太陽系
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内側を公転している小型な水星金星地球火星は、おもに岩石からなる地球型惑星(岩石惑星)で、木星土星は、おもに水素ヘリウムからなる木星型惑星(巨大ガス惑星)、天王星海王星は、メタンアンモニアなどの揮発性物質といった、水素やヘリウムよりも融点の高い物質からなる天王星型惑星(巨大氷惑星)である。これらの8個の惑星はほぼ同一平面上にあり、この平面を黄道面と呼ぶ。

ほかにも、太陽系には多数の小天体を含んでいる[注 6]。火星と木星の間にある小惑星帯は、地球型惑星と同様に岩石や金属などから構成されている小天体が多い。それに対して、海王星の軌道の外側に広がる、おもに氷からなる太陽系外縁天体が密集している、エッジワース・カイパーベルト散乱円盤天体がある。そして、そのさらに外側にはセドノイドと呼ばれる、新たな小惑星の集団も発見されてきている。これらの小天体のうち、数十個から数千個は自身の重力で、球体の形状をしているものもある[16]。そのような天体は準惑星に分類されることがある。現在、準惑星には小惑星帯のケレスと、太陽系外縁天体の冥王星・ハウメアマケマケエリスが分類されている。これらの2つの分類以外にも、彗星ケンタウルス族惑星間塵など、様々な小天体が太陽系内を往来している。

惑星のうち6個が、準惑星では4個が自然に形成された衛星を持っており、慣用的に「」と表現されることがある[注 7]。また、木星以遠の惑星は、周囲を公転する小天体からなるを持っている。

太陽から外部に向かって放出されている太陽風は、太陽圏(ヘリオスフィア)と呼ばれる星間物質中に泡状の構造を形成している。境界であるヘリオポーズでは太陽風による圧力と星間物質による圧力が釣り合っている。太陽圏の1,000倍離れた位置には、長周期彗星の源と考えられているオールトの雲と呼ばれる構造があると考えられている。
発見と探査「天動説」および「地動説」も参照アンドレアス・セラリウスがHarmonia Macrocosmica(1660)に記した地動説のモデル

歴史上の大部分において、人類は太陽系に対して正しい概念を持っていなかった。遥か古代から、夜間に空に輝く点は観測されており、そのほとんどが配置を変えずに存在していることも星座として認識されていた。観測機器が発明されるよりも前に、肉眼で観測できる星のうちでもいくつかが移動していることは知られていたが、その動きが一様でないことから惑星と呼んだ(正しくは数十年単位で観測すると一様の軌道になるが、天体観測黎明期には気付かれていなかった)。中世の末期まで、ルネサンスでは、地球を中心にすべての天体が公転しているという天動説の概念が主流であった[注 8]ギリシャの哲学者アリスタルコスは現在の太陽系に近いモデルを推測し、ニコラウス・コペルニクスが初めてそのモデルを地動説として体系化した[18][19]17世紀には、ガリレオ・ガリレイヨハネス・ケプラーアイザック・ニュートン物理学的観点から地動説を発展させ、惑星が地球と同じ物理法則に従っているという考え方は徐々に受け入れられるようになっていった。このころに発明された望遠鏡は、月やほかの惑星に関する多数の発見につながり、そして望遠鏡の改良や無人探査機による探査で、クレーターといった地質的特徴や、砂嵐氷冠などの気象的特徴も知られるようになった。
望遠鏡による観測と発見ニュートンが観測に用いた望遠鏡のレプリカ。

初期の太陽系の科学的観測は望遠鏡によって行われ、天文学者は、肉眼では観測しにくい天体を星図に書き記すようになった。太陽系の個々の天体について初めて詳細な物理的観測を行ったのはガリレオ・ガリレイで、月の表面にあるクレーターや、太陽の黒点、木星を公転する4つの衛星を発見した[20]。ガリレオの発見に続いて、クリスティアーン・ホイヘンス土星の環と衛星タイタンを発見し[21]ジョヴァンニ・カッシーニは4つの土星の衛星と、環の中にあるカッシーニの間隙を発見した[22]

エドモンド・ハレーは1705年に、彗星を繰り返し観測した結果、75 - 76年の周期で同じ彗星が回帰していることを発見し、太陽を公転する惑星以外の天体の存在を示す証拠となった[23]。また、前年の1704年には、初めて英語で「Solar System」という単語が用いられるようになった[24]

1781年、ウィリアム・ハーシェルおうし座の方向で連星系を探索していた際、彗星とおぼしき天体を発見したと発表したが、のちの軌道計算の結果、新惑星の天王星であることが判明した[25]

1801年、ジュゼッペ・ピアッツィが、火星と木星の間を公転する小さな天体ケレスを発見した。発見当初は新たな惑星とされていたが、その後の観測で付近に数千個もの似たような小天体が発見されるようになり、ケレスもこうした小天体に再分類された[26]。詳細は「海王星の発見」を参照

1846年には、天王星の軌道が実際の計算と一致しないことから、外側から影響を与えている新たな惑星があると考えたユルバン・ルヴェリエによる計算をもとに観測を行った、ヨハン・ゴットフリート・ガレハインリヒ・ダレストが新惑星・海王星を発見した[27][28]

しかし、海王星の発見後も、ほかの惑星や海王星自身の軌道に依然として誤差が生じていたため、海王星の外側にさらに惑星が存在すると考えられ、パーシヴァル・ローウェルは仮説上の天体を惑星Xと呼んだ[29]。彼の死後、ローウェルの予想をもとにローウェル天文台で観測を行っていたクライド・トンボーが新惑星・冥王星を発見した。しかし、その後の観測で、冥王星はほかの惑星の軌道に影響を及ぼすには小さすぎることが判明したため、その発見は偶然によるものであった。ケレスのように、当初は惑星であるとされていたが、周辺に同じような天体が発見されるようになったため、2006年に国際天文学連合によって準惑星に再分類された[28]

1992年、ハワイ大学デビッド・C・ジューイットマサチューセッツ工科大学ジェーン・ルーは冥王星軌道の周辺を公転する小天体アルビオンを発見した。アルビオンは、太陽系外縁天体としては初めて発見された天体である。この発見により、冥王星のような天体は、氷からなる小天体の群れを成していると考えられるようになった[30][31]

2005年、マイケル・ブラウンチャドウィック・トルヒージョデイヴィッド・ラビノウィッツは散乱円盤天体のエリスを発見し、当初は冥王星よりも大きく、海王星以遠にある天体では最大と考えられていた[32]


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