太陽戦隊サンバルカン
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本作品以降、「刀剣を個人武器とするのはレッド」という傾向が多く見られるようになる[出典 2]。東映プロデューサーの吉川進鈴木武幸は、本作品がシリーズの基礎を確立したと評している[14][15]

そのほかの特徴として、前作『電子戦隊デンジマン』のラストで姿を消した敵役・ヘドリアン女王がブラックマグマの手によって復活した、という設定で引き続きレギュラー出演したことが挙げられる[16][4]。ヘドリアン女王が本作品の作中でデンジマンやバンリキ魔王のことに言及するほか、嵐山長官がデンジマンやデンジ星人のことも詳しく知っていることが語られるなど、『デンジマン』と『サンバルカン』が同じ世界のストーリーであることの表れの1つである[4]。また、『デンジマン』の項目でも述べられているように、デンジマンに変身して戦った5人がカメオ出演する案もあった。作品ごとに世界観をリセットするスーパー戦隊シリーズにおいて、クロスオーバー企画以外の続編が作られた唯一のケースである。ただし、当初から続編を作ろうという試みがあったわけではなく、へドリアン女王役の曽我町子の演技を高く評価した東映プロデューサーの吉川が、引き続き彼女が活躍できる場を作ったというのが実情である[17]

サンバルカンのリーダーであるバルイーグルは、物語中盤においてNASAに「パイロットとしての技量を見込まれ、転任する」という設定で交代している(詳細は#バルイーグルの交代に関してを参照)。それと平行して敵組織ブラックマグマでも、「前線司令官を務めたゼロワンが戦死した後に新たな女幹部アマゾンキラーが現れる」という交代劇が描かれている。プロデューサーの鈴木武幸は、「ゼロガールズだけでは手詰まりになり、これくらいの設定変更をしなければ番組が一年間はもたないという危機感があった」と語っている[18]。ほかにも矢沢助八や松田姉妹の登場や、サンバルカンロボの技である「太陽剣オーロラプラズマ返し」の演出強化など、中盤で投入された新要素は数多い。

番組終盤では『デンジマン』同様に敵組織の内紛が描かれたが、終盤でベーダー一族の中の異分子であるバンリキ魔王が混乱を巻き起こす前作に対し、本作品ではヘルサターン・ヘドリアン・イナズマギンガーが三つ巴の抗争を繰り広げており、作劇面での深化を見せた[16][19]。これ以降のシリーズ作品でも、敵側のドラマに重点が置かれた作品が多くなっている[20]

決定名称の「サンバルカン」の由来は、「サン(太陽)」+「バルカン(ローマ神話の火の神)」である[出典 3]。企画当初の名称は単に「バルカン」だったが、この名前は化粧品などですでに使われていたので、商標を登録するためには前か後に語を足す必要が生じ、当時のスポンサーだった後楽園スタヂアムのマークから「太陽」を取り入れたという経緯がある[9]。また、「サン」にはヒーローの人数である「3」[注釈 3]が、「バルカン」には連射機関砲であるバルカン砲や歴史上しばしば動乱の舞台となったバルカン半島の激しいイメージが込められている[21][14]

東映とマーベル・コミックとの契約作品は本作品が最後となったが、マーベル・コミックをモチーフにしたキャラクターは、まったく設定されていない[22]

シリーズが定着したことから、本作品の企画は早期に進められ、番組序盤では制作が遅れ気味であった前作とは別班体制で制作された[16]

プロデューサーの吉川は、アメリカから海外版制作のオファーがあったが実現には至らなかったことを証言している[23][14]
その他

敵キャラであるゼロガールズは撮影時もオフでも演者同士の仲がかなり悪く、ヘドリアン女王役の曽我もその仲の悪さにかなり手を焼いていたという。途中から登場したアマゾンキラー役の賀川は曽我からゼロガールズのまとめ役も依頼されたが、賀川も「自分でもダメだった、ゼロワン役の方も苦労されたと思います」と後に語っている。また賀川によると監督からゼロガールズの一部の演者を降板させる話が出ていたらしいが、賀川の尽力により降板にはいたらなかった。しかし賀川は最後までゼロガールズの演者たちの不仲に悩まされたという。なおゼロワン役の北川は脚本の構成上途中降板することが最初から決まっていたので、賀川もそれを承知の上でアマゾンキラー役を引き受けたという。また賀川はゼロガールズたちの仲の悪さが不思議で仕方が無かったとも語っている[24]
あらすじ

地球征服を企んだベーダー一族はバンリキ魔王の反乱と電子戦隊デンジマンの活躍により倒された。だがほどなくして北極に本拠を置く機械帝国ブラックマグマが世界征服を目指して動き始め、火山国である日本の地熱を狙って日本への侵略活動を開始した。

これに対抗すべく、サミット[25][26]は世界最高水準の軍事力と国家権力を有した直属の特殊軍隊・地球平和守備隊(正式名称・“Guardians of World Peace”)の設立を決定。同部隊の中から選抜されたメンバーによる特殊部隊の結成を満場一致で決議した。嵐山大三郎が率いる彼らこそが太陽戦隊サンバルカンである。サンバルカンは華麗な陸・海・空の動物的アクションと巨大メカサンバルカンロボなどを駆使してブラックマグマとの戦いを展開する。
登場人物
太陽戦隊サンバルカン

集合時の名乗りは、「輝け! 太陽戦隊サンバルカン!!」[27]

サンバルカンに変身する主人公たちの下名は演じた役者本人と同じ名前だった。これは企画書段階で太陽戦隊の役名がそれぞれ「大鷲太郎・豹次郎・鮫島三郎」であり[16]、これではつまらないと思った吉川進の判断で変更された。しかし、このことは俳優陣にはすぐに伝えられなかったため、スチール撮影会の現場で、自分の名前を織り込んだ役名を突然、呼ばれた川崎や杉は驚愕したという[28]。豹と美佐が学校に潜入するために教育実習をした際は「小林朝夫」「根本」と出演者の実名をそのまま偽名として使っていた[ep 1]
大鷲 龍介(おおわし りゅうすけ)
元・地球平和守備隊の空軍将校
[29][30]。25歳[29][30]。東都大学ロケット研究所の滝本所長に師事していた。航空学に秀でており[31]、飛行機の操縦はプロ中のプロで、名前の如く「空を飛ぶために生まれてきたような男」[29][30]。寡黙だが、軍人らしく、真面目な性格で洞察力にも優れ、的確なリーダーシップを発揮[29]。巧みな変装術も身に着けている[29]。第23話で、NASAスペースコロニー開発計画の設計[26]メンバーとして招集され、スペースシャトル操縦士を拝命。空軍将校時代の同期で盟友の飛羽にバルイーグルを任せ、アメリカへ旅立った。


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