太田光
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自身の人格形成に影響を与えた人物としてビートたけしカート・ヴォネガット立川談志植木等桑田佳祐チャールズ・チャップリンといった6人の名前を挙げている[19]。各人物との交流や自身の芸風・作品に与えた影響については後述する[19]
芸風

基本的には漫才を制作しているが、活動初期および2016年のタイタンライブ開始から20周年を記念したライブや2018年の爆笑問題の単独ライブ『O2-T1』では自身の脚本によるストーリー性を持ったコントも演じられている[20][21]。このこともあり、お笑い芸人がトップクラスになるとネタをやらなくなる風潮に対しては厳しい見解を示しており、「芸人として逃げ」と評し批判している[22]

非凡な才能や知的なイメージと後述したお笑いに対する真摯な姿勢もあって芸人・表現者としての評価は高いものの、テレビ番組やラジオ・ライブなどの公の場に出演する際には話を脱線させたり、無鉄砲な言動・行動・ボケ・意見をすることが多く、毀誉褒貶の激しい人物でもある[23][24]。それが批判されることが多いにもかかわらず、あまりにもそうしたことを繰り返すため、「バカッター芸人」とも呼ばれている[24]。それゆえに自身の過激な言動・行動が原因でネット上で非難されたり、知的なイメージとのギャップを共演者から嘆かれたり[25]、妻の光代から叱責されることもよくあり[26][27][28]、自身のラジオでたびたび反省の弁を述べることもある[29]。漫才や雑誌の連載で他人の失言を批判する発言やボケをすると、田中から「日頃から失言しているお前に言われたくない」と突っ込まれることもよくある[30]。また、くりぃむしちゅー上田晋也からは「あんたが売れた理由がまったくわかんない」「あんたから言論の自由を奪いたい」と冗談交じりに言われたこともある[31][32]。太田はこれらの振る舞いや自分の意見を番組で述べることについて「自分は憧れているビートたけしとは別物である」といった思いの表れであることも述べている[24]。ただし、情勢や番組の内容によってはおとなしくしたり真剣に話すなど芸風を使い分けている[33][34]。それゆえに神田愛花からは「太田さんは、本当はいい人なのに盛り上げようとして無理してるのでは?」と指摘されている[35]

漫才で時事ネタを扱う理由として「ネタがつきないから」「社会に対して言いたいことなど何もない」「私のネタにはメッセージなどない。ウケればそれでいい」と述べている[36]。爆笑問題の漫才を「風刺」として捉える見方があることについては、硬軟幅広くネタを取り入れ、且つ太田のボケには下記したとおりナンセンスなものも含まれているため「時事ネタを話題にはしているけれど、ボクらの漫才は1個も社会風刺してないことがわかるよ」とコメントしている[37]

古舘伊知郎は太田のボケを「あたかも意味のある興味深いトークをしているようで、どこまで意味があるの?っていう思いが募った時に、完全にその意味のあるテレビサイズのトークを無意味化する。これって気持ちいいんですよ」と評している[38]

お笑い評論家のラリー遠田は、爆笑問題の漫才における太田のボケには、「シンプルボケ」「毒舌ボケ」「ナンセンスボケ」という3つの種類が存在すると評しており[2]、とくに「ナンセンスボケ」については爆笑問題の漫才の隠し味になっているとし、「毒舌ボケ」よりも高く評価している[3]

フリートークでは「見ている人に嘘をつかない」スタンスをとっており、水川かたまり空気階段)のようにこの姿勢を見習っている芸人もいる[39]
ネタ・小説の創作

漫才のネタ作りは田中や作家を交えて行われており、ネタになるニュースの素材やアイディアの提供は田中や作家が行い、ボケは太田が考え、一通りネタが揃うと後述の通り太田がパソコンでまとめている[5][40]

台本や原稿は一人になってからパソコンを使って書いており、このことが連載の中でネタにされる場合もある[40][41]

自身の小説の作風はカート・ヴォネガットの影響が強いとされ、SFでありながら、社会や政治などあらゆるものを組み込んで茶化していく世界観が共通している[42]。一方でメルカリマガジンに掲載された短編小説『がらくた』のように実体験を元にした作品も存在する[43]

小説新潮1997年12月号では近未来SF短編『終末のコメディ』が掲載されている。内容は原因不明の伝染病が流行した世界で、テレビの中のコメディアンがボケ続け、視聴者に外出することを呼びかけるものである[44]

2010年に刊行された短編集『マボロシの鳥』では寓話や童話、SFなどの要素が散りばめられた9つの物語が収録されている[45]

2012年に刊行された小説『文明の子』では「短編風の形でありながらうっすらと全体の物語がつながっている」構成になっている。これは前作の『マボロシの鳥』の評価が否定的なものが多かったことや一般の読者から長編小説を希望する声が多かったことがきっかけとなっている。東日本大震災福島第一原子力発電所事故後に起こったメディアや表現者が不安や恐怖心を煽る風潮に対し「俺はそういう見方はしたくないな」と思ったことが作品の内容に影響を与え、「文明を肯定しにくい今の状況下で、なんとかポジティブに捉えられないだろうか」「自分の中の思考実験というか、挑戦してみようかな」と感じて執筆したと明かしている[7]

前述の2018年の単独ライブは漫才を一切行わずコントのみで構成しており、台本も太田一人で執筆を行い、完成後に田中に開催の決定とネタの内容を同時に知らせている。このライブでは「病院の待合室」「数字男」「二人の兵士」「医者と患者」「爆チュー問題」が披露され、『文明の子』と同様にそれぞれ別個のコントでありながら一つ一つがストーリーとして繋がっていくスタイルを採用している[6][21]

2023年に刊行された長編小説『笑って人類!』は元々は映画の企画として2年かけてシナリオにしたものをボツにされ、再び2年かけて小説にし直したものであり、コロナ禍になる前には書き終えていた。その後も社長の光代によるチェックなどの2年に渡る手続きが行われており、結果的に計6年もの制作時間がかかっている[46][47]。太田はこの小説について「日本の平和主義は幼稚で世界では通用しないのかもしれないけど、でもシリアスな状況の中で通用してしまったらどうなるんだろう。そんな世界を描いてみたかった」と語っている[48]。また、これとは別に書き留めて保留にしていた小説が存在することがインタビューで明かされており、『笑って人類!』のプロモーションが一段落つき次第そちらの制作に着手する可能性があることを示唆している[49]
主な持ちネタ・ギャグ

一部のフレーズは「新語・流行語大賞のノミネートを狙う」としながら思いつきで乱発していたものであるが、現時点ではノミネートされたことはない。

(中指と人差し指を額につけ、相手に向けて)ピップ2005年頃に行っていたギャグ。『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)でも「私もピップやってみました」というコーナーをつくって、リスナーに流行させようとした。

(親指と人差し指でメガネを作ったあと両人差し指を前に出し)プシュー!

プーライ!その前はプレイ!というフレーズを述べていたが、のちにこれに定着した。

どゆこと!?2010年頃に『笑っていいとも!』でタモリと行ったギャグで、2010年女子中高生ケータイ流行語大賞にもノミネートされた[50]

とても楽スミダ2011年に行なわれていたギャグ。

こっちかんぴょう巻き、この人かっぱ巻き2013年頃に『笑っていいとも!』でタモリと行っていたギャグ。2014年3月26日放送ではこれをベースにした漫才をタモリと行っている[51]

ションベンちびるかと思った?!!2013年頃に行なっていたギャグ。事務所の後輩の日本エレキテル連合もこのギャグをコントで使用したことがある[52]


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