0.7太陽半径から1太陽半径まで、厚さにして20万キロメートルの層[20]では、ベナール対流現象でエネルギーが外層へ伝わる[29]。ここでは微量イオンが原因となって不透明度が増し、輻射によるエネルギー輸送よりも効率が高い対流による熱伝導を行う[30]。
光球太陽の表面はガスの対流により粒状斑になっている[31]。詳細は「光球」を参照
光球とは、可視光を放出する、太陽の見かけの縁を形成する層である[9]。光球より下の層では密度が急上昇するため電磁波に対して不透明になり[22]、上の層では太陽光は散乱されることなく宇宙空間を直進するためこのように見える。厚さ約300[22]–600 km[19]と薄い。
光球表面から放射される太陽光のスペクトルは約5800 Kの黒体放射に近く[22]、これに太陽大気の物質による約600本もの吸収線(フラウンホーファー線)が多数乗っている[19]。比較的温度が低いため水素は原子状態となり、これに電子が付着した負水素イオンになる。これが対流層からのエネルギーを吸収し、可視光を含む光の放射を行う[19]。光球の粒子密度は約1023 個/m3である。これは地球大気の海面上での密度の約1 %に相当する。光球よりも上の部分を総称して太陽大気と呼ぶ。太陽大気は電波から可視光線、ガンマ線に至る様々な波長の電磁波で観測可能である。
光球の表面には、太陽大気ガスの対流運動がもたらす湧き上がる渦がつくる粒状斑[22]・超粒状斑[32]や、しばしば黒点と呼ばれる暗い斑点状や白斑という明るい模様が観察できる。黒点部分の温度は約4000 K、中心部分は約3200 Kと相対的に低いために黒く見える。また、スペクトル解析からこの黒点部分には水分子が観測された[33]。
彩層詳細は「彩層」を参照
光球表面の上には厚さ約2000 kmの密度が薄く温度が約7000?10000 Kのプラズマ大気層があり[22]、この層から来る光には様々な輝線や吸収線が見られる。この領域を彩層と呼ぶ。皆既日食の始まりと終わりには紅色の彩層を見ることができる[22]。この彩層ではさまざまな活発な太陽活動が観察できる[9]。
コロナ皆既日食では、光球が完全に隠れたときに、真珠色に輝くコロナを肉眼でも見ることができる。STEREOBの紫外線イメージングカメラのキャリブレーション中にキャプチャされた太陽の月の通過[34]2007年1月12日に人工衛星「ひので」がコロナ放出の瞬間を撮影した貴重な画像詳細は「コロナ」を参照
彩層のさらに外側にはコロナと呼ばれる約200万 Kのプラズマ大気層があり[22]、太陽半径の10倍以上の距離まで広がっている。彩層とコロナの間には遷移層と呼ばれる薄い層があり、これを境界に温度や密度が急激に変化する[35]。コロナがなぜ太陽表面より温度が高いのかはわかっていない。
コロナからは太陽引力から逃れたプラズマの流れである[22]太陽風が出ており、太陽系と太陽圏 (heliosphere) を満たしている。コロナの太陽表面に近い低層部分では、粒子の密度は 1011 個/m3程度である。自由電子が光球の光を散乱しており、輝度は光球の1/100万と低いため普段は見えないが、皆既日食の際に白いリング状(またはアーチ状とも表現できる[23])に輝くコロナが観察できる[22]。