太陽は光球より内側が電磁波に対して不透明であるため、内部を電磁波によって直接見ることができない。太陽内部についての知識は、太陽の大きさ、質量、総輻射量、表面組成・表面振動(5分振動)などの観測データを基にした理論解析(日震学)によって得るしか方法がないのが現実である。理論解析においては、太陽内部の不透明度と熱核融合反応を量子力学により推定し、観測データによる制限を境界条件とした数値解析を行う。よって、太陽中心部の温度、密度などはこのような解析によって得られた数値でありなおかつ推定値でもある。
中心核詳細は「太陽核」を参照
太陽の中心には半径10万キロメートルの核(中心核)があり[20]、これは太陽半径の約2割に相当する。密度が156 g/cm3(およそ水の156倍)であり、このため太陽全体の2 %ほどの体積の中に約50 %の質量が詰まった状態になっている[24]。その環境は2500億気圧、温度が1500万 Kに達するため物質は固体や液体ではなく理想気体的な性質を持つ[11]、結合が比較的低い量子論的な縮退したプラズマ(電離気体)状態にある[25]。
太陽が発する光のエネルギーは、この中心核においてつくられる[26]。ここでは熱核融合によって物質からエネルギーを取り出す熱核融合反応が起こり[11]、水素がヘリウムに変換されている。1秒当たりでは約3.6×1038 個の陽子(水素原子核)がヘリウム原子核に変化しており、これによって1秒間に430万トンの質量が3.8×1026 Jのエネルギー [11](TNT火薬換算で9.1×1016 トンに相当する)に変換されている。このエネルギーの大部分はガンマ線に変わり、一部がニュートリノに変わる。ガンマ線は周囲のプラズマと衝突・吸収・屈折・再放射などの相互作用を起こしながら次第に「穏やかな」電磁波に変換され、数十万年かけて太陽表面にまで達し、宇宙空間に放出される[26]。一方、ニュートリノは物質との反応率が非常に低いため、太陽内部で物質と相互作用することなく宇宙空間に放出される[26][27][注 2]。それ故、太陽ニュートリノの観測は、現在の太陽中心部での熱核融合反応を知る有効な手段となっている。
放射層太陽内部の放射層と対流層
放射層は太陽半径の20–70 %の所にあり、対流層は70–100 %の所にある。詳細は「放射層」を参照
太陽半径の0.2倍から0.7倍まで、中心核を厚さ40万キロメートルで覆う[20]層では、放射(輻射)による熱輸送を妨げる程には物質の不透明度が大きくない。したがって、この領域では対流は起こらず、輻射による熱輸送によって中心核で生じたエネルギーが外側へ運ばれている[20]。放射層をエネルギーが通過するには長い時間がかかり、近年の研究では約17万年が必要とも言われる[28]。
対流層詳細は「対流層」を参照
0.7太陽半径から1太陽半径まで、厚さにして20万キロメートルの層[20]では、ベナール対流現象でエネルギーが外層へ伝わる[29]。ここでは微量イオンが原因となって不透明度が増し、輻射によるエネルギー輸送よりも効率が高い対流による熱伝導を行う[30]。
光球太陽の表面はガスの対流により粒状斑になっている[31]。詳細は「光球」を参照
光球とは、可視光を放出する、太陽の見かけの縁を形成する層である[9]。