大手私鉄
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このように、当初は労使交渉における基準でしかなかった「大手・中小」の区分が、のちに他の場面でも用いられるようになり、「大手私鉄」の語が次第に一般化していった[9]
企業数の変遷

労使交渉で「大手私鉄」とされた12社に西武・小田急を加えた14社の形成は、昭和初期に成立した陸上交通事業調整法などによって私鉄各社の統合が図られたことに端を発する。これにより1945年(昭和20年)の終戦時点では東武・西武・京成・東急(大東急)・名鉄・近鉄(大近鉄)・京阪神急行・阪神・西鉄の9社となっていたが、1947年(昭和22年)に近鉄から南海が、1948年(昭和23年)に東急から京王・小田急・京急の3社が、1949年(昭和24年)に京阪神から京阪が独立し、京阪独立の時点で14社となった。

14社は先述した経緯によって大手私鉄とされるようになったが、以後の認定は業界団体である日本民営鉄道協会(民鉄協)が行っており、鉄道事業者からの要望を受けて同協会理事会で審議の上、承認を受ければ大手私鉄と認定される[15]。この手続きにより1990年(平成2年)5月31日には相模鉄道が大手私鉄に昇格し[16]2004年(平成16年)4月1日には特殊法人帝都高速度交通営団から事業を継承した東京地下鉄株式会社(東京メトロ)[注釈 3]が大手私鉄に加わり、現在の16社体制に至っている。

現在では民鉄協による審査が大手私鉄の認定要件となっているため、事業規模の大小にかかわらず、民鉄協非加盟の鉄道事業者は大手私鉄とはみなされない[15][注釈 4]。例えば2018年(平成30年)4月1日大阪市交通局の鉄道・軌道事業を継承した大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro) は民鉄協に加盟しておらず、大手私鉄とは見做されていない[15]ため、同社の中期経営計画では大手私鉄の語を用いず、自社を「大手鉄道事業者」と表現している[17]。一方、国土交通省はOsaka Metroを大手私鉄に含めるか否かについては「特に何も決まっていない」(2018年当時)としており[18]、2021年(令和3年)4月時点では同社を中小私鉄(中小民鉄)に区分している[19]

このうち、近畿日本鉄道は、中京圏においても路線網を持つが、本社所在地から、関西私鉄として扱われる。
大手私鉄の一覧

本社所在地、設立年および掲載順序は『令和4年度 鉄道要覧』による(複数の本店所在地を持つ企業の場合は鉄道要覧掲載の所在地に絞る)[20]

資本金、鉄軌道営業収益、旅客営業キロ程、旅客車両数、数、旅客輸送人員は特記を除き、日本民営鉄道協会『大手民鉄データブック 2023』による(2023年3月31日現在)[21][22]

No.会社名
(略称)本社所在地設立資本金
(百万円)鉄軌道
営業収益
(百万円)旅客営業
キロ程
(km)旅客
車両数
(両)駅数
(駅)旅客
輸送人員
(千人)備考
1東武鉄道
(東武)東京都
墨田区1897年明治30年)
11月1日102,135139,940463.31,817205798,420
2西武鉄道
(西武)埼玉県
所沢市1912年(明治45年)
5月7日21,66588,956176.61,22792559,061
3京成電鉄
(京成)千葉県
市川市1909年(明治42年)
6月30日36,80354,003152.360669251,208[備 1]
4京王電鉄
(京王)東京都
多摩市1948年昭和23年)
6月1日59,02371,09684.787769553,889
5東急電鉄
(東急)東京都
渋谷区2019年平成31年)
4月25日100135,397110.7130499988,883[備 2]
[備 3]
6京浜急行電鉄
(京急)神奈川県
横浜市西区1948年(昭和23年)
6月1日43,73868,71887.079073404,440
7東京地下鉄
(東京メトロ)東京都
台東区2004年平成16年)
4月1日58,100308,778195.02,7221802,171,910[備 4]
[備 5]
8小田急電鉄
(小田急)東京都
新宿区1948年(昭和23年)
6月1日60,359104,038120.51,06270648,656
9相模鉄道
(相鉄)神奈川県
横浜市西区1964年(昭和39年)
11月24日10029,82842.242627199,091[備 6]
[備 7]
10名古屋鉄道
(名鉄)愛知県
名古屋市中村区1921年(大正10年)
6月13日101,15879,330444.21,076275341,058[備 8]
11近畿日本鉄道
(近鉄)大阪府
大阪市天王寺区2014年(平成26年)
4月30日100128,564501.11,885286501,393[備 9]
[備 10]
12南海電気鉄道
(南海)大阪府
大阪市浪速区1925年(大正14年)
3月28日72,98349,487153.569698203,712[備 11]
13京阪電気鉄道
(京阪)大阪府
大阪市中央区[注釈 5]2015年(平成27年)
4月1日10046,26691.169689243,608[備 12]
[備 13]
14阪神電気鉄道
(阪神)大阪府
大阪市福島区1899年(明治32年)
6月12日29,38432,98848.935851218,671
15阪急電鉄
(阪急)大阪府
大阪市北区2005年(平成17年)
4月1日10089,688143.61,29190571,636[備 14]
16西日本鉄道
(西鉄)福岡県
福岡市博多区[注釈 6]1908年(明治41年)
12月17日26,15718,620106.12977292,504

備考^ 2025年(令和7年)4月に新京成電鉄を吸収合併予定。これにより関東私鉄内での路線総延長距離は西武を抜くこととなり、所有車両数も700両を突破する。
^軌道事業兼営(鉄道99.9 km、軌道5.0 km)。


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