太陽
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太陽フレアは黒点上のコロナ部分周辺で数分から数十分発生する強力な爆発現象で、高さ1–10万キロメートルのフレアリボンという明るい帯状の光と強いX線[37]を放ちながら、10×1022–10×1025ジュールの高エネルギー粒子が宇宙空間に放たれる[35][43]。紅炎は黒点形成に関わる磁力線管に蓄積された2000–3000 Kの高温プラズマに耐えられず、付け根部分が破壊する現象で、これも高エネルギー粒子の放出が伴う[43]
コロナ質量放出(コロナガス放出、Coronal mass ejection, CME)

コロナ内でもコロナ質量放出(コロナガス放出、Coronal mass ejection, CME)という現象がある。これはコロナ下層から湧き上がる電離高温ガスの塊であり、質量1012 kg程度、速度10?1000 km/s、エネルギーは1026 J程度[45]にもなる。かつては太陽フレア発生による副次作用と思われていたが、観測の結果CMEがフレアよりも先に起こることもあると判明しており[46]、CME発生の根本原因は解明されていない[37][45]
太陽風詳細は「太陽風」を参照

コロナ内部でプラズマのガス圧力が高まり、太陽の引力を超える状態になると宇宙空間へ吹き出す現象が起こる。これは太陽風と呼ばれ、1951年にドイツのルートヴィヒ・ビーアマンが彗星の尾が太陽光の圧力以外に何かしらの力を受けていることから予測し、1962年にマリナー2号の観測で実証された[41]

太陽風の密度は粒子が1 cm2当たり5個程度、通常速度は300–500 km/s[47]。成分は主にプロトン (H+)次いでアルファ粒子 (He++)などイオン[41]と電子などの荷電粒子である[47]。これが太陽から磁力線に沿ったスパイラル状に吹き出している[48]。温度は地球付近でも10万度を維持している[49]。この太陽風は110–160 auまで届き、銀河系の恒星間ガスと衝突するところまで到達する。この衝突面はヘリオポーズと呼ばれ、これより内側が太陽圏(ヘリオスフェア)と定義される[50]。この太陽風が地球磁場の南北極域に達し、オーロラが発生する[47]

太陽風は発生元によって特徴があり、太陽フレアから生じる場合は1000 km/sの高速[37]・高密度となる。CMEからは高密度だが速度は中程度となり、コロナホールからは高速だが密度が低い太陽風が発生する[41]
太陽の謎
三態においての分類

これは太陽だけでなく他の恒星にも言えるが、太陽には固体からなる地球型惑星や衛星、液体が大半を占める木星型惑星天王星型惑星などと異なり、はっきりした表面が存在しない。かつては、太陽を始めとする主系列星や未来の太陽の姿とされる赤色巨星は、気体で構成される、という説が有力であった。しかしながら、内部の重力の影響で、表面は気体だが、内部は液体ならびに固体で構成されている、とする説もある(前述の通り、核ではかなりの高温高圧になっているため、密度も非常に高くなっている)。21世紀初頭では、太陽の内部はプラズマ超臨界流体といった、固体でも液体でも気体でもない第四の状態となっている、とする説が最も有力となっている(中でも、既述したプラズマ説が最も有力)。このため、太陽の内部構造が三態のいずれかに該当するかについては結論は出ておらず、いまだにわかっていない。
コロナ加熱問題

太陽の表面温度は約6000 °Cであるのに対し、太陽を取り囲むコロナは約200万 °Cという超高温であることが分かっているが、それをもたらす要因は太陽最大の謎とされた。1960年代までは太陽の対流運動で生じた音波衝撃波へ成長し、これが熱エネルギーへ変換されてコロナを加熱するという「音波加熱説」が主流の考えだった[22]

1970年代からスカイラブ計画を通じてコロナのX線観測が行われたところ、太陽の磁場がつくるループに影響を受けていることが判明し、ここから太陽磁場の影響による加熱が提唱された。しかし他にも磁場に伴うアルベーン波説や、フレアによる加熱説などもあり、結論には至っていない[22]
太陽ニュートリノ問題

太陽内部の核融合反応に伴って、太陽からはニュートリノが常時放出されている。これは可視光で調査不能な太陽内部を直接知る手段として注目された。標準太陽モデルで求められた陽子-陽子連鎖反応による太陽ニュートリノは、以下の4種類が想定された[39]。 ( 1 - 1 ) p + p → D + e + + ν e {\displaystyle (1{\text{-}}1)\quad \mathrm {p+p} \to \mathrm {D+e^{+}} +\nu _{\mathrm {e} }} ( 1 - 2 ) p + e − + p → D + ν e {\displaystyle (1{\text{-}}2)\quad \mathrm {p+e^{-}+p} \to \mathrm {D} +\nu _{\mathrm {e} }} ( 6 )     7 B e + e − → 7 L i + ν e {\displaystyle (6)\ \ \quad {}^{7}\mathrm {Be} +\mathrm {e^{-}} \to {}^{7}\mathrm {Li} +\nu _{\mathrm {e} }} ( 9 )     8 B → 8 B e ∗ + e + + ν e {\displaystyle (9)\ \ \quad {}^{8}\mathrm {B} \to {}^{8}\mathrm {Be} ^{*}+\mathrm {e^{+}} +\nu _{\mathrm {e} }}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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