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ユングによると、人間の無意識のさらに深い領域には全人類に共有されている集合的無意識があり、古代から継承されたアーキタイプ元型)が宗教神話・夢といった象徴の形で現れる[4]とされる。

ユング研究家の河合俊雄は夢の「ストーリー性」を重視し、ストーリーの変化は心の変化であり、夢分析で重要視されるとしている。例えば同じテーマの夢を繰り返し見る「反復夢」では、ストーリーが月日の経過とともに変化していくが、「怖い夢」でも何度も反復してみるうちに、恐怖の対象が自分に対して実害がないことが分かり、それを楽しむことができるようにすらなる。こうした変化で心理的な症状も変わってくることがあり、繰り返し見る夢がどう変わっていくか、心理療法における「夢分析」ではこの部分が大きな意味を持つとしている。もう一つのポイントは「象徴性」で、例えば白蛇は普通のよりも象徴性が高く特別な夢だが、スピリチュアルな意味や、癒やしの意味がある可能性がある。また、夢には逆説的な意味があり、例えば自分が死ぬ夢では、実際に死ぬことはなく、むしろ自分が大きく変わる、よい意味の可能性がある。悪夢は一般によい夢であり、発達障害の患者では、楽しい夢しか見ない人は比較的多い。しかし、治療が進むにつれ、怖い夢や、宿題をし忘れる夢などを見始め、しっかりした意識が形成されてくる。すなわちネガティブな夢を見るということは、課題を持ち、解消しようとしていることを意味する。さらには正夢についても言及し、宝くじが当たるなどの大成功する夢を見たら、好機と捉えて行動するのもよいとしている。ただし夢には多少の誤差があり、宝くじが株であったりするという。夢は多義的であり、一義的な解釈をすべきでないとも発言している[16]

現在では夢分析も改良され、広く現代人の実情を考慮した分析が多い。自分で自分の夢分析をするためのガイドブックや事典なども出版されており、何がしらの自己分析・自己発見の役に立つことも多いようである。
神経生理学における夢の理解
夢の意義

睡眠中には脳が、過去に見聞きした情報をジャンルごとに整理する。ジャンルは例えば「小学校時代」、「大学時代」、「友達」、「家族」、「恋愛」、「仕事」などに分けられ、ジャンル分けされた記憶の倉庫から引き出したり、まとめたりの作業を脳が睡眠中に行っているが、その過程を脳内で再生している状態が夢だと言われている。いわば、自分だけが見ることのできる、「個人的なドキュメンタリー映画」のようなものである。従って、睡眠環境から取り込まれた刺激以外は、体験したことや実際に目にしたものが断片的に組み合わされ、脳内でストーリー化してゆく。ただし、子供はテレビ絵本漫画などの外部刺激に夢の内容が左右されやすく、実体験以外の映像や想像などの要素でも、それらが組み合わさり夢になることがある。夢の内容は、最近の夢に関する調査の際の頻出語から、高齢者では、「旅行」、「仕事」、「トイレ」、「母」などが多く、大学生では、「友達」、「遊ぶ」、「サークル」、高校生は「友達」、「学校」、「クラス」、「部活動」など、どの年代を通しても生活上、密接に関わっている言葉が多く確認されている。この結果から、自我の確立する高校生以上の年代では、日常の実体験を元により日常に近い内容で夢が構成されているといえる[17]
夢の生成メカニズム

現代の神経生理学的研究では、「夢というのは、主としてレム睡眠の時に出現するとされる。睡眠中は感覚遮断に近い状態でありながら、大脳皮質や(記憶に関係のある)辺縁系の活動水準が覚醒時にほぼ近い水準にあるために、外的あるいは内的な刺激と関連する興奮によって脳の記憶貯蔵庫から過去の記憶映像が再生されつつ、記憶映像に合致する夢のストーリーをつくってゆく」と考えられている、と言う[13]

入眠時に図形や模様、人の顔などのビジョンや、音楽や話し声などが不随意に発生する現象がある。これらの不随意な心象現象は「入眠時幻覚」と呼ばれ、厳密には夢とは別のものとして扱われる[18]。上述のように夢には連続性やストーリー、夢を見る人の視点が備わっているが、入眠時幻覚は概ね感覚的で個人の経験とはかけ離れており、両者の生成プロセスは異なると考えられている。
睡眠時に起こる外的現象

睡眠時は本来ならば何も感じていないと考えられる大脳が覚醒時と同様な活動状態を示す脳波になる。時にはその活動に刺激されて反射運動がみられる場合がある。この反射運動には、寝ている状態で手足を動かす、声を発する(つまりは寝言)などある。寝言の中にはを歌いだすという報告もある[要出典]。

反射行動の中には日常生活では見られない行動、奇異であり不思議な行動が見受けられる。フロイトの報告によれば、普段聞きなれているのだが、発音できなかった(もしくは上手でない)外国語を突然、流暢に喋りだすという事例がある。また、睡眠中に突然起き上がり歩き回るが覚醒時にはその記憶が残っていないなど、その行動が顕著な場合に夢遊病と呼ぶことがある[要出典]。
夢のメカニズム

メカニズムについては不明確な部分が多く、研究対象となっている。例えば、夢は浅い眠りに陥るレム睡眠中に見るとされ、一般的にはノンレム睡眠時は発現されないと考えられていた。しかし、ノンレム睡眠時にも夢を見ると考える研究者も多く、そうした研究も続けられている[19]

夢を見る理由については現在のところ不明である。
夢の知覚

夢は、人によってさまざまであり、同一の人でも知覚する現象が千差万別である。尿意が夢に反映されやすいのは良く知られており、排泄に関わる夢を見て目が覚めたら、膀胱が限界に近かったという事例は非常にありふれている。夢の知覚には、性別や年齢によって傾向があるといわれる。夢では視覚だけではなく、聴覚触覚味覚嗅覚においても何らかの刺激を感じるといった報告がある。上記の通り、どの感覚においても、人によってさまざまであり、同一の人でも時には感じないこともある[要出典]。
夢の中での痛覚

夢の中では痛みを感じないと思われがちだが、夢の中でも痛みを感じることがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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