大日本除虫菊
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改良の着想を得てから7年の歳月を費やし、1902年(明治35年)、現代にも続く「渦巻型蚊取り線香」を発売[5][6]。これが評判となり、1905年(明治38年)には日本除蟲菊貿易合資會社を設立し、海外にも蚊取り線香の販売を開始する。1934年昭和9年)には今日まで発売されている液体噴霧殺虫剤「キンチョール」(キンチョー+オイルの造語)を発売。本格的な虫駆除を目的とした殺虫剤、日用品製造企業としての知名度を築き上げた[7]

なお1960年代から、除虫菊の殺虫成分であるピレトリンは使われておらず、住友化学が開発した合成ピレスロイドの「アレスリン」を使用している。
金鳥の由来

1910年(明治43年)に商標登録された「金鳥」は、同社発売の蚊取り線香の「金鳥香」に由来している。シンボルマークにはニワトリが描かれており、これは「鶏口となるも牛後となるなかれ」という故事成語から採られている。上山英一郎は、この一節を信条としており、業界の先駆者として「鶏口」になり、品質をはじめ、あらゆる面で他より優れたトップの存在でありたいという願いが込められている。また、シンボルマークのニワトリの胸の辺りには「上山」の判子を模したロゴが入っている[8]
沿革

1885年明治18年) - 和歌山県でみかん農園を営んでいた上山英一郎を、慶應義塾大学時代の恩師・福澤諭吉の紹介でアメリカ・サンフランシスコの植物会社社長のH・E・アモアが訪れる。珍しい植物種苗の交換を約束される。

1886年(明治19年) - アモアより、ビューハク(除虫菊)を含む各種の種苗が届く。

1887年(明治20年) - 除虫菊の第一回収穫、試験的に除虫菊を製粉。蚤(ノミ)取り粉の製品化に成功。

1890年(明治23年) - 除虫菊と澱粉を混ぜ合わせた棒状の蚊取り線香「金鳥香(きんちょうこう)」を発売。

1902年(明治35年) - 「渦巻き型蚊取り線香」を発売。

1905年(明治38年) - 「日本除蟲菊貿易合資會社」設立。

1910年(明治43年) - 上山英一郎に勅定藍綬褒章受章が授与される。「金鳥」の商標を登録。

1928年昭和3年) - フランス・ペルメル創案の家庭常備薬「ペルメル」を製造販売。

1934年(昭和9年) - 「キンチョール」発売。発売当初は家庭用噴霧器に入れて使用する液体タイプであった。
「金鳥の渦巻」の新聞広告
(1941年8月)

1935年(昭和10年) - 商号を「大日本除蟲菊株式會社」に変更。

1936年(昭和11年) - 東京支店開設。

1942年(昭和17年) - 大阪市西区土佐堀に本社移転(現在の本社所在地)。上山勘太郎社長が東南アジア出張中、シンガポールで航空機事故に遭い死亡(享年53)。

1943年(昭和18年) - 創業者・上山英一郎没(享年81)。

1952年(昭和27年) - 「キンチョール」が日本初のエアゾール式殺虫剤として発売。

1959年(昭和34年) - サンポールの旧製造販売元だった「日本電酸工業株式会社」が東京都足立区にて設立。

1967年(昭和42年) - 金鳥蚊取り線香のテレビCM歌手美空ひばりを起用。

1969年(昭和44年) - 日本電酸工業の商号を「サンポール株式会社」に変更。

1970年(昭和45年) - ワンタッチぞうきん 金鳥「サッサ」発売(殺虫剤以外の部門にも進出。多角経営のきっかけ)。

1973年(昭和48年) - 金鳥「蚊取りマット」、金鳥「電子蚊取り器」発売。

1974年(昭和49年) - サンポール、会社更生法を申請。

1975年(昭和50年) - サンポール、会社更生法をまとめ再建へ。

1979年(昭和54年) - サンポール、アメリカのクロロックス社と提携。

1980年(昭和55年) - 使い捨てカイロ 金鳥「どんと」発売。

1982年(昭和57年) - アメリカのクロロックス社、サンポールに資本参加、「サンポールクロロックス株式会社」に変更。

1983年(昭和58年) - タンス用防虫剤 金鳥「ゴン」発売(ピレスロイド成分の防虫剤としては世界初)。

1985年(昭和60年) - 創業100周年。「サンポールクロロックス」が当社の傘下に入る。

1988年(昭和63年) - 新本社ビル(大阪市西区土佐堀)落成。

1990年平成2年) - 「キンチョウリキッド」発売。サンポール株式会社の経営を譲り受ける。国際花と緑の博覧会(花の万博)に「グリーンアドベンチャー」出展。

1997年(平成9年) - タンス用防虫剤「ゴンゴン」発売。アメリカ・クロラックス(英語版)社の「コンバット」シリーズと家庭用クリーナーの販売権を取得。

2002年(平成14年) - 「カトリス」発売。

2003年(平成15年) - 「カトリス」の商品名を「蚊に効くカトリス」に変更。

2005年(平成17年) - 住友製薬より大衆薬販売子会社・住友製薬ヘルスケアを買収、同社はダンヘルスケアに社名変更。

2007年(平成19年) - 「虫コナーズ」発売。

2009年(平成21年) - 「ゴキブリがいなくなるスプレー」発売。

2010年(平成22年) - 「蚊がいなくなるスプレー」発売。和歌山工場(和歌山県海南市)竣工。長居球技場(大阪市東住吉区)のネーミングライツを取得し、「キンチョウスタジアム」とする。

2011年(平成23年) - 大阪広告協会主催の「第54回大阪広告協会賞」を受賞。長年に渡りCMで多くの流行語を生み出したのが受賞理由。

2012年(平成24年) - 蚊取線香「金鳥の渦巻」が「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞[9]。「キンチョール ハエ・蚊ハンター」「ゴキブリハンター」発売。

2015年(平成25年) - 上山英介会長逝去(享年78)

2017年(平成29年) - 当社が保有する「日本における殺虫剤産業の発祥を示す資料」が日本化学会により化学遺産として認定される[10]

2021年(令和3年) - 第70回日経広告賞大賞受賞[11][12]

事業所
本社・大阪支店(中四国支店)
大阪府大阪市西区土佐堀一丁目4番11号
東京支店
東京都中央区東日本橋二丁目6番12号
仙台支店
宮城県仙台市青葉区本町二丁目2番3号 鹿島広業ビル6階
名古屋支店
愛知県名古屋市中区丸の内三丁目5番10号 住友商事名古屋丸の内ビルディング5階
福岡支店
福岡県福岡市博多区博多駅南三丁目5番9号
札幌営業所
北海道札幌市厚別区厚別中央2条5丁目3番31号 新札幌第一生命ビルディング4階
工場
大阪工場・中央研究所
大阪府
豊中市大黒町一丁目1番11号
紀州工場
和歌山県有田市山田原180番地
和歌山工場
和歌山県海南市下津町丸田1180番地23
千葉工場・千葉研究室(旧・日本電酸=サンポール=工場)
千葉県市原市玉前西二丁目5番1号
海外現地法人

COCKSEC CHEMICAL INDUSTRY CO., LTD.(
タイバンコク

中山市金鳥化工有限公司(中国広東省中山市


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