大火
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部分焼焼き損害額が火災前の建物評価額の20%未満でぼやに至らない状態[1]
ぼや焼き損害額が火災前の建物評価額の10%未満でかつ焼損床面積が1平方メートル未満、または焼き損害額が火災前の建物評価額の10%未満で焼損表面積が1平方メートル未満、または収容物のみ焼損した状態をいう[1]

消火時の放水による損害消防による放水

火事による損害は、火炎だけでなく放水での水濡れによるものがある。高圧で噴射される大量の水は、屋内の家財のみならず家そのものを破損しうる。火災保険において、放水による損害がどのように扱われるかは契約内容によるが、一般的にはカバーされている[7][8]
人的損害

火災はばい煙を発生させ、周囲の空気を汚染し、呼吸困難を引き起こす。「オーストラリア森林火災 (2019年-2020年)」も参照
対策
予防火の用心

そもそも火を使わない[注 3]

火を扱う場合でも、炎から目を離さない

十分な消火設備を用意しておく

また、避難経路の確保も重要である。避難経路や非常口には物を置かず幅を広めにとり、視界も確保する。他に配慮する点としては身体的弱者、例えば高齢者や子供は逃げやすい場所を寝室にする、火災警報機防火戸を設置することなどがある。避難経路、道具については実際の使い勝手を確かめることが肝要である。また、後述のように死因は煙を吸うことによる一酸化中毒が大半を占めるため、それに配慮した避難経路や道具の設置場所かを考える必要がある。

その他、総務省消防庁は、住宅防火対策の推進について、平成26年消防白書の中で以下のとおり必要性を訴えている。

2006年の住宅用火災警報器設置義務化から、まもなく10年を迎え、既設住宅用火災警報器の機能劣化が懸念されることから、老朽化した住宅用火災警報器の取替えを推進するとともに、未設置世帯に対する普及促進を図っていく必要がある。

着火物が寝具類や衣類の場合に住宅火災死者が多く発生していることから、 ⇒防炎品の普及促進を推進していく必要がある。

発生時
最初にすること非常警報装置消防署

大声で「火事だー」と叫び周りの人に知らせる。声が出ないときは、を叩くなどして大きな音を出す。

自動火災報知設備が設置されている場合は、発信機のボタンを押し、地区音響設備(非常ベル)を鳴動させる。

119番に電話し、火災の発生、住所や目印、燃えているものや逃げ遅れの有無を通報する。

初期消火を試みる。ただし天井に火が燃え移った時点で消火を中断し、すぐ逃げること。

排煙設備を作動させ、排煙窓を開放する。

開けられる外部の窓を可能な限り開ける。(※廊下側などの内部の窓は避難経路への煙や一酸化炭素流入の原因となる為、開けてはならない。閉鎖室内での火災の場合は他に誰もいないことを確認し、窓をやドアを可能な限り閉め、内部を窒息させる)

避難方法非常口

逃げ遅れがもっとも危険であるため、貴重品は諦める。服装や持ち物にこだわらず、少しでも早く避難すること。

避難する時はお年寄り、子供などを優先すること。

避難経路が分からない場合や、慣れている避難口が使用不能の場合は、勘に頼らず、通路誘導灯(白色)及び避難口誘導灯(緑色)に従って避難すること。(停電した場合でも停電してから20分間は点灯している)

火災の死者の大半は、火傷ではなく一酸化炭素中毒であるため、姿勢を低くして煙を吸い込まないようにすることを第一とすること。

煙は下ではなく上で向かうため、上階ではなく下階へ、屋内ではなく屋外へと逃げること。

延焼を少しでも遅らせるため、部屋のドアや窓を閉めてゆくこと。

炎の中を通らなければならないときは、頭から水をかぶったり、濡れたシーツなどで体を包みながら躊躇せず一気に走りぬける[注 4]

熱で変形した建物は倒壊の危険性があるため、避難後は決して現場に引き返すことはせず、できるだけ離れて待機することが望ましい。

注意が必要な設備備え付けの消火器

消火器
最も広く知られている消火方法であるが、火が自身の背丈より高い場合は消火器による消火を諦め、避難した方がよい。また、最も普及しているABC粉末消火器はてんぷら油火災の際などの場合、一度消火しても再燃する可能性があるので、その場合は強化液消火器を用いる。電気火災の場合は強化液消火器や泡消火器等の水気のある消火方法は用いないようにする。また、金属火災(ナトリウム等)の場合は二酸化炭素消火器は用いてはならない。

消火栓
一人で操作が可能な2号消火栓と、2人以上で操作する1号消火栓がある。2号消火栓はホースを全て伸ばさなくてもよく、比較的誰でも取り扱えるが、1号消火栓はホースを全て伸ばした上でなければ使用できず、放水圧力が高いため、訓練経験がない人は取り扱わず、避難するようにする。また、火が天井に達したら放水をやめ、速やかに避難する。

パニックオープン
自動火災報知設備と連動して常閉になっている非常口を火災時に自動的に開錠する装置。自動火災報知設備が作動していない場合は逃げられないので、自動火災報知設備が作動していない場合(非常ベルや非常放送が鳴っていない場合)や非火災の地震等で避難する場合は近くにある発信機のボタンを押し、開錠して避難する必要がある。

