夢野久作
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さらに同年には九州日報社が経営困難となり、東京で父、頭山満内田良平らと共に資金集めに奔走した[要出典]。同年5月上浣「あやかしの鼓」を雑誌『新青年』の懸賞に発表して同率二等に入選し、文壇入りを果たす。「夢野久作」の筆名は、息子の作品を読んだ父茂丸が「夢野久作の書いたごたる小説じゃねー」と評したことから、それをそのまま筆名としたものである[14]。「夢野久作」とは昔の博多の方言で「人の考えないようなことを言う人」のことである。以後、本格的に『新青年』や『ぷろふいる』などの雑誌に投稿するようになり、童話は書かなくなる。

江戸川乱歩は『あやかしの鼓』をあまり評価しなかったのだが、1929年(昭和4年)に発表した『押絵の奇蹟』については感銘を受けたと評した[15]

さらに、1932年(昭和7年)『新青年』に発表した『斜坑』について、江戸川乱歩は「非常に感情が豊かで感心した」と称賛した[16]

1930年(昭和5年)5月1日に福岡市黒門三等郵便局長を拝命する[17]

1933年(昭和8年)『新青年』に『氷の涯』を発表。

1934年、「骸骨の黒穂」[18]を『オール讀物』に発表[注釈 3]

構想、執筆に10年以上をかけた代表作『ドグラ・マグラ』が、1935年(昭和10年)1月に松柏館書店から刊行され、出版記念会が東京(1月26日)と福岡(5月4日)で催された[19]。同年7月19日、父杉山茂丸が脳溢血のため、東京麹町三年町の自宅で死去[注釈 4]

1936年3月11日朝、渋谷区南平台町の自宅で死去[20][注釈 5]

死後は父と同じ墓、福岡市の一行寺[21]に葬られ、久作自身が生前刻んだ墓標がある[22]。戒名は悟真院吟園泰道居士[23]
家族

肥前戦国大名龍造寺隆信の末裔である[24]

祖父・福岡藩士杉山三郎平

父・杉山茂丸

実母・ホトリ - 福岡藩士・大島義賢の長女。女子師範学校卒。家風に合わないとして久作2歳のときに離縁させられたのち、福岡日々新聞社の高橋群稲(宗硯)と再婚し三児を儲けた。

継母・幾茂

妻・クラ - 鎌田昌一の三女

長男・杉山龍丸

二男・三苫鉄児 - 中学教員。同和教育に力を入れ、福岡部落史研究会の副会長を務めるなど、福岡の有力な部落問題研究者[25]

三男・杉山参緑 - 詩人

孫・杉山満丸 - 龍丸の子

作品の特徴

夢野久作のいくつかの作品には特徴的な手法が採られている。

1人称の語りで事件の顛末を明かしていく独白体形式
作品としては、『犬神博士』『氷の涯』『悪魔祈祷書』『支那米の袋』などが挙げられる[26]

同じ1人称でも、書簡をそのまま地の文として作品とする書簡体形式の作品としては、『瓶詰の地獄』『少女地獄』『押絵の奇蹟』などの作品が書簡体形式の有名なものである。『ドグラ・マグラ』も全体の半分以上が書簡体形式によって構成されている。

作品の大きな特徴の一つである笑い声は以上二つの要素に含まれる。

久作におけるカタカナの位置は特殊であり、形容詞、副詞、動詞が「イマイマシイ」「タマラナイ」「モノズゴイ」「コダワッた」などと片仮名が多用されることも特徴として挙げられる。

『ドグラ・マグラ』の冒頭をはじめ、三点リーダが多用されていることも挙げられる。

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この節の加筆が望まれています。


処女作『あやかしの鼓』について、甲賀三郎は「私はこの作を読んだ時に直ぐ好いなあと思った」、平林初之輔は「はじめの方は、私には相当読みづらかったが三分の一くらいくると段々面白くなった」、小酒井不木は「私一人の好みから言えば、(山本禾太郎「窓」と比べて)この方が遥かに面白く、且つ印象が深かった」と評した。


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