太陽
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ここでは熱核融合によって物質からエネルギーを取り出す熱核融合反応が起こり[11]水素ヘリウムに変換されている。1秒当たりでは約3.6×1038 個の陽子(水素原子核)がヘリウム原子核に変化しており、これによって1秒間に430万トンの質量が3.8×1026 Jのエネルギー [11]TNT火薬換算で9.1×1016 トンに相当する)に変換されている。このエネルギーの大部分はガンマ線に変わり、一部がニュートリノに変わる。ガンマ線は周囲のプラズマと衝突・吸収・屈折・再放射などの相互作用を起こしながら次第に「穏やかな」電磁波に変換され、数十万年かけて太陽表面にまで達し、宇宙空間に放出される[26]。一方、ニュートリノは物質との反応率が非常に低いため、太陽内部で物質と相互作用することなく宇宙空間に放出される[26][27][注 2]。それ故、太陽ニュートリノの観測は、現在の太陽中心部での熱核融合反応を知る有効な手段となっている。
放射層太陽内部の放射層と対流層
放射層は太陽半径の20–70 %の所にあり、対流層は70–100 %の所にある。詳細は「放射層」を参照

太陽半径の0.2倍から0.7倍まで、中心核を厚さ40万キロメートルで覆う[20]層では、放射輻射)による熱輸送を妨げる程には物質の不透明度が大きくない。したがって、この領域では対流は起こらず、輻射による熱輸送によって中心核で生じたエネルギーが外側へ運ばれている[20]。放射層をエネルギーが通過するには長い時間がかかり、近年の研究では約17万年が必要とも言われる[28]
対流層詳細は「対流層」を参照

0.7太陽半径から1太陽半径まで、厚さにして20万キロメートルの層[20]では、ベナール対流現象でエネルギーが外層へ伝わる[29]。ここでは微量イオンが原因となって不透明度が増し、輻射によるエネルギー輸送よりも効率が高い対流による熱伝導を行う[30]
光球太陽の表面はガスの対流により粒状斑になっている[31]。詳細は「光球」を参照

光球とは、可視光を放出する、太陽の見かけの縁を形成する層である[9]。光球より下の層では密度が急上昇するため電磁波に対して不透明になり[22]、上の層では太陽光は散乱されることなく宇宙空間を直進するためこのように見える。厚さ約300[22]–600 km[19]と薄い。

光球表面から放射される太陽光のスペクトルは約5800 K黒体放射に近く[22]、これに太陽大気の物質による約600本もの吸収線フラウンホーファー線)が多数乗っている[19]。比較的温度が低いため水素原子状態となり、これに電子が付着した負水素イオンになる。これが対流層からのエネルギーを吸収し、可視光を含む光の放射を行う[19]。光球の粒子密度は約1023 個/m3である。これは地球大気の海面上での密度の約1 %に相当する。光球よりも上の部分を総称して太陽大気と呼ぶ。太陽大気は電波から可視光線、ガンマ線に至る様々な波長の電磁波で観測可能である。

光球の表面には、太陽大気ガスの対流運動がもたらす湧き上がる渦がつくる粒状斑[22]超粒状斑[32]や、しばしば黒点と呼ばれる暗い斑点状や白斑という明るい模様が観察できる。黒点部分の温度は約4000 K、中心部分は約3200 Kと相対的に低いために黒く見える。また、スペクトル解析からこの黒点部分には分子が観測された[33]
彩層詳細は「彩層」を参照

光球表面の上には厚さ約2000 kmの密度が薄く温度が約7000?10000 Kのプラズマ大気層があり[22]、この層から来る光には様々な輝線や吸収線が見られる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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