割錠
普段は常閉の非常口でサムターンにカバーがされているもの。非常時はこぶしでカバーを割り、サムターンを回し、開錠して避難する。

シャッター式防火戸
火災が発生すると作動して閉まろうとするが、シャッターの開口部は避難口ではない(誘導灯もついていない)。降下している最中に挟まれてしまうと負傷したり、また、防火・煙を遮断するという意義を減らすため絶対にくぐってはならない。シャッター式の防火戸は必ずその横に誘導灯のついた避難用の扉があるので探すこと。落ち着くことは迅速な避難だけでなく、煙を吸わないためにも重要である。過去に小学校で誤作動で降下し始めたシャッターを見て焦った児童がシャッターをくぐろうとし、首を挟まれて死亡する事故が発生した。[10]このことから建築基準法が改正(建築基準法施工例第112条14項)され、万が一、人が挟まれても、自動停止して数十センチ巻き上げ、約10秒後に再び降下を開始する、危害防止装置の取付が義務になった他、不特定多数の人が出入りする施設では防火シャッターに「きけん!!くぐるな!!」とひらがなで表記したり、シャッターの降下位置を明示するよう指導している消防署もある。

エレベーター
地震の時と同様、止まったり閉じ込められる可能性があるので、使用してはならない。近年では自動火災報知設備と連動し、火災を感知すると避難階へ自動着床と扉の解放を行い、使用できないようになるエレベーターが主流となった。ただし、給電や配電に火事対策が取られた非常用エレベーターというものが存在する。高さ31メートル以上、もしくは11階建て以上の建築物には建築基準法で設置が義務付けられている。もっとも、これは高層建築での火災時に消防隊員が迅速に突入するためのものである。

地下施設
地下街地下鉄は人が集まり、煙も地上施設に比べてたまりやすいためにパニックや将棋倒しになりやすい。従業員・係員の指示に従って冷静に避難することが大事である。特に列車乗車中に火災に遭遇した場合、安易なドアコックの操作は厳に慎まなければいけない。ドアコックを操作するとドアを手動であけることが出来るようになるが、これを作動させると運転士が異常を感知して列車を直ちに停止させてしまう。この場合、運転士・車掌は火災のために停車したということが分からず、迅速な対策がとれない。また停止場所がトンネル内や鉄橋上である場合には避難・消火の大きな妨げになる。列車内での火災を発見した場合、まずは運転士もしくは車掌に連絡し指示を仰ぐことが大切である。近年、最前部・最後部まで行かなくとも連絡をつけられる対話式の車内非常通報装置(SOSボタン)が普及しつつある。この装置もボタンが押された場合は停止義務があるが、火災を検知するとすぐに運転を再開でき、安全な場所まで運行したうえで避難できることが大きな違いである。たとえば、大阪市交通局では地下鉄乗車中に火災に遭遇した場合には、安全な車両に移動したうえで、非常通報装置を使って乗務員に連絡を取り、車内に備え付けの消火器を用いて初期消火を行うべきだとの見解を示している[11][12][13][14]

緩降機
調速機、着用具、ロープによって構成される降下器具の一種。まず初めに支柱カバーを外し、展開した支柱に調速機を取り付け、ロープと反対側の着用具が巻かれたリールを外に向かって放り投げて地上階へ落とす。この時ただ単に下に落とすだけだと建物の照明やネオンサイン等の設備に引っ掛かったりし、使用不能になる場合がある為、注意する。その後、着用具を指示されている場所(脇下など)へしっかりと掛け、そのままゆっくりと窓や手すりから身を乗り出して降り、そのまま体を任せる。降下が完了したら着用具をいっぱいまで引き、反対側の着用具を調速機まで上昇させて次の人が避難できるようにする。

避難袋
シュート状の降下器具の一種。おもり付きガイドロープ、避難袋、入口枠によって構成される。ここでは最も多く設置されている垂直式自由落下型について記述する。まず初めに本体カバーを外し、おもり付きガイドロープを放り投げる。この時、ガイドロープが外壁の照明などと絡まないよう、遠くへ投げるようにする。避難袋を徐々に降ろしながら避難袋本体が他店の等に絡まないよう、地上階の人がガイドロープを引いて誘導する。避難袋の投下が終わった後、入口枠を180°持ち上げて起こし、ロックする。入口枠へ足から入り、足を大きく広げてブレーキをかけながら徐々に降下する。この時下を見てはならない。また、前の人が降下しているときに降下を開始してはならない。

ガス消火設備
主に消火に水が使用できない受変電室、サーバールーム、化学室等に設置されている消火設備。ハロン化合物と二酸化炭素の2種類がある。ガス消火設備が設置されている部屋で火災が発生した際は、まず人の避難を最優先とし、速やかに退避する。避難誘導員は、入口横に設置されている操作ボックスのふたを開け、避難放送を鳴動させなければならない。避難放送は操作ボックスのふたを開けると自動的に放送され、「火事です。火事です。消火剤を放出します。危険ですので直ちに避難してください。


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