探検家のフェルディナンド・マゼランが、1520年 - 1521年に、世界一周の航海の途上でマゼラン海峡を抜けて太平洋に入った時に、荒れ狂う大西洋と比べたその穏やかさに、"Mar Pacifico (マレ・パシフィクム、平和な海)と表現したことに由来する[10]。マゼランが太平洋に入りマリアナ諸島に至るまで暴風に遭わなかったことからこのように名付けたともいう[11]。
明代末の中国では1602年にイエズス会士マテオ・リッチが世界地図『坤輿万国全図』を作成した[11]。この地図は世界の地理名称をすべて漢語に翻訳したものだが、太平洋全体に対する表記はなく、北海、南海、東南海、西南海、大東洋、小東洋、寧海という7つの海域名称を付けている[11]。
マテオ・リッチの世界地図『坤輿万国全図』は日本にも伝来し、1698年頃に書かれた渋川春海の『世界図』では北太平洋に「小東洋」と記されている[11]。幕末になりパシフィック・オーシャンの日本語訳である「太平洋」が使われるようになった[11]。 太平洋は赤道を境界として北太平洋、南太平洋と区別されることも多いが、この場合ガラパゴス諸島とギルバート諸島に関しては赤道を南北にまたぐものの南太平洋に属するものとして扱われる[12] 付属海は、北からベーリング海、オホーツク海、日本海、黄海、フィリピン海、東シナ海、南シナ海、スールー海、セレベス海、ジャワ海、フロレス海、バンダ海、アラフラ海、サンゴ海、タスマン海。太平洋には大西洋のような大規模な対流はない。主な海流に黒潮、親潮、カリフォルニア海流、北赤道海流、ペルー海流(フンボルト海流)などがある。海流の作る渦は旋廻渦と呼ばれ、北太平洋旋廻の中心には太平洋ゴミベルトと呼ばれるゴミの海域が広がっている。 最深部はかつてマリアナ海溝のビチアス(ヴィチャージ)海淵 (11,034m) であるとされていたが、その後の測定の結果、この測定値には疑問がもたれており、現在では同じマリアナ海溝のチャレンジャー海淵の10,920±10mが確実な値とされる。これは米国のスクリップス海洋研究所所属のトーマス・ワシントン号および海上保安庁海洋情報部所属の拓洋によって測量された水深値を元に、1992年4月英国で開催された第8回GEBCOオフィサー会議で報告・了承された値である。平均深度は4280メートル、総水量は7.1億立方キロメートルである[1]。 太平洋全体で最も大きい陸塊はニューギニア島である。ニューギニア島は世界で2番目に大きい島でもある。太平洋のほぼすべての小さな島は北緯30°から南緯30°の間、およそ東南アジアからイースター島までの間にある。最終氷期の間、海水面が低くなっていた関係でニューギニア島はオーストラリア大陸の一部だったので、ボルネオ島とパラワン島のくっついたものが一番大きい陸塊だった。 太平洋中央部の島々は、大きくメラネシア、ポリネシア、ミクロネシアの三つに分けられる。 北端のハワイ諸島と東端のイースター島、南端のニュージーランドを結んでできる大きな三角形の中を占めるポリネシアは三つの海域中最も広く、クック諸島、マルキーズ諸島、サモア、ソシエテ諸島、トケラウ、トンガ、トゥアモトゥ諸島、ツバル、ウォリス・フツナ等の群島や島嶼がある[13]。 赤道の北側かつ日付変更線の西側はミクロネシアといい、北西部のマリアナ諸島、中央部のカロリン諸島、西部のマーシャル諸島、南西部のギルバート諸島など、多くの島が存在する[14][15]。 太平洋の南西角はメラネシアに属し、太平洋最大の島であるニューギニア島をはじめ、他にもビスマルク諸島、ソロモン諸島、フィジー、ニューカレドニア、バヌアツ等がある[16]。 太平洋の島は基本的に4つのグループに分けられる。大陸島、High island (en
地理潜水艇のトリエステ。1960年1月23日にマリアナ海溝の底へ潜った。
海
水深
陸南カリフォルニアの海岸から太平洋を望む。
サンゴ礁の島のグループ、サンゴの台地のグループは、その名の通りどちらもサンゴによって作られた石灰岩質の島である。サンゴ礁とは、海面下の玄武岩の溶岩流に低く垂れこめるように作られる構造物である。オーストラリアの北東にあるグレートバリアリーフは最も大規模な物の1つとして知られている。後者のグループは、前者のグループより大抵やや大きい。例としてはバナバ島 (かつてはオーシャン島と呼ばれた)やフランス領ポリネシアのトゥアモトゥ諸島にあるマカテア島などがある[18][19]。
南太平洋上には、陸地から最も離れた場所(到達不能極)であるポイント・ネモがあり、人工衛星を安全に落下させるための目標とされている[20]。
海水の特徴2004年の時点での世界の海流の一覧。赤が暖流で青が寒流。
太平洋の水の体積はおよそ7.14億立方キロメートルであり、世界の海水総量の50.1%を占める[21]。水温は場所によって様々で、極付近では海水の凍りはじめる凝固点である-1.4度近くまで下がり、赤道付近では30℃近くにまで上がる[22]。
塩分濃度も緯度によって様々である。赤道付近の海水は中緯度地域の海水よりも塩分濃度が低い。