夫婦別姓
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2005年12月(第2次)選択的夫婦別氏制度について、国民の議論が深まるよう引き続き務める[34][37]
2010年12月(第3次)選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正について引き続き検討を進める[34][38]
2015年12月(第4次)選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正等に関し、司法の判断も踏まえ、検討を進める[34][39]
2020年12月(第5次)夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める[34][40]

国内の現状

現在、国際結婚を除き選択的夫婦別姓は認められておらず、その代替としては主に旧姓通称使用か事実婚が考えられる状況であるが、いずれも問題点が指摘されている[41]。日本経済新聞は、そのため選択的夫婦制度を求める声が強まる一方、同制度導入への反対派はこれらの問題に旧姓通称使用の更なる拡大で対応するよう求めている、と報道している[42](「#賛否の論点」も参照)。
旧姓通称使用

職場・職種によっては旧姓(氏)を通称にすることが便宜上認められる。1988年に富士ゼロックスで初めて導入され、国家公務員でも2001年から認められた[43][注釈 2]。しかし、さまざまな問題点も指摘されている[46][47][48]
利用可能性の問題

二つの名前の管理は企業や行政の負担が大きく[49][50][51]、職場・職業によっては戸籍姓しか認められない[46][52][53][54]。2016年の内閣府調査では旧姓使用を認める企業は全体の半数以下の49.2%である[55][注釈 3]。2021年10月の内閣府の調査では、各府省の所管している302の各種国家資格、免許のうち、旧姓使用ができるものは236だった[58][注釈 4]。(「#旧姓通称使用訴訟」も参照)

運転免許証印鑑登録証健康保険証日本国旅券は、旧姓で作ることはできない[注釈 5][46]。通称は公文書や役員登記、不動産登記、特許出願などには使えず[注釈 6][46][59][60][47][61][62]、未上場株、上場株への投資は戸籍名でしかできない[51]。親から法人を受け継いだ女性等は自分の氏を失うわけにはいかず、結婚をあきらめたり事実婚も多い[55]。2017年と2019年に政府より全国銀行協会に旧姓使用に関する協力要請があったものの、旧姓使用可能な口座は一部にとどまり、特に投資信託口座の旧姓での開設はできない[63][64]。内閣府と金融庁の調査によれば、2022年3月の時点で、全国の銀行のうち、旧姓で預金口座を開設したり、開設済みの口座を使えたりする銀行は62%で、双方に対応していない銀行は31%、いずれも未対応な信用金庫は41%、信用組合は87%[65]クレジットカードや日本国旅券と旧姓の不一致のために、海外のホテルなどの予約ができないことなどもある[47]公証役場での署名は旧姓は認められない[66]。自治体によっては、旧姓での選挙の立候補や議員活動が認められないことがある[67][68][注釈 7]。海外への留学生が旧姓を使って留学することはほぼ不可能、との指摘もある[70]
旧姓併記とその問題点

旧姓通称使用における問題への対応として旧姓を併記可能とする動きがある[注釈 8][71][72]。2015年から法人登記簿における役員登記において[35][73][74]、2016年、金融庁提出書類の役員欄において、2019年からマイナンバーカード、住民票[63][75]、運転免許[72]において、2021年から特許出願[76][77]において、旧姓併記が可能となった。また、日本国旅券(パスポート)は、これまでも必要な事情がある場合には旧姓を括弧書きで付記することが認められることがあった[78] が、2021年4月より、条件が緩和され、希望すれば誰でも併記可能となった[79][80]。2024年4月からは相続登記において旧姓併記を可能とした[81]。国民健康保険では通称の使用は認められない[46]が、2021年の時点で、一部の自治体では国民健康保険証への旧姓併記が可能となっている[82][83][84][35]
問題点

これらに対し、たとえ旧姓を併記できたとしても、婚姻により強制的に氏を変更させられ新たな氏を世間に公表させられることはプライバシー侵害である[85][86]、アイデンティティの問題は解決されない[87]、等の主張がある。また、選択的夫婦別姓の法制化がなされれば不要な、旧姓通称使用のための旧姓併記などを住民票等で可能とするシステム改修費用も莫大、との指摘もある[67]

また、住民票やマイナンバーカードなどへの旧姓併記後も、旧姓で口座開設や契約ができる範囲は一部にとどまる、と報道されている[63][注釈 9]。マイナンバーカードについては、旧姓を併記しているとワクチン接種の電子証明が発行できない等のトラブルが当初報道された[89][注釈 10]


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