蒸した黒豆(黒大豆)を発酵させてから乾燥させたものは、香?(こうし、別名:豆?(ずし))という生薬であり[48][49]、陶弘景校定による『名医別録』には「?」として収載されている[48]。香?には発汗作用、健胃作用があるとされ、香?を含有する漢方薬には梔子?湯、瓜蔕散などがある[48][49]。本来、黒豆の発酵・乾燥品を用いるが、現在では納豆を乾燥させたものを代用する[49]。 多くのマメ科植物の種子と同様に、ダイズ種子中には、微量タンパク質を含み多様な機能を発揮する。プロテアーゼ・インヒビター(プロテアーゼ阻害剤) (トリプシン・インヒビター、セリンプロテアーゼ・インヒビター(セルピン))やアミラーゼ・インヒビター(Α-グルコシダーゼ阻害剤)やレクチンが含まれて消化を悪くする。 生で大豆を食べると、トリプシン・インヒビターなどにより消化不良で下痢を起こすことがある。加熱処理をすることで変性・失活させて消化吸収効率を上げている[50]。 大豆乳の加熱処理について、100℃10分間の加熱処理した大豆乳には加熱未処理試料のトリプシン・インヒビター活性の約34%が残存し、また100℃20分間では約30%、120℃10分間では約10%、120℃20分間でも約5%のトリプシン・インヒビター活性が残存した[51]。 黒大豆を95℃で加熱した場合のトリプシン・インヒビターの活性変化について、1%のNaCl(食塩)溶液中、16%のショ糖溶液中では、いずれも60分の加熱でトリプシン・インヒビターの70%の活性が残存していたが、0.1%の重曹溶液中の45分の加熱でトリプシン・インヒビターの活性は完全に失われた[52]。 納豆菌はトリプシン・インヒビターを分解するプロテアーゼを作ることができ、それにより消化酵素であるトリプシンが正常に機能して、タンパク質の消化吸収効率が増大する。
消化
タイプ
用途別
蛋白大豆=食用
油大豆=油用
枝豆用
主な品種・ブランド様々な大豆
黒豆
赤豆
大鉄砲大豆
くろさき茶豆
だだちゃ豆
青入道
現在日本でよく知られている大豆加工食品には以下のようなものがある。
大豆の原形をとどめるもの
乾燥大豆 - 大豆を保存する際の基本形であり、数時間以上水にもどしてから調理に用いる。また節分時のようにそのまま「炒り豆」にすることも。
煮豆 - 味をつけずに煮た「水煮」は調理に用いられる。保存のきく缶詰やレトルトパックに個装されて市販もされている。枝豆も参照。
甘納豆
大豆を粉砕したり搾ったりしたもの
大豆油
きな粉
ずんだ - 未成熟の青い大豆を茹でてから粉砕し、砂糖または塩を加え餡仕立てにしたもの
打豆(かち豆)- 大豆を粗く粉砕して乾燥させたもの。さまざまな調理に用いる。
呉 - 水煮した大豆を摩砕した状態のもの(豆乳とおからに分離する前段階のもの)
豆乳 - 呉を布などで搾って得られる液体
ゆば - 豆乳を加熱して生じる皮膜
豆腐 - 豆乳ににがりを加えて凝固させたもの
油揚げ - 薄切りにした豆腐を揚げたもの
生揚げ、厚揚げ - 厚く切った豆腐を揚げたもので、内部に豆腐のままの部分を残している。