太平記_(NHK大河ドラマ)
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しかし、『独眼竜政宗』からの高視聴率連発の勢いが生み出した「視聴率よりも『やりたい企画』を優先する」機運の高まりにより、前作『翔ぶが如く』に続く「やりたい企画」優先の作品としてドラマ化の運びとなった[3]。ただし、「やりたい企画」実現の代償として南朝方の皇族や武将が祀られている諸神社や神社本庁、保守系政治家などへの根回しを慎重に行わざるを得なかった[4]

平均視聴率は26.0%、最高視聴率は34.6%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)[5][6]

完全版DVDが2008年に発売されている。
あらすじ

14世紀初頭、鎌倉幕府は執権の北条高時を内管領の長崎円喜が影で操り専横していた。そんな折、足利高氏は足利家の嫡男として生まれる。成長した高氏は謀反の疑いで幕府に捕縛されるが、義兄の赤橋守時の計らいで釈放される。高氏は赤橋の妹・登子と結婚。帝の側近たちが幕府に一斉検挙され、後醍醐天皇は楠木正成と笠置山で挙兵する。戦いの末、後醍醐天皇は隠岐の島に配流。高氏は正成と出会ったあと倒幕を決意。正成軍との戦いで鎌倉が手薄になったのをみて、高氏は進軍。新田義貞らとともに北条軍を打ち破り、鎌倉幕府は滅亡する。

隠岐を脱出した後醍醐天皇による新政がはじまる。護良親王は高氏を敵視する。高氏は尊氏と名を変え、鎌倉を武家の支配に置きたいと願い出て、公家中心の新政に歯向かう。護良親王を殺害した尊氏は北条軍残党と戦うため征夷大将軍の位を願い出る。尊氏は北条から鎌倉を奪還するが、後醍醐天皇は新田義貞に尊氏追討の軍を出させる。尊氏は新田軍、そして正成と戦う。敗れた正成は自刃、後醍醐天皇は光明天皇に譲位し、叡山に入る。義貞は討ち死にする。

