契約
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無名契約ともいう[34]。中世には典型契約は「衣をまとった合意」と呼ばれたのに対し、典型契約に該当しない契約は「裸の合意」といわれ法的効力が認められなかった[25]。近代になって人間は自分の意思に従って自由に権利や義務を発生させることができると考えられるようになったことで無名契約にも法的効力が認められるようになった[25]
混合契約
具体的契約について、それに含まれる要素を個別的にみると契約の定型(典型契約)に属しているとみられるものの、全体的にみるとそれが相互に結びついており当事者が一体的なものとしてみている契約[35]。混合典型契約[35]、混成契約[36]ともいう。製造物供給契約がこれにあたる(請負と売買の混合契約)[37]。なお、契約自由の原則から、基本的には契約の内容や効果は当事者間で自由に定めうるとされ[31]、混合契約についても当事者の真意や慣行を考慮して合理的な解釈を行うべきで典型契約の規定を機械的に適用すべきでないとされる[36]
双務契約・片務契約
双務契約
契約当事者双方が対価的性質を有する債務を負っている契約
[38]。売買契約を例にとると、売主は買主に対して財産権を移転する義務(債務)があり、買主は売主に対してその代金を支払う義務(債務)がある。よって売主と買主の双方がお互いに債務を負っている(債権を有している)ため、売買契約は双務契約であるといえる。債務が対価的性質を有するか否かは客観ではなく当事者の主観により定まる[39]。日本民法の典型契約の中では、売買、交換、賃貸借、雇用、請負、組合、和解の7種は常に双務契約とされる[38]。双務契約には存続の牽連性や消滅の牽連性といった特殊の効力がある[40]
片務契約
契約当事者の一方のみが対価的性質を有する債務を負っている契約。贈与、消費貸借、使用貸借の3種が常に片務契約とされる[38]。このうち贈与には負担付贈与も含まれる(負担付贈与における負担は従的な関係のものであり、対等な関係に立つ反対給付とはいえず片務契約とされる[39])。委任、寄託、終身定期金の3種は双務である場合と片務である場合とがある[38]。なお、英米法では捺印証書または約因(対価)が契約の有効要件になっているので、例えば日本法における単なる贈与契約にあたる契約は捺印証書によらない限り英米法上の契約としては有効にならない[3]
有償契約・無償契約
有償契約
契約の全ての過程において対価的な性質をもつ出捐(経済的損失)があると認められる契約
[34]。日本民法の典型契約の中では、売買、交換、賃貸借、雇用、請負、組合、和解の7種は常に有償契約とされる[38]。消費貸借、委任、寄託、終身定期金の4種は有償である場合と無償である場合とがある[38]。有償契約には原則として売買契約の規定が準用される(民法559条)。
無償契約
対価的な性質をもつ出捐(経済的損失)が存在しない契約。日本民法の典型契約の中では、贈与と使用貸借の2種が常に無償契約とされる[38]。消費貸借、委任、寄託、終身定期金の4種は有償である場合と無償である場合とがある[38]。双務契約の多くは有償契約であり、片務契約の多くは無償契約であるが、例外的に利息付消費貸借契約は片務有償契約である[41][42]。なお、双務契約と片務契約の分類はローマ法に由来する[36]。無償契約は有償契約に比べて注意義務が軽減される場合が多く[43]、目的である物や権利に関する責任も限定される(民法551条1項、民法590条2項、民法596条)。なお、負担付贈与契約については、その負担の限度で実質的には有償契約としての性質が認められるため、その限度において担保責任を負う(民法551条2項)[44]
諾成契約・要物契約
諾成契約
当事者の合意だけで、契約目的物の交付を必要とせず成立する契約
[45]近代法においては、契約自由の原則の方式の自由から、契約は原則として当事者の合意のみで成立する諾成契約が原則とされ[46]、日本民法もこれに倣う。また、ヨーロッパ契約法原則第2-101には、「契約は、書面によって締結され又は証明されることを要さず、形式に関するその他のいかなる条件に従うことも要さない」として、諾成主義の原則が規定されている。
要物契約
当事者の合意だけでなく目的物の交付とによって成立する契約。践成契約あるいは実践契約ともいう[47]。要物契約の存在は歴史的経緯による[25]
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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