大学院
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なお、学則で博士前期課程を修士課程と呼ぶと正式に定めている場合もある[39]
教育内容

日本では、一般的には、修士の学位や専門職学位を授与された後に、後期3年の博士課程に進学できるようになっている形態が多い。しかし、一貫制博士課程を設けて修士水準から博士水準までの一貫教育を行う大学院もある。

修士課程・博士前期課程、専門職学位課程では、一般的に2年以上在学して要件を満たすことで学位の授与を受けることができる。授与される学位は、修士課程・博士前期課程では「修士の学位」、専門職学位課程では「専門職学位」である。

修士の学位」または「専門職学位」の授与を受けた後に、博士後期課程・後期3年博士課程で3年在学して要件を満たせば博士の学位の授与を受けることができる。また、「修士の学位」または「専門職学位」の授与を受けていなくても、一貫制博士課程で5年在学して要件を満たしても「博士の学位」の授与を受けることができる。

なお、以下の課程の分類においては、#学則等に見られる用法を用いた。
修士課程・博士前期課程

博士前期課程、修士課程は、「広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又はこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培うこと」を目的としている。学部を卒業した者などが入学者選考試験を経て、合格したものが入学できる。標準修業年限は2年。ただし、在学中に特に優れた成果を挙げたものは修業年限を短縮できる学校もある。修了するためには、規定の単位を取得し、研究指導を受け、各大学院による修士論文審査と試験に合格することが必要である。修士論文審査は、課程によっては、研究成果の審査(つまり修士論文を作成しなくてもよい)であることもある。修了すると修士の学位が授与される。
博士後期課程・後期3年博士課程

博士後期課程・後期3年博士課程は、「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと」を目的としている。修士の学位や専門職学位を授与された者などが入学者選考試験を経て、合格した者が入学できる。標準修業年限は3年。ただし、在学中に特に優れた成果を挙げたものは標準修業年限を短縮できる学校もある。修了するためには、規定の単位を取得し、研究指導を受け、各大学院による博士論文審査と試験に合格することが必要である。修了すると博士の学位が授与される。(「課程博士・論文博士」も参照)

標準修業年限は3年であるが諸外国と同様、業績を得るためにそれ以上の年限在学する者も珍しくはない。そのため、経済的・将来性の面から断念(中途退学)する者が比較的多いのが博士課程の特徴である。また、修業年限以上在学したものの論文審査に合格できずに中退した者は単位取得退学、満期退学と呼ばれる。従来は、退学の場合でも研究業績によっては大学、国の研究機関等で正規の研究員として職を得ている者も少なくなかった。しかし、現在では、研究機関に職を得る時の応募条件として、博士の取得が条件となっていることが多い。
一貫制博士課程

一貫制博士課程は、前期2年および後期3年の課程の区分を設けない課程であり、「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと」(大学院設置基準の1989年(平成元年)改正)[10]を目的として一貫して教育を行う。この課程は、学部を卒業した者などが入学者選考を経て、合格した者が入学できる。修了するためには、規定の単位を取得し、研究指導を受け、各大学院による博士論文審査と試験に合格することが必要である。修業年限は5年。ただし、在学中に特に優れた成果を挙げたものは修業年限を短縮できる学校もある。修了すると博士の学位が授与される。

一貫制博士課程に入学し、前述の博士前期課程、修士課程の修了要件を満たした場合、大学院によっては、修士の学位が授与される。
卓越大学院

5年一貫制の博士課程で、民間企業や海外一流大学と連携して、世界最高水準の教育・研究を行う大学院を支援する「卓越大学院プログラム」が2018年度に導入された[40]
4年制博士課程(後期4年制博士課程)

4年制博士課程は、標準修業年限を4年としている、医学を履修する博士課程、歯学を履修する博士課程、6年制薬学系の大学の学部に接続している薬学を履修する博士課程、獣医学を履修する博士課程である。修了すると博士の学位が授与される。目的、修了要件、授与される学位は、一貫制博士課程と同様である。

4年制博士課程に接続する学部の修業年限は6年であるため、4年制博士課程に入学できる者は、修業年限を6年とする大学の学部を卒業した者、修士の学位を授与された者、専門職学位を授与された者などである。
専門職学位課程詳細は「専門職学位」を参照

