大英図書館
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また、1916年に国立科学技術貸出図書館 (National Lending Library for Science and Technology) が創設された。国立科学技術貸出図書館は、1961年からボストン・スパに所在し、1973年に大英図書館の貸出部門と合併した[5]。1950年に設立された英国全国書誌 (British National Bibliography) の組織は、大英博物館図書館の支局として、イギリスで一週間のうちに出版された全ての図書の一覧表を作成する作業を担っていた。インドの独立後、インド局図書館 (India Office Library and Records) は英国外務省から分離された。インド局図書館の所蔵資料には、イギリス東インド会社の文書が含まれていた[5]
大英図書館への統合大英図書館の入口

上記の図書館の多くは、膨大な資料の書庫スペースの不足に苦労していた。1960年に大英博物館図書館は、資料の書庫スペースが不足していた特許局図書館と合併した。フレデリック・シドニー・デイントン(英語版)は、1969年に単一の国立図書館および国家遺産委員会 (National Heritage Committee) の創設を提案した。

1972年に英国議会が大英図書館法を可決したことにより、大英博物館図書館は、国立科学発明参考図書館、国立中央図書館、国立科学技術貸出図書館のような、国家として重要ないくつかの図書館と合併した。大英図書館の設立をもって、大英図書館は、納本を受け取る権利および全国書誌の作成業務を引き継いだ。正式には1973年7月1日に設立された。大英図書館の監督責任は大英図書館理事会 (British Library Board) が負うことになった。1974年には英国全国書誌 (British National Bibliography) と科学技術情報局 (Office for Scientific and Technical Information) が大英図書館に加わった。1982年にインド局図書館 (India Office Library and Records) が、1983年には大英録音音響研究所 (British Institute of Recorded Sound) が、それぞれ大英図書館に統合された[5]。大英図書館の本館は、1998年にロンドン・カムデン区のセント・パンクラスに建てられた新館に移転した。2003年には、270曲の楽譜を含む、ロイヤル・フィルハーモニック協会の資料が大英図書館に100万ポンドで売却された。
法定納本図書館として大英図書館の内部

イングランドにおける納本制度の歴史は、1610年にトーマス・ボドリー(英語版)が書籍出版業組合と協定を結んで、同組合が登録した全ての書籍を1部ずつボドリー図書館に納めさせたところまで遡ることができる[10][11]。1662年出版許可法 (Press Licensing Act of 1662) により王室図書館 (Royal Library) に対する最初の法定納本制度が敷かれた後、幾度かの制度の改定を経て[12]、1911年著作権法(英語版)の成立により、大英図書館およびイギリスとアイルランドにある他の5館の納本図書館が、イギリスで出版または頒布された全ての出版物を1部ずつ受け取る資格があることを保証する、現行の法定納本制度の基礎が確立された。大英図書館以外の5館の納本図書館とは、オックスフォードボドリー図書館ケンブリッジの大学図書館(英語版)、ダブリントリニティ・カレッジ図書館、スコットランド国立図書館(英語版)、ウェールズ国立図書館(英語版)である[13]。これらの図書館の中で、上記の5館については、納本を受ける資格は与えられているが、実際に納本を受けることができるのは、出版日から12ヶ月以内に納本エージェンシー (Agency for the Legal Deposit Libraries) を介して出版者に納本の請求をした場合に限られるのに対して、大英図書館は、イギリスで出版される全ての出版物を出版日から起算して1ヶ月以内に自動的に1部ずつ受け取ることになっていて、出版者に納本を義務付ける唯一の法定納本図書館である[14][15]。また、1869年以降、大英図書館はイギリスで印刷された全ての新聞も1部ずつ受け取っている。

さらに、アイルランドの著作権法(英語版)(直近では2000年著作権及び関連の諸権利に関する法律)の条項の下、アイルランド国立図書館ダブリントリニティ・カレッジ図書館、リムリック大学の図書館、ダブリンシティ大学の図書館、アイルランド国立大学を構成する4大学の図書館と並んで、大英図書館は、アイルランドで出版された全ての図書を1部ずつ自動的に受け取る資格を有する。ボドリー図書館、ケンブリッジ大学図書館、スコットランド国立図書館、ウェールズ国立図書館も、アイルランドで出版された資料の納本を受け取る権利があるが、イギリスでの法定納本の権利と同様に、出版者に正式に請求した場合に限られる。

2002年12月にイギリスのクリス・モール(英語版)下院議員が議員立法法案を提出し、後に2003年法定納本図書館法(英語版)となった。この法律は、それまでのイギリスの著作権法による法定納本制度の対象に含まれていなかった、マイクロ形態資料やCD-ROM、電子ジャーナル、精選されたウェブサイトをはじめとする電子出版物などの非印刷出版物にまで納入対象を拡大するものであり[16]、イギリスの新しい法定納入制度として、2004年2月1日に施行された[17]
所蔵資料

大英図書館はその設立の経緯から、イギリスの旧王室図書館を経て大英博物館に集められた蔵書を数多く所有し、世界中の3000年分にわたる写本、稀覯本と言ったものが多数蔵書として管理されているのが特徴である。古書や外国文献の収集も盛んに行われている。

また、セント・パンクラス館内には、人文、科学技術、貴重書、手稿、東洋・インド文献などの複数のテーマ別閲覧室が設置されている[18]

大英図書館の蔵書は、毎年およそ300万冊のペースで増加しており[1]、一日あたりに換算すると、毎日8,000冊ほどの新刊が納められていることになる。


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