契約
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日本の民法では587条による消費貸借が要物契約である(ただし2017年の改正民法(2020年4月1日施行予定)で587条の2が新設され、書面による消費貸借の場合は物の交付は不要とされた)[25]。スイス民法では現実贈与のみ要物契約としている[26]

契約の種類
典型契約・非典型契約
典型契約
民法典の規定する契約類型を典型契約という。日本法においては、
贈与売買交換消費貸借使用貸借賃貸借雇用(雇傭)、請負委任寄託組合終身定期金和解の13種類の契約をいう[27][28]。有名契約ともいう[28]。典型契約は広義には商法典の規定する契約類型、すなわち日本法においては、商法第2編商行為に規定する9種類の契約である商事売買(売買)、交互計算匿名組合仲立営業問屋営業運送取扱営業運送営業商事寄託(寄託)、保険をも含む[29]。典型契約については民法と商法で二元的に定める法制(フランス民法やドイツ民法)と、まとめて一元的に定める法制(スイス民法)とがあるが、日本では前者の法制をとる[29]。古代ローマ法では、売買、賃貸借、委任、組合の4種のみが典型契約とされていた[25]。しかし中世に入ると取引の複雑化により典型契約の数は増えた[25]。典型契約の種類は各国ごとに異なっており、例えばフランス民法は典型契約として売買、交換、賃貸借、会社、貸借、寄託、係争物寄託、射倖契約、委託、保証、和解の11種類を規定する[30]。契約自由の原則により基本的に契約の内容や効果は当事者間で自由に定めうるにもかかわらず、法律で典型契約を規定する意味は、同時代の社会においては契約類型がほぼ一定しており、また、当事者意思が不明確な場合に契約解釈の標準とするためである[31]
非典型契約
具体的な契約について、全体的にも部分的にも契約の定型(典型契約)に適合しない契約を非典型契約という[32]。日本では、出版契約などがこれにあたる[33][32]。無名契約ともいう[34]。中世には典型契約は「衣をまとった合意」と呼ばれたのに対し、典型契約に該当しない契約は「裸の合意」といわれ法的効力が認められなかった[25]。近代になって人間は自分の意思に従って自由に権利や義務を発生させることができると考えられるようになったことで無名契約にも法的効力が認められるようになった[25]
混合契約
具体的契約について、それに含まれる要素を個別的にみると契約の定型(典型契約)に属しているとみられるものの、全体的にみるとそれが相互に結びついており当事者が一体的なものとしてみている契約[35]。混合典型契約[35]、混成契約[36]ともいう。製造物供給契約がこれにあたる(請負と売買の混合契約)[37]。なお、契約自由の原則から、基本的には契約の内容や効果は当事者間で自由に定めうるとされ[31]、混合契約についても当事者の真意や慣行を考慮して合理的な解釈を行うべきで典型契約の規定を機械的に適用すべきでないとされる[36]
双務契約・片務契約
双務契約
契約当事者双方が対価的性質を有する債務を負っている契約
[38]。売買契約を例にとると、売主は買主に対して財産権を移転する義務(債務)があり、買主は売主に対してその代金を支払う義務(債務)がある。よって売主と買主の双方がお互いに債務を負っている(債権を有している)ため、売買契約は双務契約であるといえる。債務が対価的性質を有するか否かは客観ではなく当事者の主観により定まる[39]。日本民法の典型契約の中では、売買、交換、賃貸借、雇用、請負、組合、和解の7種は常に双務契約とされる[38]。双務契約には存続の牽連性や消滅の牽連性といった特殊の効力がある[40]
片務契約
契約当事者の一方のみが対価的性質を有する債務を負っている契約。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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