専門職学位課程は、専門職大学院の課程であり、「高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うこと」を目的としている。大学を卒業した者などが入学できるが、通例として入学者選考が課され、合格したもののみが入学できる。修了するためには、規定の単位の取得その他の教育課程の履修により課程を修了することが必要である。標準修業年限は、通例2年であるが、専攻分野によっては、1年以上2年未満である。修了すると修士(専門職)専門職学位が付与される。

法科大学院は、法曹養成のための特別な専門職学位課程である。修了するためには、規定の単位の取得が必要である。修業年限は3年。修了すると「法務博士(専門職)」の学位が授与される。「Category:専門職学位」も参照
夜間授業・通信教育
大学院の夜間授業

主に夕刻から授業を始める大学院の課程であり、通常の研究科が夜間にも授業を行っている形態と「夜間において授業を行う研究科」(夜間研究科、夜間大学院)の形態の2種類がある。学部の夜間部(第2部)や「夜間において授業を行う学部」(夜間学部)の大学院版ともいえる。日中、仕事を持つ社会人などが、終業後に通学するなど利便性の点で、大学院の通信教育とともに注目されている。なお、修了して授与される学位は、大学院の(昼間において授業を行う)通常の課程を修了して授与されるものと同一のものである。なお、日本初の夜間大学院は1958年に開設された東京電機大学大学院工学研究科電気工学専攻である。また文科系における日本初の夜間大学院は、1990年開設の青山学院大学大学院国際マネジメント研究科である。さらに社会人を対象とする日本初の夜間大学院は1989年開設の筑波大学大学院修士課程教育研究科、経営・政策科学研究科(経営システム科学専攻)である。
大学院の通信教育

通信による教育を行う大学院の課程であり、大学通信教育を大学院で行うものである。「印刷教材等による授業」(印刷授業)、「面接授業」などの授業や、研究指導を経て学位が授与される。

修士課程・博士前期課程では、放送大学大学院、明星大学大学院、東北福祉大学大学院、名古屋学院大学大学院、帝京平成大学大学院、中京大学大学院、吉備国際大学大学院、倉敷芸術科学大学大学院、人間総合科学大学大学院、桜美林大学大学院、東京福祉大学大学院、高野山大学大学院、東亜大学大学院、京都造形芸術大学大学院、京都産業大学大学院などがある。

また、博士後期課程には、放送大学大学院、明星大学大学院、佛教大学大学院、聖徳大学大学院、日本福祉大学大学院、九州保健福祉大学大学院などがある。
学位の取得について

これまでの大学院教育では、学位の修得が即ち修了資格と不可分の関係にあり、修了するということは学位の修得を意味していた。また、その学位の修得状況については修士の学位についてはともかく、一般に日本国内における人文科学、社会科学分野の博士号については、課程期間内で取得するのが困難で、単位取得満期退学で教職に就き、その後研究を積み重ね、定年近くになって名誉称号的に授与されるのが慣例になっていた。しかしながら近年、日本の慣例を嫌う留学生が日本への留学を回避したり、あるいは日本の大学の学生が海外の大学院へ流出したりするという状況が問題とされた。文部科学省が博士課程の本来の趣旨に従うよう指導を行うなど、現在では、諸外国や理系分野並に人文・社会系であっても博士課程在学中の博士号の取得が可能となる状況となっている。

また、今日ではその大学院の修士課程及び専門職学位課程、または博士課程の定める学位の他に、他の大学との提携による他大学の学位修得の道が開かれている分野もあり、これをダブルディグリー・プログラムという。一方で、技術と知識の習得のみを前提とし学位の授与を行わないノンディグリー・プログラムも存在し、大学院教育の幅や選択肢は多岐に拡がりつつある。
国際機関

国際機関では、その機関の多くの職種において修士号以上の学歴を有することが求められる。
代表的な国際機関
国際連合国際連合開発計画世界銀行等。
JPO派遣制度
外務省として派遣可能な国際機関に関連する分野における大学院修士課程を修了していることが必要。
アメリカ合衆国「アメリカ合衆国の教育#大学院」、「アメリカ合衆国の高等教育」、および「留学#米国大学院留学」も参照

アメリカの学位は日本と同じように、修士と、研究者を目指す人が取得を目指す博士とがある。


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