大藪春彦
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大下英治との対談では、なかでも『獄門島』が好きであり、自分でも瀬戸内海を舞台とした作品を書いてみたい、と語っている[11]。同インタビューでは横溝以外に高木彬光山田風太郎土屋隆夫などが好きとも語っている。大藪は後に横溝正史賞の選考委員も務めている(第1回 - 第5回)。

自身の小説の挿絵画家としては大塚清六がお気に入りだった。大塚とは1958年の『血の罠』から1973年の『黒豹の鎮魂歌』[注 5] まで、雑誌連載や単行本などで断続的にコンビを組んだ。

劇画家の佐藤まさあきとは同じ拳銃マニアとして親交があった。佐藤の為に劇画『夜の復讐者 弔いは誰のために』の原作を書き下ろしたが、版元の河出書房が倒産したため2話で打ち切りとなった。

文壇とは距離を置いていたが、生島治郎[注 6]森村誠一片岡義男など同世代の作家たちと交友関係があった。のちの世代では、平井和正馳星周花村萬月島田荘司夢枕獏船戸与一、評論家の野崎六助関口苑生茶木則雄新保博久などがファンとして知られる。

筒井康隆の短編「優越感」(「三丁目が戦争です」を戸建て住民側視点で描いたもの。作品としてはこちらが先)に“不法所持のワルサーを持ち出して参戦するハードボイルド作家”として登場する。

趣味

愛車は、
ダットサンブルーバード1200から、フェアレディスカイラインGT-B、スカイラインGT-R、BMWなどを乗り継いだ。

1973年(昭和48年)オーストラリアダーウィンで、ワイルド・バッファロー43頭を射殺し、「ハリー・ザ・キラー」の異名をとった。[12]

作風

典型的なアンチヒーローを主人公に据えた、壮絶なバイオレンス・アクションを描いた作品が多く、政財界と癒着した組織により、すべてを失った者たちによる「復讐」をテーマとする作品もある。

テーマを具現化する主人公で、作者自身も思い入れの深い人物として、伊達邦彦や朝倉哲也(『蘇える金狼』)、北野晶夫(『汚れた英雄』)などがいる。

彼らは屈強な体力と旺盛な食欲・性欲にあふれ、強烈なストイシズムと反権力志向を持ち、超人思想や能動的ニヒリズム個人主義的アナーキズムに通ずる反国家・反組織反体制の思想を行動原理とする。なお、大藪は「自分で体験したことしか書けない」として、主人公の来歴や境遇は自身の体験に基づくものが多い。

作品に暴力の描写が多いのは、大学生時代に愛読したアメリカのハードボイルド小説の影響による。大藪は人間の心理描写を得意としたレイモンド・チャンドラーロス・マクドナルドよりも、バイオレンス・アクションを描いたダシール・ハメットミッキー・スピレインなどの作品を好んだ。

また、作品の随所には、しばしば銃器や車輌、刀剣についての解説が挿入されている。ナイフメーカーのガーバーロバート・ウォルドーフ・ラブレスなども、大藪が作品で取り上げたことにより、日本での知名度が高まった。
著作リスト
シリーズ作品「野獣死すべし」挿絵
宝石」1958年7月号
伊達邦彦シリーズ

野獣死すべし(中編)大日本雄弁会講談社、1958年 

野獣死すべし 復讐篇 新潮社、1960年 

野獣死すべし 渡米篇(短編)荒地出版社、1960年

血の来訪者 新潮社、1961年 

諜報局破壊班員 徳間書店、1965年  

日銀ダイヤ作戦 光文社、1970年

不屈の野獣(短編集)秋田書店、1971年

マンハッタン核作戦 光文社、1976年

優雅なる野獣(短編集)角川書店、1979年

野獣は甦える 光文社、1992年

野獣は、死なず 光文社、1995年

田島英雄シリーズ

探偵事務所23(短編集)新潮社、1962年 

孤狼の掟(掟シリーズと重複)双葉社、1966年

矢吹貴シリーズ

破壊指令No.1 光文社、1966年  

偽装諜報員 光文社、1968年

狂った報復者(短編)東京文藝社、1969年

掟シリーズ

孤狼の掟 双葉社、1966年

復讐の掟 双葉社、1967年

男の掟 双葉社、1969年

非情の掟 双葉社、1970年

骨肉の掟 双葉社、1972年

処刑の掟 双葉社、1975年

輪殺の掟(処刑シリーズと重複)双葉社、1977年

鷹見徹夫シリーズ

俺に墓はいらない 光文社、1969年

暴力列島 光文社、1972年

ハイウェイ・ハンター 西城秀夫シリーズ

東名高速に死す 光文社、1970年

曠野に死す 光文社、1971年

狼は暁を駆ける 光文社、1972年

エアウェイ・ハンター 西城秀夫シリーズ

獣たちの墓標 祥伝社、1973年

狼は罠に向かう 祥伝社、1973年

狼は復讐を誓う(全2巻) 祥伝社、1975年

獣たちの黙示録(全2巻) 祥伝社、1982年

処刑シリーズ

輪殺の掟(掟シリーズと重複)双葉社、1977年

処刑軍団 光文社、1978年

処刑戦士 光文社、1979年

女豹シリーズ

非情の女豹 角川書店、1980年

女豹の掟 角川書店、1989年

蘇える女豹 角川書店、1995年

ウェポン・ハンター・シリーズ

戦場の狩人 光文社、1984年

謀略の滑走路 光文社、1985年

地獄からの生還 ザ・サヴァイヴァル 光文社、1986年

香港破壊作戦 光文社、1988年

オメガ・ワン破壊指令 光文社、1990年

アウトバーン0号作戦 光文社、1992年

砂漠の狩人 光文社、1993年

アスファルトの虎(タイガー)

PART1 血と背徳の序曲 角川書店、1984年

PART2 死の円舞曲 角川書店、1985年

PART3 闇に踊る輪舞曲 角川書店、1986年

PART4 灼けた野望の舞踊曲 角川書店、1987年

PART5 猛き情熱の狂想曲 角川書店、1988年

PART6 静謐なる狂気の夜想曲 角川書店、1988年

PART7 魂の鎮魂曲 角川書店、1989年

PART8 幻の狂詩曲 角川書店、1989年

PART9 滾る肉体の受難曲 角川書店、1990年

PART10 熱き欲望の協奏曲 角川書店、1991年

PART11 栄光と狂瀾の幻想曲 角川書店、1992年

PART12 勝利への奏鳴曲 角川書店、1992年

PART13 闇と光の諧謔曲 角川書店、1993年

PART14 伝説への終曲 角川書店、1993年

ノン・シリーズ
長編小説

血の罠 アサヒ芸能出版、1959年

火制地帯 浪速書房、1960年

無法街の死 浪速書房、1960年

みな殺しの歌 凶銃ワルサーP38(全2巻)アサヒ芸能出版、1961年

ウィンチェスターM70 新潮社、1961年

獣を見る目で俺を見るな 桃源社、1961年

血の挑戦 浪速書房、1961年

野獣都市 アサヒ芸能出版、1962年


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