大陸間弾道ミサイル
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V2を発展させ、ヨーロッパよりアメリカ合衆国本土を直接攻撃できる弾道ミサイルとしてA10の開発が行われていたが、開発中に戦争が終結している。

V2の技術は大戦後に米ソ両国に受け継がれ、特に長距離戦略爆撃機戦力で劣っていたソ連が開発に熱心であった。世界最初のICBMは初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに使用されたソ連のR-7である(1957年)。アメリカで実用化されるようになったのは、アトラスであった。アトラスは1959年に実戦配備が開始された。1962年にはタイタン Iが実戦配備に付けられたが、R-7やアトラス、タイタンは、液体酸素をロケット燃料の酸化剤に用いているため、即時発射態勢で待機ができず、発射準備にも時間を要する欠点があった。しかし1960年代に入って貯蔵式液体燃料方式が普及し、ソ連のICBMやアメリカのタイタン IIはこの方式を採用するなど、即時発射の問題は解決した。アメリカでは1962年からミニットマンの配備を始めたが、これは固体燃料を用いたために即時発射が可能であっただけでなく、小型で安価であったため量産され、1,000基に達した。1971年には米ソに続いて中国もICBMである東風5号の発射に成功した。

それまでの中距離弾道ミサイル(IRBM)が、ソ連攻撃のためにヨーロッパに配備する必要があったのに対し、ICBMはアメリカ本土配備でもソ連攻撃が可能となった事は、政治的に有利であった。

また、初期のICBMは大規模地上施設から発射されたが、後には抗堪性の高い地下施設であるミサイルサイロ内に収められ、そこから発射されるようになった。ほかにも秘匿性の高い潜水艦に搭載したり、鉄道や大型TEL車両に搭載するタイプもある。

1993年第二次戦略兵器削減条約(START2)では米ロが使用するICBMでのMIRVの使用を禁止したが、結局、ロシア側が批准しなかった。その後、米ロ間で結ばれたモスクワ条約ではMIRVを禁止しなかったため、MIRVの搭載も可能となった。

現在ICBMを配備・開発している国は、アメリカロシア中国北朝鮮インドの5カ国(「#大陸間弾道ミサイルの一覧」参照)。核保有国であるイギリスはICBMを配備せず、核戦略を潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に頼っている。また、フランス冷戦期間中にIRBMを固定配備していたが、冷戦終結後に廃棄した。1970年代には大陸間弾道ミサイルの開発構想も持ったが断念し、SLBMと爆撃機で核抑止を行っている(「イギリスの大量破壊兵器」「フランスの大量破壊兵器」参照)。
大陸間弾道ミサイルの一覧米国のICBMLGM-118A ピースキーパーの発射実験によりクェゼリン環礁に落下する再突入体

アメリカ合衆国項目名(制式番号、名称)

アトラス(MGM-16 AtlasD/E/F)

タイタンMGM-25A TitanILGM-25C Titan II

ミニットマン(LGM-30A/B Minuteman I、LGM-30F Minuteman II、LGM-30G Minuteman III)

BGM-75 AICBM - 開発中止

ミゼットマン(XMGM-134 Midgetman) - 開発中止

ピースキーパー(LGM-118A Peacekeeper)

ロシア項目名(ロシア制式番号、DOD識別番号、NATOコードネーム

R-7(SS-6、Sapwood)

R-16(SS-7、Saddler)

R-9(SS-8、Sasin)

R-36(SS-9、Scarp)

UR-100(SS-11、Sego)


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