天才
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知能指数(IQ)で、ある程度の区分をもうける向きもあり、知能指数が130(標準偏差15の場合、またその中央値は100)ないし所定の値を上げ、これを超える辺りから知能面での天才という風潮もかつては見られたが、近年では知能指数の高低は必ずしも客観的に人の知的能力を包含しきれていない見方も出ており、同指標による分類には限界があるとされている。これには、同値が、検査年齢や状況・出題傾向、IQテストに対する慣れなどによっても大きく差が出る点も含まれる。知能指数(IQ)の高さは必ずしも天才性(創造性など)とは結びつかない。

アメリカの心理学者ルイス・ターマンはIQ140以上の1500人余のカリフォルニア州の児童を長期的追跡調査を始めた、その後70年間追跡調査が行われたが、IQ140以上の人々は高い創造性を示す人々が非常に少なく、例えばノーベル賞受賞者に至っては一人もいなかった。皮肉なことに、ターマンの高知能児の選別から漏れた二人(ウィリアム・ショックレーとルイス・ウォルター・アルヴァレズ、二人はIQがそれほど高くなかった。)がノーベル賞を受賞した。はからずも、高IQと高創造性(天才性)は、全く関係性がないことが証明された[13]。日本で有名な人物では山下清のように、知的障害があっても芸術面で高い評価を得ている人物も存在する。彼のように特異な一分野でのみ異常ともいえる才能を発揮する人たちも見られる。(→サヴァン症候群
天才の努力とひらめき

エジソンの言葉として知られている「天才とは1%の霊感(ないし閃き)と99%の努力」だが、この霊感とも呼べる「ひらめき(閃き:inspiration)」が一般に軽視される傾向もままある。99%までもの弛まぬ努力(原文ではperspiration-「流汗」で韻を踏んでいる)も確かに必須なのではあるが、1%のひらめきを大切にし、これを生かす事が出来なければ天才ではなく、エジソンは自身を指して自然界のメッセージを受け取る受信機に例えるほどひらめきを重視していた[14]
架空の天才

天才は古くより、人類の歴史において文明の発展に大きく寄与してきた。このため尊敬と羨望を集める存在としても扱われ、架空の作品中でもしばしば登場する。身近な例では漫画などの大衆娯楽にもしばしばストックキャラクターの類型として登場する。もっとも、作中で「天才少年」などといわれていても、上記の天才の特徴には必ずしも当てはまらない例や、正確には秀才ではないかと思われる例も多い。また、デウス・エクス・マキナ的に「最終的には彼のアイデアで解決」というパターンになることもよくある(たとえば「ひょっこりひょうたん島」の博士)。

このデウス・エクス・マキナ的な舞台装置としての天才は、場合によってはマッドサイエンティストのように、滑稽ないし異常な性格を持つ役柄として登場する事もある。また「自称天才」のようなキャラクターも登場するが、自称の場合では本物の天才に及ばない劣等感から、悲惨な事件を起こすなど歪んだ性格のキャラクターであることも多い。

その一方で天才を人為的に作り出そうというアプローチを取り上げたSF作品も多い。代表的なところとしては『アルジャーノンに花束を』が挙げられる。この作品では脳への薬理的な働きかけと外科的手法とにより次第に知能が向上し、才能の片鱗をみせた者が、愚かだが状況に不満も抱かずに過ごしていた頃から、知能があがるにつれて猜疑心を抱いたり孤独に悩まされたりといった状況を経て、やがて己の知能が失われることに気付いて思い悩み、やがて最初の無垢な愚か者になっていく様子が描かれている。
脚注^ “天才(てんさい)の意味”. goo国語辞書. 2019年12月7日閲覧。
^ “VINCENT VAN GOGH'S BIOGRAPHY: MENTAL HEALTH”. www.vangoghgallery.com. 2024年3月8日閲覧。
^ “Who was Jonathan Swift? Everything You Need to Know” (英語). www.thefamouspeople.com. 2024年3月8日閲覧。
^ “The Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel 1994” (英語). NobelPrize.org. 2024年3月8日閲覧。
^ “Ernest Hemingway (1899 ? 1961)”. 2024年3月8日閲覧。
^ 『天才 創造のパトグラフィー』福島章 p.78 講談社現代新書 ISBN 4061457217
^ 『天才―創造性の秘密』 (みすずライブラリー) W. ランゲ=アイヒバウム p.117 ISBN 978-4622050629
^ Kyaga, Simon; Landen, Mikael; Boman, Marcus; Hultman, Christina M.; Langstrom, Niklas; Lichtenstein, Paul (2013-01-01). “Mental illness, suicide and creativity: 40-Year prospective total population study”. Journal of Psychiatric Research 47 (1): 83?90. doi:10.1016/j.jpsychires.2012.09.010. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 0022-3956. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022395612002804. 
^ “ ⇒創造性と精神病をつなぐ遺伝学 。Nature Neuroscience 。Nature Portfolio”. www.natureasia.com. 2024年3月8日閲覧。
^ “芸術的創造性、精神疾患と共通の遺伝子で発現か アイスランド研究”. www.afpbb.com (2015年6月9日). 2024年3月8日閲覧。
^ 『天才の心理学』p.28 エルンスト・クレッチマー 岩波文庫 ISBN 978-4003365816
^ 藤原正彦『天才の栄光と挫折―数学者列伝』(新潮選書 2002年のちに文春文庫)。


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