大学院
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それまで研究者養成機関と考えられていた大学院に、高度職業人を養成するための夜間大学院専門職大学院などが加わり、院生の数が大幅に増加した。

2003年平成15年度)に、専門職において修士課程相当の教育を行う専門職大学院の制度が作られて以降は、学部を持たず大学院を置く大学(いわゆる大学院大学)も増加した。
日本「日本の高等教育」も参照

日本では、大学学部課程の上に設けられ、学術理論および応用を教育研究し、文化の進展に寄与することを目的とするものである(学校教育法(以下「法」)第99条)。

大学院は法第102条に基づき、下記のいずれかに該当する者が対象となる。

大学の学部を卒業した者。

文部科学大臣(以下「大臣」)の定めるところにより、上記と同等以上の学力があると認められた者。具体的には学校教育法施行規則第155条に基づき、下記のいずれかに該当する者。[11]
1.法第104条[12]第7項の規定により、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から学士の学位を授与された者。2.外国において、学校教育における16年[注 1]の課程(以下「16年の課程」)を修了した者。3.外国の学校が行う通信教育における授業科目を我が国において履修することにより、16年の課程を修了した者。4.我が国において、外国の大学の課程[注 2]を有するものとして、当該外国の学校教育制度において位置づけられた教育施設であって、大臣が別に指定するものの当該課程を修了した者。4の2.外国の大学その他の外国の学校[注 3]において、修業年限が3年[注 4]以上である課程を修了すること[注 5]により、学士の学位に相当する学位を授与された者。5.専修学校の専門課程(専門学校[注 6]で、大臣が別に指定するものを大臣が定める日以後に修了した者。6.大臣の指定した者。7.法第102条第2項の規定により大学院に入学した者であって、当該者をその後に入学させる大学院において、大学院における教育を受けるにふさわしい学力があると認めた者。8.大学院において、個別の入学資格審査により大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、22歳[注 7]に達した者。

大学院には、博士前期課程、博士後期課程、一貫制博士課程、後期3年博士課程、4年制博士課程、修士課程、専門職学位課程などと通称される多数の課程がある。

課程修士課程博士課程専門職学位課程
概要広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又はこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培うこと[13]。専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行うこと。又、その他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと[14]。高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うこと[15]
付与される
学位修士博士専門職学位

大学の中に学部研究科が置かれており、大学院では専攻分野の大きな括りを「研究科」、研究科の分野を細分したものを「専攻」と呼んでいる。ただし、2000年(平成12年)4月1日以降は異なった名称・形態の下部組織も現れた。大学院には「修士課程」「博士課程」「専門職学位課程」がある。更に細分化された課程が置かれている場合もある。

大学院に進学するためには、一般的には大学の学部を卒業するか、大学改革支援・学位授与機構より授与されるかして学士の学位を取得するか、個別の入学資格審査に合格し学部卒業と同等の学力を有すると認められる必要がある。大学院によっては、学部の卒業を経ない飛び級の制度を設けている場合もある。その後、大学院に進学し大学院の課程を修了した者は、その課程に応じて修士号、博士号、専門職学位学位が授与される。修士号、博士号、専門職学位はAdvanced Degree(上級学位)と呼ばれる。
授与される学位

大学は、学位規則(昭和28年文部省令第9号)などに基づき、大学院(専門職大学院を除く)の課程を修了した者に対し、修士または博士の学位を、専門職大学院の課程を修了した者に対し専門職学位を授与する[16]

大学は、学位規則などに基づき、大学院(専門職大学院を除く)の課程を修了することで博士の学位を授与された者と同等以上の学力があると認める者に対し、博士の学位を授与することができる[17]。大学院(専門職大学院を除く)の課程を修了することで授与をされる博士の学位を課程博士と呼ぶことがある。また、「大学院(専門職大学院を除く)の課程を修了することで博士の学位を授与された者」と同等以上の学力があると認められて授与される博士の学位を論文博士と呼ぶことがある。いずれも学位規則等に規定された正式な呼称ではなく、一般的には、どちらの取得方法であっても同じ博士の学位として扱われる。
設置基準

日本の教育制度においては、大学院は、大学に置くことができる(学校教育法第97条)、とされている。

大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥を究め、または高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする(学校教育法第99条第1項)。

また、大学院のうち、学術の理論および応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識および卓越した能力を培うことを目的とするものは、専門職大学院とされる[18]

大学院を置く大学には、研究科を置くことを常例とされる[19]。研究科は、専門分野に応じて、教育研究上の目的から組織されるものである[20]

ただし、当該大学の教育研究上の目的を達成するため有益かつ適切である場合においては、文部科学大臣の定めるところにより、研究科以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる[21]。研究科以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができるようになったのは、2000年4月1日からである。この日に、九州大学の全ての大学院が、学生が所属する教育部として学府、教員が所属する研究部として研究院という組織を持つ大学院へと改組された。東京大学では新たに教育部として学府を、研究部として学環を持つ大学院情報学環・学際情報学府が設置された。

大学院には、二つ以上の大学が協力して教育研究を行う研究科・課程をおくことができる方式が二つある。一つ目は、連合研究科(れんごうけんきゅうか)、連合大学院などと呼ばれる方式(大学院設置基準第7条)で、例えば、東京学芸大学横浜国立大学千葉大学埼玉大学よりなる東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(教育学の博士課程)がある。その他に連合農学研究科連合獣医学研究科連合小児発達学研究科がある。二つ目は、共同教育課程を編成する方式(大学院設置基準第31条)で、共同大学院ともよばれ、例えば東京女子医科大学早稲田大学による共同先端生命医科学専攻がある。なお、連合大学院では基幹となる研究科に組織を設置し、教員・学生は基幹校に所属し、基幹校の名義の学位を出す一方、共同教育課程ではすべての構成大学に組織を設置し、教員・学生はすべての構成大学に所属し、全ての構成大学の連名で学位を出すといった違いがある。

2000年代以降は、大学院において専門の教育と訓練を受けた、各分野において指導的役割を果たす、高度で専門的な職業能力を有する人材(高度専門職業人)の養成という社会的な要望から、主に社会人の経歴を有する者を教育する大学院の課程(社会人大学院などとも呼ぶ)の設置も相次いでいる。

2003年度からは、専門職大学院の制度が作られ、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とする法科大学院などが作られた。専門職大学院については、学術の理論および応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識および卓越した能力を培うことが要求される。

大学院の設置基準としては、大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)などがあり、専門職大学院に関しては、加えて、専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号)などが適用される。
研究大学

文部科学省は国際競争力の向上のため「研究大学強化促進事業」を打ち出し、学部よりも大学院に重点を置いている大学を研究大学と銘打って、他の大学よりも大きな補助金を与えている。文部科学省により選出された研究大学は、北海道大学東北大学筑波大学東京大学東京工業大学東京医科歯科大学電気通信大学名古屋大学豊橋技術科学大学京都大学大阪大学奈良先端科学技術大学院大学神戸大学広島大学岡山大学九州大学熊本大学慶應義塾大学早稲田大学である。


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