翌年、尊氏は征夷大将軍に任ぜられ足利幕府を開くが、後醍醐天皇の死をきっかけに各地で反乱がおこる。尊氏の弟・直義は高師直と対立。尊氏は師直と組み、直義を失脚させて、幕府の実権を長男の義詮に譲る。直義の養子・直冬が挙兵し、直義とともに尊氏に迫る。直義・直冬軍と尊氏軍の戦いが繰り返され、尊氏は幽閉した直義を毒殺。父の死を聞いた直冬は京に攻め上るが、一色右馬介の決死の説得で兵を引く。3年後の延文3年(1358年)4月、足利尊氏は54年の生涯を閉じる。その後、南北朝は統一され、室町幕府は孫の義満の時代に最盛期を迎えるのだった。
登場人物
足利一門
足利家
足利尊氏
(足利又太郎→足利高氏→足利尊氏)演:真田広之(少年期:雨笠利幸)主人公。足利家当主・貞氏の嫡男で、父の死後は足利家当主。武家官位治部大輔鎮守府将軍左兵衛督を経て権大納言征夷大将軍に至る。将軍となってからの通称は「大御所(おおごしょ)」。青年時代にはアクのない「誰からも好かれる」人物として描かれた。建武の新政が始まった中盤以降は、朝敵となったことを恥じて戦いから離れたりするなど、やや屈折も見せた。「英雄というより小さな正義感を頼りに迷いながら生きた人物」として描かれていると評されていた[7]。若き日に偶然出会った後醍醐帝の高貴で気品ある姿と立ち居振る舞いに圧倒され、深い敬意を抱いた。後醍醐への敬意は後に敵対関係になっても失われる事は無く、崩御の訃報を知った際は深く悼んだ。武勇に優れ特に馬術、騎射に長ける。征夷大将軍になってからも自ら最前線で戦う勇将だが、晩年背中に受けた矢傷が悪化、衰えていく。将軍就任後は幕府の実権を弟・直義に委ねていたが、終盤、直義と道を違えて争いやむなく毒殺したことを深く悲しみ、直義の遺体を抱きながら号泣する。そして養父の死を知り復讐の念に燃える庶子直冬との戦いに、衰えた身体で臨む事となる。
赤橋登子
演:沢口靖子尊氏の正室。赤橋守時の妹。北条一族滅亡後は一族唯一の生き残りとなる。将軍御台所で、通称は「御台様(みだいさま)」。美貌と聡明さを兼ね備えており、特に聡明さにおいては道誉からも評価されるほどである。一方で義詮を早々に手放してしまった事が屈託になっており、再び同居するようになってからは溺愛した。また兄・守時を立場上見殺しにせざるを得なかった事に悔いを残している。青年時代の高氏(尊氏)は赤橋家に母・清子の仕組んだ「見合い」によって知り合い、歌のやり取りを通して、登子のことが気に入った。尊氏とは戦などにより離れ離れの生活をすることが多く、またストーリー前半では婚家の足利家と実家の北条家との板挟みとなり、後半では不知哉丸(足利直冬)の存在に心を乱されるも、夫婦仲は良好であった。原作の小説では出番はさほど多くないが、このドラマ版では大幅に出番が増え藤夜叉と並ぶメインヒロインとなった。
足利貞氏
演:緒形拳(少年期:高野八誠)尊氏の父。当代きっての御家人・足利家の当主として、北条家・幕府側から常に監視される立場にあった。幕府との協調と、源氏の棟梁としてのプライドの板ばさみの中、血気盛んな高氏(尊氏)をなだめながら、密かに天下取りを託していた。倒幕を夢見ながら実現する前に病死した。
上杉清子[8]
演:藤村志保貞氏の側室であり尊氏・直義の母。正室である金沢貞顕の妹に代わり、貞氏の傍にある。京の上杉家出身で和歌や文学に精通している。忍従する貞氏を支え、天下争乱の渦に巻き込まれてゆく尊氏・直義兄弟を優しく見守る。尊氏の将軍就任後は将軍生母として重んじられ「大方禅尼(おおかたぜんに)」と尊称される。偶然に不知哉丸(直冬)の存在を知り、これを可愛がったため義詮を推す登子と「嫁姑の争い」を演じる一幕も見られた。やがて病に倒れ、死の間際まで兄弟の行く末を案じていた。
貞氏の正室
演:横山リエ金沢貞顕の妹。夫の貞氏とは不仲で、実家の金沢家に戻ってしまう。
足利直義
演:高嶋政伸(少年期:高橋守)尊氏の弟。室町幕府においては政務の実権を握り「副将軍(ふくしょうぐん)」と称せられる。通称は「三条殿(さんじょうどの)」、後に出家して「慧源(えげん)」と号する。兄に北条との対決をけしかけるなど、血気盛んな印象が強くなっている一方で潔癖で愚直な人物としての一面も描かれている。兄とは違って合戦の指揮は得手ではなく、政務を自分の生きる道だと思い定めた。刺客を放って護良親王を暗殺するなど冷徹な一面も見せるようになる。常に兄の傍らにあって支えていたが高師直らの台頭もあって、次第に兄とは道を違えて争うようになる。しかし、派閥争いで分裂同然の状態にあった足利家を一つにしたいという思いは心の片隅に残しており、最後は兄による毒殺を受け入れ、号泣する兄の腕の中で息を引き取る。
直義の妻
演:武藤令子足利一門の渋川氏の出身。病弱で目立たない存在。
足利義詮
(千寿王→足利義詮)演:片岡孝太郎(幼年期:稲葉洋介→/少年期:森田祐介)尊氏と登子の間に生まれた長男で足利家の嫡男。武家官位左馬頭で通称も「左馬頭(さまのかみ)」。のちの2代将軍。倒幕時には北条の人質として鎌倉に留められていたが、尊氏が反旗を翻した時に母とともに脱出し、鎌倉攻撃の際には義貞と合流、幼児ながら尊氏の名代として名目上の総大将となった。その後は長く父母と離れて鎌倉府にて諸事にあたっていた。父に呼ばれ上洛してからは、都からの逃亡の際に上皇の身柄確保を失念したり、独断で対立する桃井直常の暗殺を謀ったりするなど迂闊な行動が多く、尊氏や次第に権勢を強める高師直と対照的に、性格も短気で単純な人物として描かれた。最終回には直冬相手に奮戦し武将として成長した様子が描かれ、衰えた尊氏に代わって政務に励んでいる事が道誉の口から語られる。
足利直冬
(不知哉丸→足利直冬)演:筒井道隆(少年期:山崎雄一郎)尊氏の庶長子で後に直義の養子となる。武家官位左兵衛佐で通称は「佐殿(すけどの)」。高氏(当時)が藤夜叉と京都で密会した後に生まれた子とされている。戦を嫌い、我が子が武将になることを望まない藤夜叉の気持ちを汲んで、武門から遠ざけようとする父からの処遇に愛情を感じることが出来ずに反感を抱き、武家としての立身出世欲から事あるごとに父に反発し、やがて幼少の頃から目をかけてくれ養子にまでしてくれた叔父の直義と結びつき、尊氏の前に立ちはだかる。直義の毒殺を知るや復讐の念に燃え、尊氏と直接対決するも右馬介の命懸けの説得によって戦意を喪失、いずこともなく去っていった。
直冬の花嫁
演:苑村美月少弐頼尚の娘。直冬の器量を見込んだ頼尚によって直冬と政略結婚する。
足利家時
演:小形竹松尊氏の祖父。貞氏の子どもの頃に幕府により切腹させられている。その際、子孫に宛てて「我に代わりて天下を取れ」と幕府打倒の悲願を託した置文を残した。その置文は高氏が足利一門の前で打倒北条の挙兵を表明した場面で高氏自身によって全文が読み上げられた。
光王
演:枝松拓矢尊氏と登子の間の次男。のちの初代関東公方。父尊氏から蹴鞠の手ほどきを受ける。
高家
高師直
演:柄本明足利家の執事で、武家官位武蔵守。一見能面の表情で惚けた雰囲気を見せながらも武勇と知謀に長けた実力者で大きな権勢を振るった。そのことが直義との対立を招き、やがて観応の擾乱を引き起こす。一時は尊氏の暗殺すら企むが、それを知ってもなお自分の事を許してくれた尊氏の度量の大きさに打たれ、かつ自分の卑小さを思い知らされ号泣する。心を入れ替えて生き直そうとするが、上杉能憲らによって襲われ非業の死を遂げる。
高師泰
演:武内伸一郎→塩見三省師直の兄。師直以上に直情的かつ傲慢な振る舞いを見せる。武家官位越後守。武勇に長けた猛将で、「神も仏も信じた事はない」と嘯き尊氏への忠誠心もやや薄いなどドライな一面を持つ。師直とともに上杉能憲らに襲われ落命。
高師氏
演:安部徹足利家の執事。師直の祖父。高氏の祖父家時、父貞氏の代に仕え、家時の切腹を貞氏と共に見届けた。塩屋宗春の一党を小山氏に引き渡すかどうかで足利家が紛糾した際、冷静かつ現実的な意見をもって貞氏を諭した。
高師重
演:辻萬長足利家の執事。師直の父。高氏の父貞氏に仕え、厚い信頼を得ていた。病に倒れた貞氏が家督を高氏に譲るのに合わせ、自らも執事の座を息子の師直に譲った。
高師行
演:左右田一平師直の伯父
彦部十郎
演:田口トモロヲ高師直の配下
二条の君
演:森口瑤子関白二条道平)の妹。高師直の愛人。その正体は南朝方の間者であり、師直に対し尊氏に謀反を起こすようたびたび焚きつける。


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