彩層のさらに外側にはコロナと呼ばれる約200万 Kのプラズマ大気層があり[22]、太陽半径の10倍以上の距離まで広がっている。彩層とコロナの間には遷移層と呼ばれる薄い層があり、これを境界に温度や密度が急激に変化する[35]。コロナがなぜ太陽表面より温度が高いのかはわかっていない。
コロナからは太陽引力から逃れたプラズマの流れである[22]太陽風が出ており、太陽系と太陽圏 (heliosphere) を満たしている。コロナの太陽表面に近い低層部分では、粒子の密度は 1011 個/m3程度である。自由電子が光球の光を散乱しており、輝度は光球の1/100万と低いため普段は見えないが、皆既日食の際に白いリング状(またはアーチ状とも表現できる[23])に輝くコロナが観察できる[22]。
かつてコロナのスペクトル線を分析した際に、既知の元素に見られないスペクトルが発見されたため、地上に存在しない元素「コロニウム」が提唱されたことがある[36]。しかしこれはコロナの温度がもっと低温と考えられていたためであり、このスペクトルは一般的な元素が高階電離状態で発するものであった。例えば最も強い波長530.3 nmの緑線は13階電離(軌道電子を13個失った)鉄元素と判明した[22]。
コロナの領域では、X線が観測されない領域が発生することがある。これは「コロナホール」と呼ばれ、磁力線が宇宙空間に向けて開いている箇所であり、ここはコロナガスが希薄で太陽風を発生させる原因のひとつである[37]。
太陽活動
エネルギー源詳細は「陽子-陽子連鎖反応」を参照
光輝く太陽はどのようなエネルギーを源にしているかという問題は、19世紀頃までに続々と発見された化学反応ではとうてい解明できず、大きな疑問となっていた。当初は重力ポテンシャルエネルギーという想像もあったが、19世紀末に放射能が発見されると原子核反応が候補となった。そして1938年に核融合反応が発見されると、これが太陽活動のエネルギー源と考えられるようになった[38]。 太陽の内部構造は直接観測できない。そのため、1950年代–1960年代にかけてこれを理論的に構築する試みが行われた。これにより、熱核融合反応にて水素をヘリウムへ変換することでエネルギーを生み出す太陽46億年の歴史過程を求め、熱伝導や重力バランスを説明する[20]現在の構造を試算した結果が「標準太陽モデル」と呼ばれる。このモデルによって、太陽中心温度や密度が計算された[39]。 太陽内部の物質は極端な高温のために全てプラズマの状態にあるとされる。このように剛体でないため、太陽は赤道付近の方が高緯度の領域よりも速く自転し、周期は赤道部分で約25日(地球上の観測では地球公転運動の影響から27日となる[40])、極近くでは約30日である[22]。この太陽の赤道加速型[22]「差動回転」(または「微分回転」)のために、太陽の磁力線は時間とともにねじれていくことになる。ねじれて変形した磁力線はやがて磁場のループを作って太陽表面から外へ飛び出して、太陽黒点や紅炎(プロミネンス)を作ったり、太陽フレアと呼ばれる爆発現象を引き起こしたりする。この天体現象については地球からの観察に限って言うと、日食の間であれば比較的観察しやすい条件下にある。 太陽は固有磁場を持っているが、その様相は地球磁場と大きく異なる。磁力線は太陽風によって放射状に広がり、しかも自転の影響を受けてらせん状に展開する。宇宙空間の一般磁場は1ガウスに満たないが、黒点部分では数千ガウスと強さもまちまちである[42]。太陽付近の強い磁場がプラズマを拘束する際にX線が生じる[43]。 このような磁場は地球同様にダイナモ効果によると考えられるが、差動回転の影響で単純な双極磁場とならず緯度によって差が生まれて、やがて水平方向のトロイダル磁場を作る。
標準太陽モデル
差動回転この偽色彩法の紫外線のイメージでは、太陽は星の表面から立ち上がって、磁界に続くプラズマのC3クラス太陽フレア (上部の左上の白い部分) 、太陽の津波 (波のような構造、上部の右) および多数のフィラメントを示している。
太陽磁場と周期
太陽磁場太陽圏電流シートは惑星軌道を越えて広がり、らせん状に展開する。このもようは、しばしばバレリーナのスカートに例えられる[41]。詳細は「太陽圏電流シート」を参照