大木民夫
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1963年に設立された日本放送芸能家協会(現:日本俳優連合)の設立発起人195名の一人であり[14]、実際に融資に応じた発起人83名のうちの一人でもある[15]

80歳を超えても精力的に活動を続け、新海誠監督の『星を追う子ども』(2011年)や細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)などのアニメーション映画、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(2010年)や『ホビット 決戦のゆくえ』(2014年)といった劇場公開用の吹き替えに出演。しかし、晩年は足を悪くしており、2015年に収録した『小さな恋のメロディ』では座りながらの収録であった(この時87歳であった)[16]

2017年12月19日、同年12月14日に死去したことが発表された。89歳没。死因は非公表。葬儀は近親者で済ませた[17]。第12回声優アワードでは、特別功労賞に代えて同年度に死去した声優として他の物故者とともにを顕彰された[18]。この席上では名前だけでなく、事務所プロフィールの写真と代表作[注 1]がスクリーンに映し出され、大木のサンプルボイスの一つ『ふしぎ工房症候群』(ふしぎ工房の老人)の音声が会場内で流された。
特色

アテレコ草創期から活動。キャリア最初期は主演が多かったが、後に脇へまわり重要な役どころを演じるようになった[19]

声自体は太くないがしゃべり方に威厳があり、敵味方および役柄を問わず権力者を担当することが多い[19]B級作品の出演では「威厳あるしゃべり方で映画の質を少しばかり上げることに貢献している」と評されることがあった[19]

洋画ではランドルフ・スコットの西部劇、ロバート・デュヴァルマックス・フォン・シドージョージ・C・スコットロイド・ブリッジスクリストファー・プラマーシーザー・ロメロなどの渋い個性派やピーター・カッシングクリストファー・リーヴィンセント・プライスなどの怪奇スターの吹き替えまで数多くの作品で担当している。

ディズニー作品ではアニメ、実写問わず吹き替えに起用されることが多かった。1977年劇場公開の『星の国から来た仲間』(デラニアン役)から2014年劇場公開の『ベイマックス』(フレッドの父親役)まで、49歳から86歳の長期間にわたりディズニーの吹き替えに携わった。大木が出演した『美女と野獣 ベルのファンタジーワールド』や『ターザン』、『ビアンカの大冒険』(ソフト版)で制作監修を務めた当時ディズニー・キャラクター・ボイス・インターナショナルの岡本企美子[20]は、大木が亡くなった際に「上品で重厚で知的な演技をありがとうございました。大木さんが出るだけでその作品に安定が生まれました。」とツイートしている[21]

アニメ・ゲームにおいては、前記のように権力者を担当することが多く主役を演じる機会がなかったが、80歳を過ぎた2014年に発売されたゲーム『レオズ・フォーチュン』(レオ・ポンド役)や、2016年に公開された劇場アニメ『planetarian ?星の人?』(星の人役)においてそれぞれ主人公を演じた。
人物

趣味書道。大木の妻は書道教室を開いており、ミュージシャン川久保秀一がかつて通っていた[4]

オペラ(イタリアオペラ)に造詣が深く、その知識も豊富なものであった[22][23]
仕事に対する姿勢

プロ意識が高く、2011年に「声優としてどのジャンルの(吹き替えの)仕事が好きですか?」と聞かれた際は「全て。プロですから。」と答えている[24]

生前は生涯現役の意向を持っており、『ふしぎ工房症候群』のインタビューでは願い事をするならば「死ぬ迄仕事を続ける事」と答えている[25]。また同作品の第7弾『風の軌跡』のアフレコ現場の雰囲気について、「自信・不安を抱えたら、スタジオに入り、テストの開始を待つ緊張感はいつも楽しいものです。『風の軌跡』は、重い、深いテーマを持ったドラマだけに、出演者一同、いつも以上の周到な準備と、「我こそ」という気概を感じたのは小生だけではないでしょう。」とコメントしている[26]
人物評

同年代の大塚周夫はインタビューを受けた2009年当時、現役でアテレコをやっている80代で芝居を真剣に勉強してきた役者の一人に大木の名前を挙げていた[27]

神谷明によれば、共演者に対して優しかったが、自身の仕事に対しては厳しく言葉を大事に演じていたという[28]

俺がハマーだ!』で共演した同年代の羽佐間道夫は、「言葉が実に明確で、テンションが実に安定している。安心して聴ける」と評している。また大木は「正確なしゃべり方」をしていたと言い、崩すということはなかったという[29]

ボードウォーク・エンパイア』で共演した多田野曜平は、「すごいパワフル。大勢いる声優陣の中でも一番声量がある」と語っており、同作品のオススメポイントの一つに大木の演技を挙げている[30]。また別のインタビューでは「大先輩の大木民夫さんは、主役はやったことがないけれど、常に主役を食っちゃう実力の持ち主。」と語っている[31]。ほかにも井上和彦は「小さな体からものすごい声量で、常に圧倒されました」[32]桐本拓哉は「高齢だったが自身より声量も滑舌もしっかりしていた」[33]、アニメーターの益山亮司は「アフレコ現場でお見掛けした時は一番年長者であるにもかかわらず、誰よりも発声のある声でした」[34]と言い、東地宏樹は大木のことを「小さな巨人」と呼んでいた[35]

同じ事務所の後輩の松本忍は、Twitter上で「(声帯的に)声優の寿命はどれくらいだと思いますか?」という質問に対して、「寿命は無いと思います。お亡くなりになる少し前の大木民夫さんと現場御一緒した事あったのですが、喋りだすと誰よりも声が大きく凛としていらっしゃいました。」と回答している[36]

五十嵐麗は大木と共演した際、大木が演じるような役をやりたいと思ったとインタビューに答えている[37]

中村悠一は大木が亡くなった際に「大木さんの仕事への姿勢は本当に好きだった。もっとご一緒したかった。」とツイートしている[38]。のちに自身がメインMCを務める『わしゃがなTV』にて、中村のWikipediaを取り上げる際に大木について言及している。どういう姿勢が好きだったのかについて中村は「どの年齢になられても、ベーシックな声優のやらなきゃいけないことを全部完璧にやってくる」ことを挙げている。通常、年齢によって反射神経が衰え、画面から演技がずれていくが大木にはそのような現象がなかったといい、「何度も見たり、そのタイミングを覚えてきたりする」ことを話し、その姿勢を「プロ意識の高さ」と評した。また物腰もすごく丁寧で言い間違えも絶対しなかったという。ほかにも「当時の若手達はみんな憧れていた」「先輩達が叱る時に引き合いに出していた」ことを語っている[39]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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