大型ハンマー
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自動車整備業では、サスペンションやステアリング・リンケージ(英語版)で用いられるボール・ジョイント(英語版)のテーパー嵌合や、CVドライブシャフトのスプライン嵌合(英語版)[2]を外す際、ボールジョイントやハブの専用プーラーやスライドハンマー(英語版)等の特殊工具が入手できない場合や[3]、特殊工具のみでは嵌合軸のネジ山を変形させる懸念がある時[4]などに、大型ハンマーやランプハンマーを2個用い、小型のハンマーをハブナックル等の嵌合の接合部[5]や、ボールジョイントやドライブシャフトの嵌合軸そのもの[6]に密着させるように宛がい、宛がった小型ハンマーを大型ハンマーで強く叩く事で嵌合の固着を解除する「当てハンマー」や「ダブルハンマー」と呼ばれる技術が用いられる事がある。小型のハンマーを宛がう事で、叩かれる部材の変形を最小限に抑えつつ衝撃力のみを伝達させる事を狙ったもので、ニュートンのゆりかごと同じ原理を用いている。自動車メーカー真鍮製の丸棒(ブラスバー)を宛がって大型ハンマーで叩く方法を指定している事もある[7]。海外では大型ハンマーを叩かれる部材に宛がい、大型ハンマーの反対方向から小型ハンマーで部材を直接叩く事で衝撃力を往復させて固着を解除する技法も用いられる[8]

Sledgehammerの語源

英語では、大型ハンマーのことを、Sledgehammer(スレッジハンマー)と言う。このSledgehammerという語は、元々アングロサクソンの言葉の「Slaegan」に由来する。この「Slaegan」は「激しく攻撃をすること」を意味していた[9]。なお、アングロサクソンの言葉の「Slaegan」は、英単語のslay(?を圧倒する、?を殺す、?を虐殺する)という語、同じく英単語のslog(強打する)という語の語源ともなっている[9]。ちなみに、英語で「slog it out」と書くと「最後まで徹底的に戦い抜く」といった意味になる。また、Sledgehammerが「大型ハンマー」を意味する名詞であることは既述の通りだが、他に「大型ハンマーで叩く」を意味する動詞となり得る以外に、「強力な、圧倒的な」という意味、場合によっては「残酷な」という意味の形容詞となることもある。
大型ハンマーの類似品

ここでは、大型ハンマーと似た道具について記述する。
大型木槌
大型木槌(「掛矢」(かけや)と呼ばれる
[10][11])の形状は、大型ハンマーに似ている。しかし、大型木槌は基本的に、木製の杭を地面に打ち込む用途で使用される。大型木槌は、広くて平らな丸い打撃面を持ち、その直径は一般的な大型ハンマーと比べて著しく太い。また、大型木槌は打撃面が丸いのに対し、一般的な大型ハンマーの打撃面は八角形となっている。さらに、同じく一般的な大型ハンマーの場合、柄が取り付けられている場所の断面と打撃面の大きさは、その大きさ全く同じが、あるいは、打撃面の方がわずかに小さく作られている点で、大型木槌と異なる。
ランプハンマー (Lump hammer)
重い片手用のハンマーであり、かつ、左右どちらの打撃面でも使用できるハンマーでもある。(例えば、片方が釘抜きになっていたりはしない。)ランプハンマー (Lump hammer) というのは、「小さくて硬い塊のハンマー」といった意味である。ただし、英語ではクラブハンマー (Club hammer) とも呼ばれる。ちなみに、別名のクラブハンマー (Club hammer) は、「先端にコブの付いた太い棒のようなハンマー」すなわち「棍棒のようなハンマー」といった意味である。日本では石材業界から土建業界へと利用が広まり、「石頭(せっとう)ハンマー」と呼ばれているが、現場では「石頭」「セット」などと略される事も多い[12]。なお、本稿では以降、ランプハンマーという呼称に統一する。ランプハンマーは、重いハンマーだが、あくまで片手用であり、この点で、基本的に両手用のハンマーであるスレッジハンマー (Sledgehammer)、つまり大型ハンマーとは異なっている。ランプハンマーが向いているのは、小規模な破壊作業、レンガへの釘の打ち込み作業などである。また、石や金属を切断する時に使用する金属製のノミを叩くといった作業にも有用であり、ランプハンマーを使えば、軽いハンマーよりも深くまでノミを打ち込むことができる。ランプハンマーの重量は、約500g - 3000g程度。ハンマーヘッドは鍛造して焼き入れされた鋼鉄で作られているのが普通。持ち手は、通常木製だが、ヒッコリー材(北アメリカ原産のクルミ材)に合成樹脂を塗布した物が一般的。ただし中には、鍛造によって一体成形された鋼鉄でできたランプハンマー(つまり、持ち手も含めて、全体が継ぎ目の無い鋼鉄でできたランプハンマー)も存在する。一体成形されたランプハンマーは頑丈である。しかし、持ち手が木材で、ハンマーヘッドが鋼鉄でできているタイプの一般的なランプハンマーであれば、木材との境目や木材が、ある程度打撃時の衝撃を吸収するのに対し、一体成形されたランプハンマーは、打撃時の衝撃が直接ハンマーを持つ手に伝わってくる。このため、一体成形されたランプハンマーを使った場合、その使用者が身体を痛めることが、しばしば起こるという問題もあることで知られている。
大型ハンマーと共に用いられる道具

大型ハンマーの使用時には、同時に別な道具が使用される場合もある。そのような道具として、ハンドスティール (hand steel) が挙げられる。ハンドスティールとは、鉱業において用いられることのある、ノミに似た道具である。これは、通常、巨大ハンマー(スレッジハンマー)と共に使用される。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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