大韓民国ウォン
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合衆国政府印刷局が印刷した1ファン、5ファン、10ファン、100ファン、1000ファン各紙幣が流通し、1959年からはファン硬貨も発行された。1959年以降、韓国の紙幣や硬貨における漢字表記はなくなり英字とハングルのみとなっている。

ファンの下にも補助単位チョン(錢、jeon)が置かれ、1ファンは100チョンだった。ただし、チョンの硬貨・紙幣は発行されず、チョンが現金単位として使われることはなかった。

しかしファンも、李承晩大統領が独裁権力を振るう第一共和国時代の政治と経済の混乱でインフレーションが起こり米ドルに対する価値が下がっていった。1960年には大統領選挙での不正をきっかけに四月革命が起こり第一共和国が倒され、第二共和国へ移行した。政治や経済は不安定さを増し、1960年の秋以降、失業率や物価の上昇でインフレーションが急速に進み、1961年1月1日には1ドル=1000ファンに、2月2日には1ドル=1250ファンへと価値が急落した。

ファン硬貨 [4]
画像額硬貨柄日時
表裏幅(mm)重量(g)材質表裏鋳造開始流通終了
1019.12.46 95%
亜鉛 5%ムクゲ, 額, 銀行名額, 国名, 鋳造年1959年 (檀紀4292年)1959年10月20日1975年3月22日
5022.863.69 70%
亜鉛 18%
ニッケル 12%亀甲船, 額, 銀行名額, 国名, 鋳造年1959年 (檀紀4292年)1959年10月20日1975年3月22日
10026.06.74白銅
亜鉛 75%
ニッケル 25%李承晩, 額, 銀行名1959年10月30日1962年6月10日

米国印刷ファン紙幣 ⇒[2][リンク切れ] (朝鮮語)
票面額面サイズ色デザイン日時
表面裏面表面裏面発行終了
1111 × 54 mmピンク「韓国銀行」の名前と漢字ハングルで額面韓国銀行の行章1953年2月17日1962年6月10日
5赤
10156 × 66 mm紫「韓国銀行」の名前と漢字ハングルで額面、亀甲船韓国銀行の行章
100緑
1000灰

国内印刷ファン紙幣 ⇒[3][リンク切れ] (朝鮮語)
票面額面サイズデザイン日時
表面裏面表面裏面発行終了
10156 × 66 mm南大門巨済近郊・海金剛海岸の風景1953年3月17日1962年6月10日
1953年12月15日
50149 × 66 mm独立門李舜臣立像と亀甲船1958年8月15日
100156 × 66 mm李承晩独立門1953年12月18日
1954年2月1日
Value1957年3月26日
母と子独立門1962年5月16日
500156 × 73 mm李承晩額面1956年3月26日
1958年8月15日
世宗大王韓国銀行本館1961年4月19日
1000166 × 73 mm李承晩韓国銀行行章1957年3月26日
165 × 73 mm世宗大王トーチ1960年8月15日

新ウォン

大韓民国ウォンの固定相場
日付KRW/USD
1962年06月10日125
1964年05月03日255
1972年08月03日400
1974年12月07日480
1980年01月12日580

1961年5月16日に起こった5・16軍事クーデターで第二共和国は倒され、朴正煕少将が権力を握る国家再建最高会議(軍事政権)が誕生した。この政権は経済再建と経済開発を優先し、翌1962年には第一次五か年計画と通貨改革を実行に移した。1962年6月9日に新たな大韓民国ウォンが登場、1ウォンは10ファンと交換され1ドル=125ウォンに固定された(第3次緊急通貨措置)。補助単位はチョン(英語表記は「jeon」に改められた)であり1ウォンは100チョンとなったが、今日チョンが実際に現金単位として使われることはない(1962年 - 1980年発行の10チョン紙幣と50チョン紙幣は現在も法的には有効であるが、1ウォン・5ウォン硬貨でさえ事実上流通していない現在では、これらの紙幣が現実に使われることは事実上皆無となっている)。この通貨改革によりようやくインフレーションは緩やかになった。

1970年代前半は、石油ショックの影響もあり、1972年1974年にウォンが切り下げられた。1980年1月12日には1ドル=580ウォンとなったが、同年2月27日には変動相場制への移行が始まった。アジア通貨危機の最中の1997年12月24日国際通貨基金(IMF)との合意により、完全変動相場制へと移ったが[5]、その後ウォンの米ドルに対する価値は、僅かな間に半分に落ち込んでいる。

現在韓国では、現金を用いない電子決済が現金決済より圧倒的に多いキャッシュレス社会の国となっている。ただし、屋台など現金しか使えない場所もまだ残っている。
流通貨幣
紙幣

2006年から2007年にかけて新デザインによる新紙幣が導入された。偽造防止のための新技術が盛り込まれ、サイズが小さくなった。長年似通っていた図柄を現代風に改め、紙幣の色彩が鮮やかになり、額面の文字と数字が大きな字で明るくはっきり見えるようになった。新シリーズは額面によって様々な偽造防止技術が導入されている[6]。50,000ウォン紙幣は22種、10,000ウォン紙幣は21種、5,000ウォン紙幣は17種、1,000ウォン紙幣は19種の偽造防止技術が入っている。

偽造防止技術の例は下記の通り。

ホログラム:表面の金属ホイル部分の変色立体画像。

透かし:人物像の透かしが白色部分に入っている。

隆起印刷:文字と人物像の印刷部分が隆起している。

セキュリティ・スレッド:「????[注釈 3] Bank of Korea(BOK)」と額面表記のスレッドが表面に織り込まれている。

光学的変化インク:裏面の額面表記が変色インクになっている。

ユーリオン:偽造防止認識パターン。

記番号については次の形式となっている。

1983年-2005年のシリーズの旧紙幣では、ハングルとアラビア数字から成る記番号を用いており、その記号としてはハングルの子音のうちの10種類「??????????」にそれぞれ母音の「?」を組み合わせた「??????????」の10文字を使い、ハングルは3文字、数字部分は8桁であった。ただし1000ウォン紙幣のみありうる全ての組み合わせを使い果たしたため、その後は記号のハングルの母音を「?」に変えた「??????????」を使っている。

2006年からのシリーズでは、 アルファベットとアラビア数字から成る記番号を用いており、その記号としては「ABCDEFHJKL」の10文字を使い、アルファベットは3文字、数字部分は8桁で、「AA00000001A」のような形式となっている。

この他、2006年からのシリーズでは、漢字で「韓国銀行総裁」に相当する「??????」という四角形の印章が表面に印刷されている。


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