大林宣彦
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本広克行がオール香川ロケした2006年の『UDON』は、「古里に恩返しするために讃岐三部作を撮りなさい」という大林のアドバイスがあったという[6]

1984年、目黒区駒場に映画館「アゴラ」(現・こまばアゴラ劇場)を建設[150]
アイドル映画

大林はこれまで主に、新人アイドル・新人女優を主役にした映画作りを行い[出典 106]、「アイドル映画の第一人者」とも称される[出典 107][注釈 13]。特に1970年代?1980年代に手掛けた作品は「70年代アイドル映画」「80年代アイドル映画」というジャンルとしても評価される[出典 108]2015年2月に、ももいろクローバーZ主演・本広克行監督の『幕が上がる』と新垣結衣主演・三木孝浩監督の『くちびるに歌を』が公開された際に、「アイドル映画」「アイドル&女優が輝く映画」などと特集が組まれたが、大林はその先駆者として各メディアでフィーチャーされた[出典 109]。本広は『幕が上がる』は「大林さんの映画を真似ているところが多い」と話している[出典 110]。『日経エンタテインメント!』2015年3月号の特集「アイドル&女優が輝く映画」では、その系譜の始まりに1981年の『ねらわれた学園』が据えられた[144]。同作は、大作路線を続けた角川春樹が一転、若者向け「アイドル映画」を手掛けた第1弾で、1979年の『金田一耕助の冒険』で意気投合した角川と大林は「誰もやらないような映画を作ってやろう」という目論見から薬師丸ひろ子主演で本作を企画した[出典 111]。また角川から大林に「薬師丸ひろ子をアイドルにしてやってくれませんか」との依頼があり[157]、本作で薬師丸はアイドルとしての地位を確立させた[出典 112]。このため『ねらわれた学園』は「アイドル映画」時代の開幕を告げる作品と評される[152]。同作はSFのジャンルに入れられるが、アイドルが恐怖に巻き込まれるスリリングな展開と独特の陰のある映像は、その後の「アイドル・ホラー」に大きな影響を与えたとも評され、その嚆矢ともいわれる[153]1983年、角川から「尾道で原田知世の映画を撮って下さい」と託された筒井康隆原作のジュブナイル時をかける少女』では、合成コマ落としなどの映像テクニックを最大限に駆使して幻想的な作品世界を描出、のちに定着する"映像の魔術師"、"大林ワールド"といった代名詞はここから始まった[32]。この時期に日本テレビ「火曜サスペンス劇場」向けに円谷プロで撮った「麗猫伝説」は、アングラ映画すれすれの映画詩ふうな作品であり、これを常識を破ってテレビ用に製作できたあたりに当時の大林ブランドの強さと絶好調の自信が示されている。1984年、原田知世主演で撮った『天国にいちばん近い島』は映画は酷評されたが、それまであまり知られていなかったニューカレドニアブームを起こした[159]1980年代の日本映画は、大林宣彦と相米慎二の時代とも評される[113]。アイドルを度々脱がせることから昭和の脱がせ屋などと異名をとるが[出典 113]、「着せてないだけ」と答えている[出典 114]。女優を手加減なしに自身の追求する映像を撮ったこれらは「アイドル映画」の皮をかぶった「作家映画」と見る向きもある[出典 115]。2014年に『角川映画 1976‐1986 日本を変えた10年』を著した中川右介は「盟友関係にあった角川春樹と大林宣彦の二人が、70年代後半から80年代にかけての日本映画界を牽引していたという図式が明確に把握できた。そこであの本では『角川春樹』を主人公とし、副主人公に『大林宣彦』を置いた」[162]、「あの時代個人名で『〇〇映画』と呼ばれていた監督は『大林映画』だけだったのではないか」と述べている[162]

長い自主映画製作キャリアから培ったスキルは撮影、編集、演技のみならず作曲や演奏にも及び、監督デビューよりも2年早く高林陽一監督の『本陣殺人事件』で音楽監督をつとめ印象的なメロディを提供している(自作での音楽監督兼任はそれほど多くない)。出演作品はそれほど多くないが、発声のきちんとしたプロ級演技は『俗物図鑑』(内藤誠監督)などで垣間見ることができる。
1980年代 - 1990年代

「同じことは二度としない」と公言している通り[163]、大林のフィルモグラフィは1作ごとに異なる実験が行われている[出典 116]。『瞳の中の訪問者』(1977年)は、手塚治虫漫画ブラック・ジャック』最初の実写化であるが、『HOUSE』以上に趣味性を前面に押し出し、漫画そのものを実写で描こうとして、原作そのままのメイク宍戸錠を登場させるなどで、「こんな人間がどこにいる!」と手塚を憤慨させたといわれる[113]


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