太平島
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中華民国の抗議により両国で帰属を巡る協議が行われる予定であったが、第一次インドシナ戦争の影響でフランスが会談を放棄。

1946年11月 中華民国国民政府は、「太平号」など4隻の軍艦を南沙諸島に派遣する。

1946年12月 中華民国国民政府は、島を広東省の管轄とする。

1949年12月 中華民国政府が台湾に移転する。

1950年 フィリピン民間人が島に進出、燐鉱の採掘を行う。

1952年 日華平和条約で、日本が太平島を含む南沙諸島の放棄を確認。

1956年 中華民国はフィリピンから島を奪還し、海軍陸戦隊を駐屯させる[7]

1960年9月 高雄郵便局の支局が設置される。

1960年10月 測候所が気象台に昇格する。

1963年7月 郵便局が台北市郵便局の管轄に変更される。

1963年 中華民国行政院に「南海開発チーム」が設置される。

1968年 「南海開発チーム」が「南海資源開発所」に昇格する。

1975年 中華民国政府が、フィリピン、ベトナム、マレーシアに対し南沙諸島の領有権は中華民国に帰属するとの声明を発表。

1980年2月16日 中華民国行政院が、太平島を高雄市旗津区に帰属させることを発表。

1992年6月12日 中華民国内政部に「南沙チーム」設立準備委員会が設置される。

2000年1月 行政院に海岸巡防署が設立され、海岸巡防署(日本の海上保安庁に相当)が太平島を管轄する[7]

滑走路建設

2005年12月に中華民国国防部が滑走路建設を発表。民間および人道支援目的の建設であることを強調し、滑走路は短すぎるため戦闘機の離着陸は不可能であり、軍事用途には使用不可能であるとした[8]

2006年1月初頭に中華民国外交部がベトナムの抗議を受けて、太平島の滑走路建設に政治的・軍事的意図はないと表明[8]

2006年1月の外交部声明発表の数日後に国防部前副部長が立法院国防委員会で、太平島の滑走路建設には戦略的考慮があると答弁[8]

2006年に政府による滑走路建設が開始され、太平島の環境問題が注目されるようになる[9]

2007年12月-2008年1月の間に滑走路完工使用開始され、1月21日に中華民国空軍のC-130輸送機が秘密裏に初の太平島着陸に成功し、同日、台湾に帰還する[10]

2008年2月2日に陳水扁中華民国総統が軍用機C-130で太平島に到着、空港落成使用開始式典を主催して駐留する軍関係者を慰問、島内施設を視察する[10]

2015年7月7日に馬英九中華民国総統が、太平島の埠頭などの整備を「積極的に進める」と「抗日戦争勝利70年」記念のシンポジウムの講演で述べた[11]。また中華民国が昨年2月から太平島の埠頭新設や滑走路改修などの工事を始め、埠頭は年内にも完成予定と報じられている[11]

ハーグ仲裁裁判所判決後

2016年7月12日、国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所が、太平島を含む南沙諸島(スプラトリー諸島)には法的に排他的経済水域(EEZ)を設けられる「島」はないと認定した[12]と報道された。中華民国が実効支配する太平島が「島」ではなく「岩」だとして排他的経済水域を認めない判断を下した(南シナ海判決)。さらには「中国の台湾当局」という表現が判決文にあること[13]に対して、強く反発。蔡英文総統は「裁定は台湾の権利を傷つけるもの」[14]として軍艦(康定級フリゲート「迪化」)を派遣した[15]

2016年9月20日、新たな構造物が4つ建設されたことが、グーグルアースで明らかとなった。これについて馮世寛国防部長は、「全ての軍事施設と用途は機密であり、説明しかねる。」「太平島には強固な防衛能力があることを知ってほしい。」と語った。 また、海岸巡防署は「対外説明はできない」とコメントを控えた[3]

