多足類
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内部の幕状骨(tentorium、大顎の動作に関与する内骨格)は能動的で、両前方には大顎の内転筋に連結した棒状の構造体(transverse bar)がある[6][5]。これらの特徴は他の節足動物に類が見られない、多足類の最も重要な共有派生形質と考えられる[5][1][7]

眼は側眼(lateral eye)のみ知られ、中眼(median eye)は存在しない。側眼は複眼由来だが、現生群はほとんどが退化し、無眼もしくは複眼の個眼由来の単眼のみをもつ。既知唯一の例外はゲジ目に属するムカデで、側眼はれっきとした複眼である[8]
胴部

ヤスデの1種 Nipponesmus shirinensis の前端。特化した生殖肢もつ。

ムカデの前端腹側。頑丈な顎肢をもつ。

胴部は縦に長く、数多くの体節が並び、そのほぼすべてが同規的で、原則として1胴節に同型の歩脚型関節肢(脚)が1対ずつ出ている。形態や機能上の特化はほぼせず[9]、例外は繁殖用の生殖肢(gonopods)[10][11][12]ムカデ顎肢(forcipules、maxillipeds)[13]曳航肢(ultimate legs)[14][15]コムカデの紡糸腺(spinnerets)[4]など僅かな例のみ挙げられる。ヤスデの場合、ほぼすべての胴節が2節ずつセットで重体節(diplosegment, diplosomite)に癒合するため、外見上では1胴節に2対の脚があるのように見える[16][12]

いずれにせよ、この胴部は他の多くの節足動物に見られる顕著な機能的分化はない[9]。他の節足動物では胸部と腹部、あるいは前体と後体などを区別し、それぞれ異なった形態および付属肢を持つのが通例である。現生節足動物の中で多足類に似た例は、海底洞窟に産する甲殻類ムカデエビ類のみがある程度である[17]。この同規的な体節制は、節足動物祖先形質に似ると考えられる[9]

他の特徴については群によって異なる。例えば胴部の生殖口は尾端にあるもの(ムカデ)や腹面の前半部にあるもの(その他)[18]がある。胴部の尾端、例えば尾節(telson)の構造もそれぞれである[15][4][19][12]
生態と発育ヤスデの1種 Nemasoma varicorne の増節変態

護卵中のムカデ

コムカデの1種Scutigerella immaculata の卵(左)、孵化直後の幼生(中)と成体(右)

現生のすべてが陸上生活で、真の水生種はない。小型のものは、土壌動物として生活するものが多い。多くのは腐植食性であるが、ムカデは肉食性である。

幼生には特別な成長段階はなく、明確な変態は見られないが、成長につれて体節と歩脚が増える、いわゆる増節変態(anamorphic development)の例が多い。変態過程に3対の歩脚をもつ初期段階がヤスデエダヒゲムシに見られる。ムカデの整形類(オオムカデ目ジムカデ目)は例外的に卵中にて変態が完了し、自由生活の段階においては増節変態はみられない[20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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