災害時に避難を判断する場面において、生存のために望まれるのは1.自主解決により自分の命を守る最善の努力をしようとすることであり、2.他者依存や3.思考停止はそういった努力を妨げる方向に働く。しかし、例えば水害への制御可能感への裏返しとして行政への責任を求める傾向は2.他者依存を助長し、生命の限界を直視せず楽観視するという誰もが持つ心理特性は3.思考停止を助長するため、人間の心理特性として1.自主解決を行うのは容易ではない。そのため、防災教育を通して1.自主解決へ導き災害時の柔軟な判断を可能にすることが必要と考えられる[13]。
また、「災害は忘れたころにやってくる」という言葉があるように、大きな災害を経験したとしても、経験を伝承する先人の言葉や教訓は次第に忘れ去られ、風化していくのが常である。近代に津波被害を受けて高台に移転しても、より便利な海辺へと次第に回帰し、再び住居が建てられるようになった地域が存在している。高台移転については、当初は津波への恐怖が「職住分離」の不便さを上回っていても、やがて時間とともに変わっていくため、これを維持するための配慮が必要となる。また、堤防によって守られていても、それに依存せず教訓を伝えていく努力が必要となる[14][15]。 災害は法律で定義される場合もあるがその対象や規模は一律ではない。 主な災害をその分類とともに示す。自然災害の詳細な分類については「自然災害」を、事件・事故(人為的災害)の詳細な分類については「事件」「事故」を参照 なお、他の災害に比べて被害の程度やその広がりが著しい災害を「大規模災害」と呼ぶことがあるが、具体的な定義はない。被害の広がりに着目した場合、「広域災害」と呼ぶこともある。これらは甚大な被害によって外部からの救援を必要とする場合が多い。また、都道府県を跨ぐ規模の災害を「スーパー広域災害」と呼ぶこともあるが、これは日本の災害対策が市町村や都道府県ごとの縦割りとなっていて、都道府県を跨いだ大規模避難や救援などの災害対策の連携に難点が見られることから作られた用語である[21]。 このほか、いわゆる災害の「ダブルパンチ」とよばれるような、複数の誘因が重なった災害を「複合災害」という。例えば、2011年の東日本大震災は地震と津波の被災地で福島第一原発事故が発生した。2004年10月の新潟県中越地震の被災地は、同年7月に豪雨に見舞われており、翌年1 - 2月にはさらに豪雪に見舞われた[22]。 突発的事象により引き起こされるものを非常災害、日常的な生活の中で引き起こされるいわゆる"事故"を日常災害と呼ぶ。安全工学では、日常災害、労働災害を含めた広範な事象を災害として扱う。一時に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した災害事故を「重大災害」と称する。 災害を未然に防止する対応は、被害が生じないようにする被害抑止と、被害が生じてもそれを少なくし、立ち直りがスムーズになるようにする被害軽減に大別される。一方、災害発生後の対応は、救助や避難所の運営などの応急対応と復旧・復興に大別される。これらが防災を構成する[8]。これらに加えて、自然災害のメカニズムやそれを抑止する技術の研究、災害の予測(ハザードアナリシス)、それらの知識の普及(防災教育)なども重要な要素である[5]。
災害と法律
災害の種類
例えば日本の災害対策基本法では、災害を「暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害」と定義している(第2条第1項、2015年7月時点)[16]。ここで、これらに類する政令で定める原因としては「放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故」が定められている(同法施行令第1条)[17]。従って、災害対策基本法上の災害には自然災害以外の原因による災害も含まれる。また、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法は自然災害のみを対象としているが、公立学校施設災害復旧費国庫負担法は火災などの人為的災害も対象にしている[18]。
災害の規模
日本の災害対策基本法における災害には定量的な基準があるわけではなく、国民の生命、身体、財産に相当程度の被害を生じるような場合が想定されている[18]。一方、災害救助法では、対象とする災害について市区町村の人口に応じ滅失した住家の数によって基準が設けられている[18]。
災害の種類
社会学的定義
自然災害
気象災害
雨(大雨・集中豪雨)に起因するもの - 洪水(河川の氾濫、内水氾濫)、土砂災害 (斜面崩壊、がけ崩れ、土石流、地すべり)など風に起因するもの - 強風・暴風、竜巻、高潮、波浪雪に起因するもの - 雪崩、積雪、吹雪雷に起因するもの - 落雷中長期の天候に起因するもの - 干害[18](干ばつ)、冷害[18](冷夏)、熱波、寒波その他 - 霜害[18]、雹害[18]、土地の隆起や沈降[18]、蝗害
地震
地震に起因するもの - 液状化、津波、岩屑なだれ、がけ崩れ、(地震)火災
噴火
噴火に起因するもの - 降灰、噴石、溶岩流、火砕流、泥流
人為的災害
列車事故、航空事故、海難事故、交通事故、火災(いずれも大規模なものに限る)爆発事故、炭鉱事故、石油流出、化学物質汚染、原子力事故(原子力災害[注 1])テロ(テロ災害)、戦争(戦災、武力攻撃災害[注 2])NBC災害[注 3]、CBRNE災害[注 4]、武力攻撃原子力災害[注 5]
安全工学的定義
人為的災害
日常災害(事故)または労働災害
転落、転倒、落下物による受傷、中毒、溺水、火傷、感電
その他
製品欠陥に伴う製品事故、食品事故、医療事故暴動、犯罪
災害の防止と対応詳細は「防災」を参照
災害派遣 - 大規模な災害が発生した場合、主に都道府県知事が自衛隊に対して捜索や救助活動などの支援のために要請する。
公衆電話 ‐ 災害時優先電話である公衆電話は停電時でも使える[23]。
00000JAPAN ‐ 災害時や通信障害時に開放される公衆無線LAN・Wifi。
自動販売機 ‐ 一部の自動販売機は、被災時に被災者に飲み物などを提供する[24][25]。