2016年9月21日、中華民国政府はグーグル社に、太平島について、グーグル・アースの衛星画像をモザイク処理するよう求めた。中華民国国防部の陳中吉報道官は「軍事機密と安全を守るという前提条件のもと、重要な軍事施設の映像をぼかすようグーグルに要請した。」と述べ、海岸巡防署は「撮影場所が軍事エリアだとグーグルは認識していなかったかもしれない。」とみて、グーグルと協議中であることを認めた。これに対して、グーグル社は台湾の要請を検討していると述べた[16][17]。これにより、中国政府だけでなく、台湾政府までもが南沙諸島の軍事基地化を進めていることが明らかとなった[17]

2016年12月9日、日本から南シナ海の各諸島を接収し、管轄権を回復してから70年目の節目に合わせ、台北市の国史館では70周年を記念する特別展が開かれた。蔡英文総統は開幕式の挨拶で、「政府は南シナ海の領有権を守り続け、主権と合法的な権利を放棄しない」と述べ、国際法と国連海洋法条約に基づき、同海域でのしかるべき権利を主張していくことを強調した[18]

2017年3月29日、中華民国海岸巡防署は太平島で3月29日から3日間にわたって定例の射撃訓練を実施した。それに対して、ベトナム当局が3月30日に「主権の侵害であり、海上の安全に脅威を与えた」と抗議し、同日に中華民国外交部はベトナム政府に対して「太平島は中華民国固有の領土であり、定期的な訓練を行う権利がある」と主張し、「『争議を棚上げし、共同開発を行う』という基本原則の下で、近隣諸国と共同で平和と安定を維持していきたい」との立場を示した[19]

2017年4月29日、台湾国防部は大学院生を対象に、太平島を軍艦で訪れる9日間の研修キャンプを開催した。若い研究者に南シナ海政策を理解・支持してもらい、同海域における台湾の主権をアピールするのがねらいであり、参加者は太平島に1泊して、淡水の井戸、農場、住民遺跡などを見学し、中華民国の国旗掲揚や手紙の投函などを体験した。また、航海中は南シナ海戦略や軍史に関する講義や実技訓練を受けた。2017年度は、7月までにあと3回実施する予定であり、第4陣には小中学校の教員が参加する予定である[20]

2018年11月5日、厳徳発国防部長は米軍艦の太平島への寄港について、人道支援なら許可することは可能だとの考えを示した。一方、地域の安全や安定に影響を及ぼすようであれば、是非を検討する必要があるとした[21]

2020年8月25日、史順文報道官は、台湾が自主開発した無人偵察機「鋭鳶」を国防部(国防省)が南シナ海の東沙島や太平島に配備し、両島の防衛力を強化させていく方針を示した[22]

脚注[脚注の使い方]^ a b c d“台湾は、太平島の主権を主張”. daily Asia news (デイリーアジアニュース). (2015年7月8日). ⇒http://daily-asia.com/post-1489 2015年7月21日閲覧。 
^ a b 参考文献「台湾の南シナ海南沙諸島太平島における滑走路建設をめぐる論争とその政策的含意」26ページ
^ a b c“<南シナ海>太平島に新たな構造物 憶測広がるも国防相「機密」/台湾”. 中央社フォーカス台湾 (中央通訊社). (2016年9月20日). ⇒http://japan.cna.com.tw/news/apol/201609200007.aspx 2016年9月25日閲覧。 
^ “ ⇒国内外のメディアを南シナ海・太平島に招待=外交部”. 台北駐日経済文化代表処 (2016年3月24日). 2017年7月31日閲覧。
^ 「台湾 実効支配の島/南沙・太平島 海外メディアに初公開/領有権アピール」『読売新聞』朝刊2016年3月24日(国際面)。
^ “ ⇒外交部と農業委員会、「太平島陸地生態環境調査団」説明会を開催” (2016年1月25日). 2016年2月2日閲覧。
^ a b c d e f g 参考文献「台湾の南シナ海南沙諸島太平島における滑走路建設をめぐる論争とその政策的含意」14ページ

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