天文台
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大気による観測への影響を避けるため航空機に設置した空中天文台(英語版)(成層圏赤外線天文台など)気球に望遠鏡を搭載したBalloon-borne telescope(英語版)大気圏外・軌道上に設置された宇宙天文台(ハッブル宇宙望遠鏡など)
天文台の利用形態

研究機関の天文台では望遠鏡は共同利用の形式を取り、観測計画を公募して観測時間を複数のグループに細かく割り振る場合が多い。このような利用形式は、長期間の監視観測や多くのサンプルを集めなければならない観測(サーベイ観測)、超新星爆発などの突発的な現象の観測には不利になる場合がある。この点を補完する存在として、私設天文台や公開天文台の望遠鏡による観測も重要な役割を担っている。
国際的に著名な天文台の例

グリニッジ天文台 - 世界時や経度の基準となったイギリスの天文台。

パロマー山天文台 - かつて世界最大の口径であった5mヘール望遠鏡を持つ。

アメリカ海軍天文台 (USNO) - 代表的な天体暦である The Astronomical Almanac を発行している。

スミソニアン天体物理観測所 - 太陽系内天体の観測データを下に予報を行うセンター等が設置されている。

ヨーロッパ南天天文台 - 南半球最大の観測装置を運用する天文台。

アメリカ国立電波天文台 - 世界最大規模の地上VLBIを運用する天文台。

ヤーキース天文台 - シカゴ大学附属の天文台。世界最大の屈折式望遠鏡(天体望遠鏡を参照)を運用している。

国立天文台 (NAOJ) - 日本の代表的な天文学の研究機関。理科年表の編纂等を行う。

海上保安庁 - 日本の代表的な天体観測データ天体観測表を発行している。

ジェミニ天文台 - 存続のため、観測時間が売却されている。マウナケア天文台群の1つ。

日本における公開天文台
概略

日本の場合、教育機関(高等学校・大学)附属の天文台や国立天文台以外に、地方公共団体や企業によって運営されている一般公開を前提とした天文台が存在し、公開天文台と呼ばれている[注 1]。 多くの場合、公開天文台は光学望遠鏡を備え、天体観望や天文関連情報の広報、画像等の天文資料の展示・解説、講演会、学習会、イベント開催などを行うのが一般的である。日本の公開天文台数は100を優に超えており、世界に例を見ない天文台大国となっている。
公開天文台の歴史

日本における最初の公共天文台は、1926年(大正15年)11月に創立された倉敷天文台で、当時としては日本国内最大級の口径32cm反射望遠鏡(ガルバー鏡)を設置していた。これは、山本一清京大教授の天文普及の理念の感化を受けた原澄治倉敷紡績専務が私財を投じた全国初の民間天文台だった。当時の天文台はすべて官立で一般の天文愛好家は利用できなかったので、天文学普及のため誰でも観望できるようにと無料公開された施設だった。1941年(昭和16年)以来、同天文台主事として本田実が活躍し、氏は新彗星12個、新星11個を発見した。
公開天文台の目的と状況

公開天文台の中には、国民の豊かな自然観を育むことを目的とする生涯学習施設として位置づけられるものもあれば、観光資源の一つとして集客による経済効果を期待されるものもある。望遠鏡の維持や施設管理には設置時の数%程度の経費を毎年要するため、後者のうち特に1990年代にふるさと創生資金を活用して設置されたものの中には自治体の財政難から閉鎖されるものも出始めている。
大型天文台との比較

公開天文台の望遠鏡を用いた観測は前述のように、研究機関が保有する望遠鏡による観測を補完するものとして、比較的自由度の大きな観測を行える利点を持つ。ただし、現状の日本の公開天文台の望遠鏡は口径50cm?1mクラスのものが多く、世界の研究用天文台で3?4mクラスの望遠鏡が珍しくないことを考えると研究用途としてはやや不利である。兵庫県立西はりま天文台には世界最大口径(2m)の公開望遠鏡「なゆた」があり活用されているが、日本の空は気候的・地理的に気流が良くないことが多く、可視光観測では撮像よりも分光観測に向く空であるとされている。一方赤外線では様相が異なり、日本の空でも十分な星像を得られることが多い。したがって、公開天文台における研究観測では、メリットを生かせる観測対象の選択や、望遠鏡と空に見合った観測装置の整備が求められている[注 2]
公開天文台の成果

公開天文台では観測者が様々な天文現象を観測することを目的に活動をしており、太陽観測や惑星観測、変光星観測(測光観測)、分光観測(太陽などが中心)、撮像観測(太陽・月・惑星・太陽系内天体の写真など)において多くの成果が発信されている。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 公共性の高い施設であるため、公共天文台と呼ばれることもある。英語の"public observatory"の"public"を「公共」と訳すか「公開」と訳すかの問題である。用例から判断すれば、publicは公開とする例が多い。公共の場合には、officialを当てる例が多い。つまり、public observatoryの場合には、研究成果などが公開されている天文台となる。
^ 天文台は都市部では設置が難しいため、大型観測施設は圧倒的に地方山間部が多い。夜間の地球を撮影した画像等からも分かるように、日本は夜間の照明が多く、夜空が明るい。これは観測の妨げにはなるが、防犯や事故防止などの理由もあり、いかしかたの無いことでもある。しかし、以前に比べればよい条件を整えた観測施設が増えたことも確かである。今後は、より小さく・より高度な観測機器(具体的には、感度や精度が高い機器類のこと)の開発が公開天文台からの要望であるように思われる。

出典^ “Commons:Picture of the Year/2010 - Wikimedia Commons” (英語). commons.wikimedia.org. 2022年11月14日閲覧。
^ “ ⇒レプソルド子午儀と子午儀室(上)”. 2018年3月4日閲覧。
^ “ ⇒樺太国境を決めたバンベルヒ子午儀”. 2018年3月4日閲覧。

関連項目
観測設備

望遠鏡 - 天体望遠鏡

測定器具 - 観測装置

ドーム(天体観測ドーム)- スライディングルーフ観測所

天文学・宇宙物理学

国際天文学連合 - 天文台コード

日本の公共天文台

公開天文台一覧

世界の天文台

天文台一覧

国際観測所

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