奄美大島
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森の中を流れる川の上・中流には、ヒメタムラソウサイゴクホングウシダ、アマミクサアジサイ、アマミサンショウソウ、アマミアワゴケ、アマミカタバミ、コケタンポポ、アマミデンダなどの渓流植物が生育する。低地には、ガジュマルアコウビロウが生育し、海岸付近の森にはオオハマボウ、オオバギアカテツハマビワなどにくわえ、特にソテツイトバショウが過去には植栽されたこともあり群落をなす場所もある。砂浜には、アダンクサトベラモンパノキなどの木や、キダチハマグルマ、ハマユウ、シマアザミ、グンバイヒルガオなどの草本が目立つが、現在は南西諸島の他の島々同様、かつて防砂防潮のため植林された外来種のモクマオウが逸出し広範囲に広がっている。ほかにも農地周辺や沿道にはギンネムセンダングサ類、アメリカハマグルマなどの外来植物も蔓延している。奄美市住用町に、日本では西表島に次ぎ第2位の広さのマングローブ林(約71km2)があり、夏の夜に一夜限り咲いて散るサガリバナも見られる。
動物相

森にはアマミノクロウサギリュウキュウイノシシアマミトゲネズミケナガネズミ、リュウキュウテングコウモリ、ヤンバルホオヒゲコウモリ、オリイジネズミなどの固有の哺乳類が生息する。その一方、ノヤギ(野生化したヤギ)が増え、近年は島中央部の世界遺産地域にまで侵入してきた。またノネコによるケナガネズミアマミトゲネズミなどの捕食被害も多く[6]、これら外来種問題が課題となっている。なお、1980年代以降、在来小動物の脅威となっていた外来種フイリマングースは2018年でほぼ根絶され、一時期減っていた在来種が次第に回復してきた[7]。しかし、回復に伴い、アマミノクロウサギケナガネズミの交通事故死(ロードキル)や、アマミノクロウサギによる農業被害[8]も増加しており、その対策が課題となっている。

哺乳類以外には、ミミズを主食とするオオトラツグミアマミヤマシギリュウキュウアオヘビ、アマミタカチホヘビといった奄美の、あるいは中琉球の固有種が生息する。ハブは大きな個体は2.4mを超える大型の毒蛇で、森の生態系の頂点捕食者である[9]。浜辺から湯湾岳山頂まであらゆる場所で遭遇する可能性があるが、夜間に林道で見かける確率はアマミノクロウサギやケナガネズミを見るよりもずっと低い。また、夏鳥としてリュウキュウアカショウビンやリュウキュウサンコウチョウが、秋から翌年春まではサシバが冬鳥として渡ってくる。渓流ではアマミイシカワガエルアマミハナサキガエル、キバラヨシノボリ、サカモトサワガニ、リュウキュウハグロトンボ、オオハシリグモといった奄美のあるいは中琉球の固有種が生息する。

しかし他方で、かつての池や湿地、それに代わる水田などの水辺環境が、埋立や昭和時代の減反政策などによりほとんどなくなってしまった結果、シリケンイモリヒメアマガエルリュウキュウカジカガエルオオウナギなど一部の種を除き、ミナミメダカタウナギシノビドジョウガムシタイコウチなどの止水環境に棲む水生生物が絶滅に瀕している[10][11][12]。ハネナガチョウトンボ、リュウキュウヒメミズスマシ、ヒメフチトリゲンゴロウフチトリゲンゴロウは法令により採集が禁じられているが、それ以上に農薬汚染のない良好な生息地の確保が課題となっている。

奄美大島や徳之島は元々ユーラシア大陸揚子江プレートの一部であったが沖縄プレートと共に南東へ移動した結果、大陸と切り離され、島に生き残り、あるいは島で独自に進化した固有種亜種が多く生息していることが評価され、徳之島西表島、沖縄本島北部と共に世界自然遺産に選定された。

特別天然記念物(国指定)

アマミノクロウサギ

天然記念物(国指定)

ルリカケス(鹿児島県鳥)

オーストンオオアカゲラ絶滅危惧IB類)

オオトラツグミ(絶滅危惧II類)

アカヒゲ(絶滅危惧II類)

カラスバト(準絶滅危惧)

オカヤドカリ(準絶滅危惧)

アマミトゲネズミ(絶滅危惧IB類)

ケナガネズミ(絶滅危惧IB類)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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