大学院
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

ただし、当該大学の教育研究上の目的を達成するため有益かつ適切である場合においては、文部科学大臣の定めるところにより、研究科以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる[21]。研究科以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができるようになったのは、2000年4月1日からである。この日に、九州大学の全ての大学院が、学生が所属する教育部として学府、教員が所属する研究部として研究院という組織を持つ大学院へと改組された。東京大学では新たに教育部として学府を、研究部として学環を持つ大学院情報学環・学際情報学府が設置された。

大学院には、二つ以上の大学が協力して教育研究を行う研究科・課程をおくことができる方式が二つある。一つ目は、連合研究科(れんごうけんきゅうか)、連合大学院などと呼ばれる方式(大学院設置基準第7条)で、例えば、東京学芸大学横浜国立大学千葉大学埼玉大学よりなる東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(教育学の博士課程)がある。その他に連合農学研究科連合獣医学研究科連合小児発達学研究科がある。二つ目は、共同教育課程を編成する方式(大学院設置基準第31条)で、共同大学院ともよばれ、例えば東京女子医科大学早稲田大学による共同先端生命医科学専攻がある。なお、連合大学院では基幹となる研究科に組織を設置し、教員・学生は基幹校に所属し、基幹校の名義の学位を出す一方、共同教育課程ではすべての構成大学に組織を設置し、教員・学生はすべての構成大学に所属し、全ての構成大学の連名で学位を出すといった違いがある。

2000年代以降は、大学院において専門の教育と訓練を受けた、各分野において指導的役割を果たす、高度で専門的な職業能力を有する人材(高度専門職業人)の養成という社会的な要望から、主に社会人の経歴を有する者を教育する大学院の課程(社会人大学院などとも呼ぶ)の設置も相次いでいる。

2003年度からは、専門職大学院の制度が作られ、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とする法科大学院などが作られた。専門職大学院については、学術の理論および応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識および卓越した能力を培うことが要求される。

大学院の設置基準としては、大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)などがあり、専門職大学院に関しては、加えて、専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号)などが適用される。
研究大学

文部科学省は国際競争力の向上のため「研究大学強化促進事業」を打ち出し、学部よりも大学院に重点を置いている大学を研究大学と銘打って、他の大学よりも大きな補助金を与えている。文部科学省により選出された研究大学は、北海道大学東北大学筑波大学東京大学東京工業大学東京医科歯科大学電気通信大学名古屋大学豊橋技術科学大学京都大学大阪大学奈良先端科学技術大学院大学神戸大学広島大学岡山大学九州大学熊本大学慶應義塾大学早稲田大学である。[22]
専門職大学院詳細は「専門職大学院」を参照
大学院大学詳細は「大学院大学」を参照北陸先端科学技術大学院大学

日本においては、大学には学部(学部以外の教育研究上の基本となる組織を含む。以下この項で「学部等」という)を置くことを常例としている[23]。しかし教育研究上特別の必要がある場合においては、学部等を置くことなく大学院を置くものを大学とすることができる[24]。この大学は大学院大学(だいがくいんだいがく)などと呼ばれる。

日本初の大学院大学は1982年に財界主導で設立された国際大学である。大学院大学でない大学では、例えば工学部に対する工学研究科のように学部名と同一の名称をもつ、あるいは同一名称でなくとも直接関連する大学院を置くことが多く、これを2階建て大学院という。それに対して対応する学部を持たない大学院研究科は独立大学院あるいは独立研究科と呼ばれる。大学院大学のうち、大学以外の研究機関と協力しているものは、連携大学院(れんけいだいがくいん)などと呼ばれることもある。「Category:日本の大学院大学」も参照
課程

大学院には各種の課程がある。大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)においては、修士課程、博士課程、そして専門職学位課程(専門職大学院の課程)の3種類の課程が規定されている。専門職大学院の課程は組織上、各大学が置く大学院に専門職学位課程として置かれる。大学院を置く各大学の学則などでの運用においては、3種類の課程について細かく分けたり、合わせたりして呼称している。各大学の学則などにおける呼称としては、主に修士課程・博士前期課程、博士後期課程・後期3年博士課程、一貫制博士課程、4年制博士課程、そして専門職学位課程などがある。
各種定義と用法

大学院における課程について表現するにあたってはいくつかの方法があり、方法ごとに意味が異なっている。
大学院設置基準によるもの

大学院設置基準に定められている大学院の課程は、「修士課程」「博士課程」、そして「専門職学位課程」の3種となっている[25]

修士課程は、学部卒業後の標準修業年限が一般に2年である課程であり[26]、修了した者には修士の学位が授与される[27]


博士課程は、学部卒業後の標準修業年限が一般に5年の課程であり[28]、修了した者には博士の学位が授与される[27]。この博士課程は、さらに以下のように区分される。

前期2年と後期3年に区分、または区分を設けないもの[29]

前期2年前期2年と後期3年に区分するもの[注 8]。なお、前期2年の課程は修士課程とみなすことになっている[30]

区分を設けないもの[注 9]


後期3年のみのもの[31][注 10]

修業年限が6年の学部に接続する、医学・歯学・臨床薬学・獣医学を履修するもの(修業年限が4年の課程)[32][注 11]



専門職学位課程は、修了した者には文部科学大臣の定める学位[27](専門職学位[33])が授与される課程であり、学部卒業後の標準修業年限は一般に2年以内であるが[34]、法科大学院[注 12][35]の標準修業年限は3年[36]、教職大学院[注 13][37]の標準修業年限は2年である[38]

学則等に見られる用法

各大学によって異なるが、しばしば学則等では、「修士課程」「博士前期課程」「博士後期課程」「一貫制博士課程」「後期3年博士課程」「4年制博士課程」「専門職学位課程」などに区分する方法が見られる。

修士課程は、学部卒業後の修業年限を2年とし、修士の学位が授与される課程である。下記の博士後期課程が設けられていない場合に設置される。


博士課程は、博士の学位が授与される課程であるが、学則等では以下のように区分される。

学部卒業後の修業年限を5年とする課程については、以下のように区分される。

博士前期課程および博士後期課程は、学部卒業後の修業年限を前期2年と後期3年に区分する課程である。

一貫制博士課程は、上記と異なり前期2年と後期3年に区分しない5年一貫制の課程である。


後期3年博士課程は、後期3年のみの課程である。

4年制博士課程は、修業年限が6年の学部に接続する、医学・歯学・臨床薬学・獣医学を履修するもの(修業年限が4年の課程)である。



専門職学位課程は、修了した者には専門職学位が授与されるという専門職大学院の課程である。

俗な用法

俗な用法においては、学則等で用いられる「修士課程」と「博士前期課程」について単に「修士課程」と呼び、学則等で用いられる「博士後期課程」「一貫制博士課程」「後期3年博士課程」「4年制博士課程」を「博士課程」と呼ぶ表現も見られる。なお、学則で博士前期課程を修士課程と呼ぶと正式に定めている場合もある[39]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:82 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef