などがある。
国費で実施されている奨学金制度

特定の目的のために国費によって運営されている奨学金制度である。いずれも管轄省庁の指定する職に一定期間勤務すれば返還免除となる。各省庁が管轄している場合でも、実施機関は都道府県である場合が多いが、以下の制度は国費によって運営されている。いずれも日本学生支援機構の奨学金との重複を認めている。
防衛省による貸費学生制度詳細は「自衛隊貸費学生」を参照

自衛隊法第98条に基づく制度である。技術貸費学生と衛生貸費学生があり、技術は工学系、衛生は歯学系の学生を対象としている。採用は例年十数名程度である。

奨学金ではないが防衛医科大学校では卒業後に任官拒否もしくは9年以内に自衛隊を退官する場合は、大学校卒業までの経費(最高5,021万円)を国庫に返還する必要があり、無利子での貸し付けとも捉えられる。
矯正医官修学資金貸与法による修学資金貸与制度

法務省所轄の奨学金制度である。医学専攻の学生のうち、卒業後各種矯正施設に勤務しようとする者を対象とする。貸与額は月15万円である。対象は医学部3学年以降で矯正医官として一定期間勤務しなければ返還する必要がある[22]
地方自治体による奨学金制度

都道府県レベルや市町村単位など、その募集内容や奨学金の額、そして、返済の有無など制度内容は千差万別ではあるものの、多くの地方自治体に制度がある。
民間企業による奨学金制度

民間企業が独自に実施する奨学金制度。通年募集されているものもあれば、小額を突発的に募集するもの、特定の学校限定の奨学制度など多岐に渡る (例: 戸田育英財団奨学金など)。

トヨタ工業学園のように自社の職業能力開発校の学費を無料、社員として給与を支給している例もある。


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