大学
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12-13世紀には、大学から大学へ渡り歩いたり、ドロップアウトして浪々の身となった学生が方々で見られた[5]。かれらは教会の定職を得られない放蕩無頼の聖職者で、ゴリアールまたは遍歴学生 (clerici vaganti) と呼ばれる。

大学の研究のためのポピュラーな教科書は、ペトルス・ロンバルドゥスの『命題集』と言われる。神学生や修士はカリキュラムの一部としてこの教科書について広範な注釈を書くことを要求された。哲学と神学における中世思想の多くは、スコラ的な文献注釈に見出される。なぜならスコラ学は非常にポピュラーな教育法だったからである。

ヨーロッパにおける国際的な卓越性をもつどの大学も神聖ローマ帝国によって「ストゥディウム・ゲネラーレ」(Studium Generale)として登録された。この施設の構成員は、異なったストゥディウム・ゲネラーレにおける講義課程をしばしば与えるので、ヨーロッパ中にかれらの知識を広めるよう奨励された。ハーバード大学
近代の大学ダラム大学

米国では1636年ハーバード大学(最初はHarvard Collegeとして)が誕生する。

イギリスでは、英国国教会の主導の下、中世ギルド的な大学の伝統に従った貴族による教育が大学で行なわれており、研究は民間のアカデミーで進められ、発表されていた。

フランスでは、1806年に、ナポレオン・ボナパルトによって、かつての地方大学が専門学校へと引き下げられ、新設された帝国大学(L'Universite imperiale)が指導監督し、国家が国民の教育にあたるというモデルが採用され、研究はやはりアカデミーで進められるものであった。

特に重要なのは、言語学者プロイセン政治家としても有名だったヴィルヘルム・フォン・フンボルトがその骨格をつくったベルリン大学である。ベルリン大学は、国家からの「学問の自由」の標語の下に、研究者と学生が自主的な研究に基づき、真理と知識の獲得を目的として、法学神学医学といった伝統的な学問領域を軸として、哲学がこれら3つの学問のみならず、自然科学を含めたすべて学問の理論的な研究を指導するというモデルを採用した。ベルリン大学は、研究教育の一体化を図るとの革命的な発想の転換により各国の大学のモデルとなり、その産業形成を支えた[注 5]。19世紀に至ると、歴史学社会学教育学民俗学など新たな学問分野が生じ、数学物理学化学など既存の学問分野も急速な発展を遂げただけでなく、哲学から心理学哲学史が分離するなどして今日の大学の基本的な諸分野が、ほぼその骨格を現すことになった。

イギリス・アメリカでは大学院教育が重視されるようになる。ジョンズ・ホプキンス大学はその代表的な大学である。

20世紀になってからは、欧米以外の世界の各国でも多くの大学が誕生してくるようになる。

ヨーロッパでは、人文科学社会科学自然科学でも理論的な学問研究が、大学の主要学部とみなされた。また、経営学音楽美術工学などでの単科大学はやや差別的な位置づけをされていた[注 6]が、徐々に大学の構成学部として認知されるようになってきた。

21世紀に入ると、情報科学社会福祉都市開発などで従来にはなかったような新しいコンセプトの学部も、世界各国のそれぞれの国内事情に対応して誕生するようになってきた。
各国の大学教育
日本詳細は「日本の高等教育」を参照
世界詳細は「高等教育#世界各国の高等教育」を参照
脚注[脚注の使い方]
注釈^ したがって、最高学府=東京大学とすることは誤用である。
^ 現在の法律概念でいうところの「社団」にあたる。社団という概念はもともとはローマ教皇の破門を契機とするアハトを回避するための概念であった。
^ ただしハスキンスは、オックスフォード大学は12世紀後半にパリ大学から枝分かれしたと述べている(『大学の起源』44頁)。
^ 今日のカトリック教会では助祭への叙階を以て聖職者となるが、当時は下級聖品に叙階された者も、広義には叙階を求めて剃髪した少年も聖職者の身分であった。大学の学生は下級聖品に叙階されたものであった (Richard Kiekhefer, Magic in the Middle Ages, Cambridge University Press, p. 153)。
^ アメリカ合衆国のPh.D.の制度がその典型である。
^ 例えば、ドイツでは単科大学を大学をいうUniversitatよりも格下、もしくは別種のものとしてHochschule(ホッホシューレ)として区別していた。高等教育#ドイツ

出典^ “東大は「日本の最高学府」ではありません”. INSIGHT NOW! (2007年10月31日). 2021年11月3日閲覧。
^ C・H・ハスキンス 『大学の起源』 青木靖三・三浦常司訳、八坂書房、2009年、27-28頁。
^ 『大学で学ぶ西洋史 [古代・中世]』 ミネルヴァ書房、246頁。
^ 堀越宏一・甚野尚志編著 『15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史』 279頁。
^ a b ロベール・ドスール 『中世ヨーロッパ生活誌』 桐村泰次訳、論創社、2014年、324-325頁。
^ ロベール・ドスール 『中世ヨーロッパ生活誌』 桐村泰次訳、論創社、2014年、305頁。

参考文献

C.H.ハスキンズ 青木靖三 著/三浦常司 訳 『大学の起源』(2009年、八坂書房)

吉見俊哉『大学とは何か』(岩波新書、2011年)

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、大学に関連するカテゴリがあります。

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