天照大神
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伊勢神宮においては、通常は天照大御神の他に天照皇大神/天照皇太神(あまてらすすめおおかみ)、あるいは皇大御神(すめおおみかみ)と言い、神職が神前にて名を唱えるときは天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)と言う[5]

なお、「大日?貴」の「ムチ」とは「貴い神」を表す尊称とされ、神名に「ムチ」が附く神は大日?貴のほかには大己貴命(オオナムチ、大国主)、道主貴(ミチヌシノムチ、宗像大神)など[注釈 1]わずかしか見られない[6]
系譜「日本の神の家系図」も参照

父 イザナギ(伊邪那岐神、伊邪那岐命、伊弉諾尊)

母 イザナミ(伊弉冉尊、伊弉弥尊)(日本書紀でのみ、古事記では誕生に関与していない)

三貴子(イザナギ自身が自らの生んだ諸神の中で最も貴いとしたアマテラスを含む三姉弟の神)

弟 ツクヨミ(月読命、月夜見尊)(記紀に性別についての記述がなく実際は性別不明)

弟 スサノオ(建速須佐之男命、須佐之男命、建素戔嗚尊速、素戔男尊、素戔嗚尊)


夫 なし(ただしスサノオとの誓約が両神の結婚を表しているという解釈もある[7]

五男三女神(アマテラスとスサノオの誓約の際に生じた神:女神がスサノオの剣を天照大神が口に含み先に生んだ子、男神がスサノオがアマテラスの玉を口に含み後に生んだ子)

女神 多紀理毘売命 - 別名:奥津島比売命(おきつしまひめ)

女神 市寸島比売命 - 別名:狭依毘売命(さよりびめ)

女神 多岐都比売命

男神 正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命

男神 天之菩卑能命

男神 天津日子根命

男神 活津日子根命

男神 熊野久須毘命

ツクヨミ同様、明確な性別の記載があるわけではないが、『日本書紀』ではスサノヲに姉と呼ばれていること、アマテラスとスサノオの誓約において武装する前に髪を解き角髪に結び直す、つまり平素には男性の髪型をしていなかったことに加え、機織り部屋で仕事をすることなど女性と読み取れる記述が多いことなどから、古来より一般に女神と解されている。

別名の「オホヒルメノムチ(大日?貴)」の「オホ(大)」は尊称、「ムチ(貴)」は「高貴な者」、「ヒルメ(日?)」は「日の女神」[8]を表す。但し「?」は「巫」と同義であり、古来は太陽神に仕える巫女であったとも考えられる[9]。「ヒコ(彦)・ヒメ(姫・媛)」、「ヲトコ(男)・ヲトメ」、「イラツコ(郎子)・イラツメ(郎女)」など、古い日本語には伝統的に男性を「(子)」・女性を「メ(女)」の音で表す例がみられ、この点からも女神ととらえられる[10]。後述するように中世には仏と同一視されたり、男神説等も広まった[11]

天照大神のモデルは淮南子山海経などに出てくる東海の海の島(日本)に住んでいる十の太陽神の母である羲和が該当するとする説[12]や、淮南子の冒頭と日本書紀の冒頭にて重なる部分が存在する事から記紀の執筆者が淮南子を読んでいたとする説がある。

天照大神は太陽神としての一面を持ってはいるが、神御衣を織らせ、神田のを作り、大嘗祭を行う神であるから、太陽神であるとともに、祭祀を行う古代の巫女を反映した神とする説もある[13]。ただし、「メ(女)」という語を「妻」「巫女」と解釈する例はないともいわれる[10]

もとはツングース系民族の太陽神として考えると、本来は皇室始祖の男神であり、女神としての造形には、女帝推古天皇や、持統天皇(孫の軽皇子がのち文武天皇として即位)、同じく女帝の元明天皇(孫の首皇子がのち聖武天皇として即位)の姿が反映されているとする説もある[14][15]。兵庫県西宮市の廣田神社は天照大神の荒御魂を祀る大社で、撞賢木厳之御魂天疎向津媛命(つきさかきいつのみたまあまさかるむかいつひめのみこと)という祭神名が伝わっている。これは天照大神を祀る正殿には伝わらない神名であるが、荒祭宮の荒御魂が女神であることの証左とされる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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