太陽系
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その中でも、太陽系は、銀河系のスパイラル・アーム(渦状腕)のひとつであるオリオン腕に属している[208]。中心からは25,000 - 28,000光年離れており[9]、約2億2500万 - 2億5000万年(1銀河年)かけて銀河系を公転しているとされている[10]。星間空間を進む太陽系が進んでいる方向(太陽向点)はヘルクレス座の方向で、1等星の中では、こと座ベガがそれにもっとも近い[209]。太陽系の黄道面は、銀河系の銀河面に対して約60傾いている[注 13]

銀河系における太陽系の位置は、地球上の生物の進化の歴史に大きな影響を与えたとされている。太陽はほぼ円形で銀河系で公転しており、また太陽系周辺は、周辺のスパイラル・アームと近い速度で移動しているため、太陽系は滅多にスパイラル・アームを通過しない[211][212]。スパイラル・アーム内は、高頻度の超新星爆発、不安定な重力、太陽系に大きな影響を与える宇宙放射線などがあるため、この中に位置していない地球は、長い期間に渡って生物が安定して存在することができた[211]。また太陽系は、恒星が密集している中心部のバルジからも離れている。バルジ付近では、近くの恒星からの重力の影響を受けてオールトの雲が安定せず、太陽系内部に散乱され、地球上の生物に天体衝突による潜在的な危険性が伴う。また、飛び交う放射線が生物の進化を妨げる可能性もある[211]
近隣の恒星「近い恒星の一覧」も参照太陽圏を超えた先には、様々な気体から成る星間雲がある。現在、太陽系は局所恒星間雲の中を移動している。

太陽系は現在、局所恒星間雲英語: Local Interstellar Clouds)と呼ばれる領域にある。しかし、局所恒星間雲はGクラウド(英語版)と呼ばれる星間雲と隣接しているが、太陽系が局所恒星間雲に属しているか、あるいは局所恒星間雲とGクラウドが相互作用する領域に位置しているかは分かっていない[213][214]。局所恒星間雲は、局所泡英語: Local Bubble)と呼ばれる、星間物質がまばらな直径約300光年の空間にある、星間物質が濃い領域である。局所泡は高温のプラズマで満たされており、これは局所泡が超新星爆発によって形成された可能性を示している[215]

太陽系から10光年以内の領域には、いくつかの恒星が存在している。もっとも近い恒星は、約4.4光年離れた三重連星系のケンタウルス座α星である。ケンタウルス座α星A、Bは太陽に比較的似た恒星で、それから0.2光年離れた軌道をプロキシマ・ケンタウリ(ケンタウルス座α星C)が公転している。2016年には、このプロキシマ・ケンタウリを公転する惑星、プロキシマ・ケンタウリbの存在が確認され、地球に似た環境を持つ可能性がある惑星として期待されている[216][217]。次に太陽系に近い恒星として、赤色矮星バーナード星(5.9光年)、ウォルフ359(7.8光年)、ラランド21185(8.3光年)がこれに続く。

近隣にある恒星でもっとも大きいのはシリウスで、約8.6光年離れている。約2倍の質量を持つA型主系列星で、白色矮星の伴星シリウスBが周囲を公転している。10光年以内にある、既知でもっとも近い褐色矮星は、2つの褐色矮星の連星系であるWISE J104915.57-531906.1(ルーマン16)で、約6.6光年離れている[218]。10光年以内にある恒星としては、ほかにルイテン726-8(8.7光年)とロス154(9.7光年)がある[219]。約10.5光年離れているエリダヌス座ε星は、大きな塵円盤を持つことが確認されている[220]。太陽系にもっとも近い、太陽に類似した恒星は、約11.9光年離れた位置にあるくじら座τ星である。太陽の約80%の質量と、約60%の明るさを持ち[221]、4つの惑星が周囲を公転している[222]。既知でもっとも太陽系に近い自由浮遊惑星は、約7.3光年離れているWISE J085510.83-071442.5で、質量は木星の10倍未満とされている[223] 観測可能な宇宙における地球の位置を示した図
太陽系外惑星系との比較詳細は「惑星系」および「太陽系外惑星」を参照惑星の軌道面がほぼ揃っているケプラー30系の想像図。こうした軌道面が揃った惑星系は、太陽系外では珍しいとされている。太陽系外惑星の質量(縦軸)と公転周期・軌道長半径(横軸)を表したグラフ。図下部の水星(?)よりも恒星に近い惑星が多い事が分かる。

太陽系がほかの惑星系と異なる点として、水星よりも内側で、太陽に非常に近い軌道を公転している惑星が存在していない点が挙げられる[224][225]。一方で太陽系外惑星では、ホット・ジュピターなどの、恒星に非常に近い軌道を公転する惑星が多く知られている。また、地球と海王星の中間の規模を持ったスーパーアースと呼ばれる天体も太陽系内では知られておらず、小型の岩石惑星と、大型の巨大ガス惑星しか存在していない(しかし、未確認のプラネット・ナインがこれに該当する可能性がある)[224]。太陽系外惑星系では、こうしたスーパーアースが存在しているのが典型的で、また、水星よりも恒星の近くを公転している場合が多い[224]。多くの惑星系では形成初期、惑星同士は軌道が近かったため、衝突を繰り返し質量が大きないくつかの惑星が形成されたが、太陽系では、この衝突によって惑星が破壊されたり、系外に放出されたりしたため、このような違いが生じた可能性が示されている[226][227]

また、太陽系はすべての惑星の軌道離心率が低く、ほぼ円形の軌道を公転している[224]。一方、太陽系外でこうした軌道を描く惑星系は珍しく、極端な楕円軌道を描くエキセントリック・プラネットと呼ばれる惑星も数多く知られている。

しかし、近年の観測技術の向上にともない、スーパーアースよりも小さな地球サイズの惑星、グリーゼ676A系やケプラー90系などの構造が太陽系に似た惑星系も発見されるようになり、太陽系は数ある惑星系のパターンのひとつにすぎないと考えられるようになっている[228]
太陽系を扱った作品詳細は「地球以外の実在天体を扱った事物#太陽系」を参照
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 太陽が太陽系の99.86%の質量を占めているとして計算。
^ 地球が公転する太陽を主星とする星系はただ一つであるため、固有名詞的な扱いをされる。その場合、英語では名詞それぞれの頭文字を大文字にして表される。
^ 惑星を公転する衛星は、後者に当てはまる
^ 歴史上では、1930年に発見された冥王星などの天体が惑星に分類されていた事もあった。惑星の定義も参照。
^ 太陽と惑星以外で、水星よりも直径が大きいのは木星の衛星ガニメデと土星の衛星タイタンである。
^ a b c 国際天文学連合による惑星の定義によると、太陽の周囲を公転している天体は動的に、そして物理的に惑星、準惑星、太陽系小天体の3つの分類に区別される。


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